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つれづれイタリア〜ノ<121>ダミアーノ・クネゴの日本の朝ごはんを直撃! ヒルクライム直前の効率的な食事とは

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 レース直前の朝は、何を食べればいいのか。レースにもっと効果的な朝ごはんはあるのか。9月1日に群馬県嬬恋村で行われた「嬬恋キャベツヒルクライム」でゲストライダーとして参加したイタリアを代表する選手、ダミアーノ・クネゴ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)に、国内ホテルのビュッフェに並ぶ料理を参考に、レースに必要な効率的な朝食の秘訣を聞いてみました。

西村大輝選手のレース前の朝食。日本人の食文化に合ったものです Photo: Marco FAVARO

 秋になりました。どこもかしこもレースシーズンです。関東周辺では、赤城山ヒルクライム、フジ・ゾンコランヒルクライムin小山町、伊豆スカイライン国際ヒルクライムなどなど…。全国的にレース真っ盛りです。

練習するNIPPO・ヴィニーファンティーニの招待選手たち Photo: Marco FAVARO
引退してもトレーニングに参加するダミアーノ・クネゴ(最後尾) Photo: Marco FAVARO
トレーニングをするダミアーノ・クネゴ(イタリア) Photo: Marco FAVARO

 多くの場合は、長さ20kmで獲得標高1000mのヒルクライム大会です。1時間で終わるものがほとんどです。スタート時間は午前7時から8時の間と早く、体はまだ起きていない状態の中で、コンビニで買った弁当や菓子パンを食べて、朝食を済ます人が多く見受けられます。ラッキーな人は、民宿が作ってくれた朝食を食べます。しかし、プロではない、趣味で自転車に乗るホビーレーサーは、やはり適当に朝食を済ませる場合が多いですね。

 クネゴは現役選手として引退したばかりですが、スポーツトレーナーとして第2の人生を歩み始めたばかりです。彼の豊富な経験を生かし、適切なアドバイスをいただきました。チームの宿泊先だった嬬恋プリンスホテルのビュッフェを見て、そこにある素材で朝食のバランスを考えました。

ご飯とパスタを両方食べる

− レースは朝早く始まる場合、いつまでに食事をとればいいですか。 

スポーツトレーナーとして第二の人生を歩み始めたダミアーノ・区ネゴ(イタリア)=2018年5月撮影 Photo: Kyoko GOTO

 ベストは大会が始まる3時前ですが、ローラー台に乗ってウォーミングアップを考慮したプロ選手にとっての時間です。一般市民の場合、ローラー台がほとんど使えませんので、2時間前までに食事を済ませればいいと思います。レース直前だと、胃に負担がかかりすぎて、具合が悪くなる場合もあります。ただし、2時間前までに済ませても、消化に時間がかかるので、胃袋に大量の食べ物を詰め込まないでほうがいいです。食べすぎると、胃の働きが鈍くなります。

— トレーニングの場合は同じ物を食べたほうがいいですか。

 トレーニングの場合は、朝食は軽く済ませます。レースの場合、エネルギー源である炭水化物を中心に食材を選びます。20km程度のヒルクライム大会はそれほど多く食べませんが、200kmを超えるレースの場合、しっかり朝食を食べないと、途中で体が動かなくなります。そして疲れてくると、胃袋は食べ物を受け付けないこともあるので、朝食は重要な食事です。

— それでは、長さ20km、獲得標高1000mぐらいのようなヒルクライムレースは何を食べればいいですか。

 20km程度のヒルクライムは約1時間で終わるので、あまり食べ過ぎないことが重要です。炭水化物とプロテインのバランスが重要。炭水化物のほか、筋肉を作ってくれるプロテインを意識して食べたほうがいいです。

揚げたベーコンではなく、ハムがおすすめ Photo: Marco FAVARO
プロテインを含む卵もレース前に適している Photo: Marco FAVARO

— このホテルのビュッフェはどうですか。

 このホテルのビュッフェはいいですね。多くの食材や野菜がたくさんあります。肉もあります。残念ながらパスタがないですね。ヒルクライムの前はパスタと白いご飯を食べると効果的です。

— パスタとご飯?一緒ですか?

