リオモ・ベルマーレが2、3位増田成幸が激坂ゴールを制し今季2勝目 Jプロツアー第18戦「秋吉台カルストロード」

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 日本最高峰のロードレースシリーズ、Jプロツアー第18戦「第2回JBCF秋吉台カルストロードレース」が9月15日、山口県美祢市の秋吉台カルストロードを中心に設定された公道特設コースで開催され、残り300m付近からタイミング良くアタックを仕掛けた増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が才田直人(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム)との一騎打ちを制して優勝を飾った。

残り300mで狙い通りにアタックを決めた増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が単独でフィニッシュに姿を現す Photo: Nobumichi KOMORI

カルスト台地を貫くアップダウンコース

 今年で2回目の開催となる秋吉台カルストロードは、日本最大級のカルスト台地として知られ、風光明媚な観光地として多くの観光客が訪れる秋吉台が舞台。その南北に走るカルストロードの往復に、両端2つの小周回を組み合わせた1周29.5kmのコースは、全体的にアップダウンの厳しいコースレイアウトに加え、残り2km付近から始まる平均斜度12%、最大斜度28%の激坂“カルストベルグ”が選手たちを苦しめる。初開催となった昨年は89人が出走して完走が31人と、およそ3分の1しか完走できない難コース。今年は5周回147.5kmで争われた。

雨予報ながら、会場には多くの観戦客が訪れた Photo: Nobumichi KOMORI
Jプロツアーのレース前には村岡嗣政・山口県知事やホームチームのヴィクトワール広島の選手たちも参加するセレモニーランが開催された Photo: Nobumichi KOMORI
選手たちがスタートラインに整列する頃には日も差すまでに天候が回復 Photo: Nobumichi KOMORI
中田拓也(シマノレーシング)が単独で集団から抜け出しリードを奪う Photo: Nobumichi KOMORI

 事前の予報では雨中のレースとなることが濃厚だったが、当日、天気は少しずつ好転。スタート前に雨は止み、時おり陽射しが差す中でレースはスタートした。3kmのニュートラル走行を終えて正式スタートが切られると、激しいアタック合戦の展開に。数人の選手が抜け出しては吸収される状態がしばらく続いた後、中田拓也(シマノレーシング)が単独で抜け出して逃げる展開となった。

単独逃げを容認したメイン集団は一旦ペースダウン Photo: Nobumichi KOMORI

 最大で2分10秒程度のタイム差を奪って快調に逃げ続けた中田だったが、2周目に入ると集団が吸収。ひとつになった集団では再び激しいアタック合戦となったが、雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)がカルストベルグで強烈な攻撃を見せたことで、集団はいくつかに分断され、先頭は8人となってレースは3周目に入った。

2周目に入るとメイン集団も活性化してアタック合戦に Photo: Nobumichi KOMORI

 増田、雨澤、岡篤志(ともに宇都宮ブリッツェン)、湊諒(シマノレーシング)、ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)、窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)、米谷隆志(リオモ ベルマーレ レーシングチーム)、岡泰誠(イナーメ信濃山形)という8人の逃げ集団は、有力チームの選手が満遍なく入ったことでメイン集団も容認するかと思われたが、程なくして集団が吸収。再びアタック合戦となった中から、またもや雨澤がアタックを仕掛けて単独で先行、3回目のカルストベルグを迎えることになった。3回目のカルストベルグに入ると、雨澤を吸収しようとペースが上がった集団はさらにスリム化。20人程度の集団になってレースは4周目を迎えた。

雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)がアタックを仕掛けて単独で抜け出す Photo: Nobumichi KOMORI

増田がリオモ・ベルマーレの2人を打ち砕く

 4周目に入ると、程なくして単独先行していた雨澤が吸収。するとそのカウンターで岡篤志がアタックを仕掛けて抜け出すと、そこに増田と米谷が合流して先頭は3人になった。後方では12人の集団が追走を続ける中、3人の先頭集団はローテーションを繰り返しながら追走集団とのタイム差を拡大。だが、少しずつ岡が苦しい表情を見せ始め、チームメートの増田が岡を待つ仕草を見せる時間が増えていった。一方の米谷はペースを守っていた中で、図らずも単独で先行する展開に。4回目のカルストベルグに入った時には増田・岡と8秒差だったタイム差が頂上付近で1分20秒になった。米谷は逃げ切り勝利も可能な状態で最終周へと入っていった。

米谷隆志(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム)が単独先頭で最終周回へ向かう Photo: Nobumichi KOMORI
増田成幸(右)と岡篤志(左)の宇都宮ブリッツェン勢が遅れを取り返そうと追走する Photo: Nobumichi KOMORI

