ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第21ステージ最終日はヴィヴィアーニが異次元の加速で3勝目 サイモン・イェーツが初のグランツール総合優勝

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージは9月16日、スペインのアルコルコンからマドリードまでの100.9kmで争われ、マドリード周回コースでの集団スプリントをエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が制して、今大会3勝目となるステージ優勝を飾った。ステージ32位でフィニッシュしたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が総合優勝を確定。イェーツ自身だけでなく、チームにとっても初めてのグランツール総合優勝となった。

大会3勝目となるステージ優勝を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ Photo: Yuzuru SUNADA

4賞ジャージを先頭にパレード走行

 ブエルタ最終ステージは、首都マドリードの中心地に設定された周回コースで争われることが毎年恒例となっている。マドリード近郊の街、アルコルコンを出発し、5.9kmの周回コースを12周した。周回コースは昨年までのT字状のコースからI字状となり、180度コーナーが2カ所に設定された高速サーキットとなっていた。

ポイント賞ジャージを獲得したアレハンドロ・バルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA

 マイヨロホのイェーツ、マイヨプントスのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、マイヨモンターニャのトマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、マイヨコンビナダは繰り下げでミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナプロチーム)、そして特別ジャージは設定されていないが赤ゼッケンを背負う新人賞のエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)の5人を先頭にパレード走行がスタートした。

 イェーツはヘルメット、アイウェア、シューズ、バイク、すべてに赤が入った完全マイヨロホ仕様で走っていた。イェーツだけでなくミッチェルトン・スコットのメンバーも、いつもの黒地に黄色のジャージではなく、黒地にマイヨロホの赤をあしらった特別ジャージを着用する祝福ムードだ。

出場8人全員が完走したミッチェルトン・スコットのメンバー Photo: Yuzuru SUNADA

 平均時速は30km少々のサイクリングペースで、選手たちは談笑しながらのんびりとした雰囲気で進行していった。マドリード周回コースが近づくと、リーダーチームのミッチェルトン・スコットが集団前方に集結。徐々にペースを上げながらマドリード周回コースへ到達した。

今ステージをもって現役を引退したイゴール・アントン Photo: Yuzuru SUNADA

 またこの日のレース前には、イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)が今大会限りでの引退を発表した。アントンはブエルタで通算4度のステージ優勝を飾った、バスク出身のクライマーだ。2010年大会では第14ステージで落車して骨折。マイヨロホを着用しながら、リタイアを余儀なくされたことも。翌シーズンはジロ・デ・イタリアでモンテ・ゾンコランを制してステージ優勝をあげ、ブエルタでも1勝したものの、2012年以降は7年間でわずか2勝と低迷し、近年は山岳アシストに徹する機会が多かった。

 ディメンションデータは、アントンのために横並びに隊列を組んで走るシーンもあった。マドリードの周回コースに入るとアントンは単独で集団から飛び出した。沿道のファンに向けて、お別れの挨拶となる走りを見せていた。

 残り60km地点に設定された中間スプリントポイントを前にアントンは集団に戻ると、いよいよ本格的にステージ優勝に向けたレースが始まった。

スプリンターチームがレースを支配

 ニキータ・スタルノフ(カザフスタン、アスタナ プロチーム)が中間スプリントを先頭で通過すると、逃げに向けたアタック合戦が開始。第11ステージで勝利したアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム)を含む6人の選手が抜け出した。

 しかし、スプリンターチームが中心にコントロールしているメイン集団は、逃げ集団を完全に容認はせず、10秒程度の僅差で泳がし続けていた。

ネプチューンの噴水前を通過するプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

 残り44km地点で逃げの6人をいったん吸収。再び逃げに乗ろうと、集団からスタルノフ、ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、BMCレーシングチーム)、ガリコイツ・ブラボ(スペイン、エウスカディ バスク カントリー・ムリアス)、ミケル・イトゥリア(スペイン、エウスカディ バスク カントリー・ムリアス)の4人の選手が飛び出した。

 それでも、メイン集団はタイム差を20秒程度に留めてコントロール。残り27km地点でスタルノフがパンクのため、逃げ集団から脱落。残った3人は逃げを続行するも、残り7km地点で集団に吸収された。

 カウンターでジュリアン・デュヴァル(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)が飛び出したまま、鐘が鳴り響くフィニッシュラインを通過してラスト1周に突入。しかし、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)がけん引する集団にすぐに吸収された。

 すると、ボーラ・ハンスグローエに代わってグルパマ・エフデジが主導権を奪取。バンジャマン・トマ(フランス)を先頭に、集団は隊列を成していた。残り2kmを切ってくると、大本命のクイックステップが先頭に立った。

シベーレス広場にある現在はマドリード市庁舎となっているコムニカシオネス宮殿の前を通過するプロトン Photo : Yuzuru SUNADA

ヴィヴィアーニが発車遅れも抜群の加速

 ラスト1kmのヘアピンコーナーも、クイックステップが先頭を押さえた。しかし、肝心のヴィヴィアーニは集団後方に埋没。アシストがヴィヴィアーニを探し始めてしまい、トレインの隊列が乱れた。