ご飯は茶碗2杯で十分 Photo: Marco FAVARO

 そうです。パスタとお米の消化時間が異なるので、短いヒルクライムの場合、時間差でエネルギーを出してくれます。今回、白いご飯だけがあるので、まず多めに摂取したほうがいいです。先に言いましたが、ヒルクライムの場合、上りながら食べ物が喉を通らないので、まずは事前にベースのエネルギーを作らなければなりません。イタリアではもちろん、パスタとなります。

— 量的にどのぐらい取ればいいですか。

 茶碗2杯で十分です。

— 味付けはどうすればいいですか。

 あればオリーブオイルと粉状のパルメザンチーズをかけます。なければ何もかけないほうがいいです。

コーヒーは1杯でOK

— なぜオリーブオイルとパルメザンチーズですか。

 オリーブオイルは、ビタミンが豊富で血をサラサラにしてくれます。パルメザンチーズは少量でいい味がでます。そしてタンパク質、カルシウム、塩分も取れます。

— 先ほど、タンパク質、プロテインの話が出ましたが、具体的に何を食べればいいですか。

 ベーコンがありますが、炒めてあるので油が多すぎです。そして消化に時間がかかります。あればハムを食べてください。ベストは生ハムまたはブレザオラです(ブレザオラ:ミラノ北部地方の生ナム。豚ではなく、若い牛から作られる。低脂肪高タンパク質で、プロ選手が好んで食べる)。ベーコンのように油で揚げたものは、消化しにくく、朝早い時間に朝食をとると、レースまで消化しきれない可能性があります。ローストハムしかないときは、4~5枚で十分です。日本の場合、サーモンもよく見かけます。ハムの代わりにサーモン数切れを食べてもいいですね。

炭水化物を多く含むパン Photo: Marco FAVARO

 ハムがない場合、ゆで卵を選ぶべきです。プロはゆで卵1個に対し、白身は2個分を食べます。白身は低コレステロール高タンパク質ですが、選手たちは卵をよく食べるので、このバランスがいいです。満腹感も得られます。ゆで卵がない場合、スクランブルエッグでもいいです。中に牛乳が入っていますので、プロテインが含まれます。

— パンはどうでしょうか。

 パンは炭水化物を含みいい食材ですが、どちらかというと、気持ちを落ち着かせるためにジャムを塗って食べてもいいと思います。消化時間が早いので、血糖値はすぐに上がります。でも適度の甘いものは、精神的なサポートをしてくれます。

— マーガリンとバターもありますが、どちらがいいですか。

高エネルギーなバターも少量なら効果的 Photo: Marco FAVARO

 マーガリンですか?初めて見ました。ヨーロッパのホテルには置いていません。食べません。バターは体にいい脂質があり、少しの量でたくさんのエネルギーを作ってくれます。もう一度、今までの食材を振り返ると、ご飯、パンとジャム、ハムまたは卵、そして少量のバター。これで十分だと思います。

— ビュッフェには漬物や野菜もあります。食べないほうがいいですか。

 野菜はビタミンやミネラルをよく含みますが、プロの選手は朝に野菜を食べないですね。胃への負担が大きいので、消化に使うエネルギーをレースで使いたいものです。そのため、トマトソースのパスタも食べません。もちろん大会前日は魚や肉、野菜やフルーツをしっかり食べます。

— ポタージュ、コンソメ、スープ類などは?

 これは食文化の違いかもしれませんが、イタリア人は、スープは夜に飲むもので、朝は飲まないです。スープには塩分が多く、尿意を避けるためです。少し飲むだけなら問題ないでしょう。

ハムや卵の代わりにもなるという豆腐 Photo: Marco FAVARO
野菜は胃に負担がかかるためレース前は避ける Photo: Marco FAVARO

— ビュッフェに豆腐もありますがどうですか。

 豆腐は植物由来のプロテインですので、ハムや卵の代わりに食べてもいいと思います。個人的に朝に豆腐を食べたことがないですが、これも食文化の違いです。胃が受け付けるのであれば、いいと思います。私はレース前に知らない食べ物を口にしないので、食べません。

— ヨーグルト、チーズなどといった乳製品は食べないですか。

 パンとジャムの代わりに、ヨーグルトとシリアルを食べたほうがバランスがいいと思います。そして砂糖を入れるより、フルーツで味付けしたいです。深めの皿ぐらいの量でいいと思います。ヨーグルトの中でカスピ海ヨーグルトはオススメです。プロテインを多く含み、レースに有効的です。

— 豆乳はいかがですか。

 最近、ヨーロッパでも様々なミルクが出ています。ライスミルク、アーモンドミルクなど。個人的に豆乳はベストです。プロテインがたくさん含まれていますし、脂肪分がないうえで、消化しやすい。たくさんのメリットがあります。

ヨーグルトはフルーツで味付けがベスト Photo: Marco FAVARO
カフェインを含むコーヒーは1杯でOK Photo: Marco FAVARO

— コーヒーはどうですか。

 コーヒーは1杯だけで十分です。カフェインは尿意を促すので、避けたいものです。

— ビールは?

 ビールはもちろん、レース後ですね!

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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