 モビスターチームが先頭に上がると、2番手にはイバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)が浮上。残り300m付近で先頭に立ったガルシアが早めにスプリントを開始した。

 しかしその後ろからダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNL・ユンボ)が先頭に躍り出た。ファンポッペルを抜かそうと、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)といったスプリンターが横並びになるなか、後方からヴィヴィアーニが猛追を見せた。

横一線のスプリントから、異次元のスピードで一人抜け出したヴィヴィアーニ(右端)が優勝。世界チャンピオンのサガン(中央)は今大会ステージ優勝ゼロに終わった Photo: Yuzuru SUNADA

 最後は車体1台分差を開いてヴィヴィアーニが差し切ってステージ優勝を飾った。自身大会3勝目となり、チームとしては4勝目。クイックステップは2016年ブエルタから7大会連続、グランツール最多勝利チームとなった。

 そして、トップと同タイムのステージ32位でフィニッシュしたサイモン・イェーツは総合優勝を確定。イェーツ自身はもちろん、ミッチェルトン・スコットにとってもチーム創設以来初めてのグランツール総合優勝となった。

胸のスポンサーロゴをアピールしながらフィニッシュするヴィヴィアーニ Photo: Yuzuru SUNADA
危なげなくフィニッシュした、マイヨロホのサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

総合敢闘賞はモレマ、総合優勝はイギリス人が連覇

 ステージフィニッシュ後、現地時間では午後8時を過ぎて、あたりが夕闇に包まれるなかで、総合表彰式が行われた。

 大会を通じて最も攻撃的に走った選手に贈られる総合敢闘賞はバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が受賞。連日のように逃げ集団に乗り、ステージ2位が2回、山岳賞ランキングでも2位と結果には繋がらなかったものの、アグレッシブな姿勢が評価された。

果敢な走りで総合敢闘賞を獲得したバウケ・モレマ Photo: Yuzuru SUNADA
総合山岳賞を獲得したトマス・デヘント Photo: Yuzuru SUNADA
チーム総合賞を獲得したモビスターチーム Photo: Yuzuru SUNADA

 チーム総合成績1位はモビスターだ。総合5位のバルベルデ、総合8位のナイロ・キンタナ(コロンビア)、総合18位のリチャル・カラパス(エクアドル)と上位に3人を送り込んだことで、2位のバーレーン・メリダに対して45分もの大差をつけての受賞となった。

自身初のグランツール総合優勝に輝いたサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

 イェーツは総合優勝のマイヨロホだけでなく、複合賞のマイヨコンビナダも獲得。昨年はイギリス人として初めてクリストファー・フルーム(チーム スカイ)が総合優勝を飾ったが、今年もイギリス人による連覇となった。

 また、2018年のグランツール総合優勝者はすべてイギリス人となった。これは1964年にジロ、ツールを制したジャック・アンクティル(フランス)、ブエルタを制したレイモン・プリドール(フランス)、2008年にジロ、ブエルタを制したアルベルト・コンタドール(スペイン)、ツールを制したカルロス・サストレ(スペイン)以来となる、同一年のグランツールを同一国出身の選手が総合優勝した快挙となった。なかでも、グランツールそれぞれの総合優勝者が異なるケースは史上初のことだった。

総合上位3人の表彰台。(左から)2位のマス、優勝のサイモン・イェーツ、3位のロペス Photo: Yuzuru SUNADA

 総合優勝のイェーツは26歳、総合2位のマスは23歳、総合3位のロペスは24歳と表彰台を獲得した選手の平均年齢は24.3歳と非常に若かった。グランツールレーサーの世代交代到来を感じさせる2018年のブエルタだった。

シャンパンファイトならぬ、カバ(カタルーニャ産のスパークリングワイン)による「カバファイト」を繰り広げるイェーツ、マス、ロペスの3人 Photo : Yuzuru SUNADA

第21ステージ結果
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 2時間21分28秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +0秒
3 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)
4 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNL・ユンボ)
5 マルク・サロー(フランス、グルパマ・エフデジ)
6 ヨン・アベラストゥリ(スペイン、エウスカディ バスク カントリー・ムリアス)
7 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)
8 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
9 トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
10 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、チーム ディメンションデータ)

個人総合(マイヨロホ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 82時間5分58秒
2 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1分46秒
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +2分4秒
4 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +2分54秒
5 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +4分28秒
6 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +5分57秒
7 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +6分7秒
8 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +6分51秒
9 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +11分9秒
10 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +11分11秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 131 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 119 pts
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 105 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 95 pts
2 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 83 pts
3 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 64 pts

複合賞(コンビナダ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 11 pts
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 13 pts
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 18 pts

チーム総合
1 モビスター チーム 246時間50分4秒
2 バーレーン・メリダ +45分36秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +47分57秒

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