 最終周に入ると、単独で先頭を走る米谷に対して、最終周に入る直前に岡を切り離して単独で追走態勢に入った増田が、米谷とのタイム差を少しずつ縮めていく。さらにその後方からは、ランキング上位の有力選手を含む追走集団から単独で抜け出してきた才田が、増田に迫る状態になった。程なくして増田が米谷に合流、さらに才田も合流して先頭はリオモ・ベルマーレが2人、宇都宮ブリッツェンが1人の3人になった。数的にはリオモ・ベルマーレ有利の状況の中、3人は協調体制をとったまま残り距離を消化していき、レースは最後のカルストベルグを迎えた。

上り区間で有力選手勢を引き離しながら追走する才田直人(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム) Photo: Nobumichi KOMORI

 最後のカルストベルグに入ると、才田がペースを上げて攻撃を開始。増田はすぐに反応して番手につくが、単独逃げで脚を使って消耗していた米谷はたまらずに遅れてしまい、先頭は2人になった。ダンシングでグイグイと上っていく才田に対し、シッティングで淡々とついていく増田。対照的な走りの2人が明暗を分けたのは、残り300mを切ろうかと段階。ダンシングに切り替えて増田が一気にペースを上げると、才田はつき切れず。増田がリードを奪ってそのままフィニッシュして優勝を飾った。

ベテランらしい巧さと強さをしっかり示した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が今季2勝目となる優勝を飾った Photo: Nobumichi KOMORI

増田「まだ一線で活躍できる」

 5月のJプロツアー第8戦宇都宮ロードレース以来、今季2勝目となる優勝を飾った増田。ツアー・オブ・ジャパン第2ステージでの落車で喫した骨折から7月にレース復帰し、着実に調子を上げてきた中での優勝で、完全復活を印象付けた形だ。その増田はレース後「けがをしないように1レース1レースを走ることの大切さを噛み締めていますし、けがというアクシデントさえなければ、自分はまだ一線で活躍できるんだということも確認できて自信になりました」と静かに喜びを口にした。また、この日に設定されていたチーム賞を獲得したチームについても「Jプロツアーで宇都宮ブリッツェンが一番強いチームだと胸を張っていいと思いますし、明日のレースもいいレースをして勝ちたいと思います」と手応えを語った。

1位から3位の選手と、プレゼンターの今中大介・JBCF副理事長 Photo: Nobumichi KOMORI
惜しくも優勝は飾れなかったが、2位・3位を獲得したリオモ・ベルマーレ レーシングチーム。スタッフが選手2人を労う Photo: Nobumichi KOMORI

 惜しくも優勝は飾れなかったものの、才田が2位、米谷が3位に入ったリオモ・ベルマーレ レーシングチーム。序盤から積極的に動きながら3位表彰台を獲得した米谷は「昨年のレースでは前半の逃げには乗ったのですが、その次の展開で集団が分かれた時に乗り損ねて勝負に絡めなかったので、今年は躊躇せずに、展開が動くなと思った逃げには全部乗っていくつもりでいました。そうしているうちに増田さんと岡と3人になって、このまま行くしかないと思っていたのですが、そこで岡が遅れて増田さんが待ったことで自分が1人になってしまって。これは腹をくくっていくしかないなと踏み続けました。一瞬、行けるかなと思いましたが、そう甘くはなかったですね。残り20kmぐらいで脚がなくなってきてしまって、そうしたらあっという間に増田さんが追いついてきたので」とレースを振り返った。

 また米谷は、「才田さんが追いついてきた時に定石通りにアタックを仕掛けたのですが、自分の脚がなくてつくことができなくて遅れてしまって。そこで波状攻撃というオプションが消えてしまったので、才田さんが増田さんと上りで真っ向勝負できるように、後はアシストの動きに徹しました。優勝には届きませんでしたが、3位という結果が残ってうれしいです」と終盤の攻防についてとそこに加われた喜びを口にした。

チーム賞の宇都宮ブリッツェン Photo: Nobumichi KOMORI

 この日の結果でチームランキングは宇都宮ブリッツェンがポイントを6687ポイントに伸ばしたことで、他のどのチームが残りレースをすべてワンツースリーフィニッシュしても、獲得ポイントが宇都宮ブリッツェンのポイントを上回ることがなくなり、宇都宮ブリッツェンの4年ぶりの年間総合優勝が確定した。

 なお、ツアーリーダーの証であるルビーレッドジャージは窪木が、23歳未満のランキングトップの選手が着用するピュアホワイトジャージはこの日11位に入った織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)がともに堅守している。

ルビーレッドジャージの窪木一茂(右、チーム ブリヂストンアンカー)とピュアホワイトジャージ の織田聖(左、弱虫ペダルサイクリングチーム) Photo: Nobumichi KOMORI
1周目と3周目に設定された中間ポイント賞を獲得した中田拓也(右、シマノレーシング)と雨澤毅明(左、宇都宮ブリッツェン) Photo: Nobumichi KOMORI

第2回 JBCF秋吉台カルストロード結果
1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 3時間51分34秒
2 才田直人(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム) +8秒
3 米谷隆志(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム) +19秒
4 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) +4分21秒
5 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +4分37秒
6 岡泰誠(イナーメ信濃山形) +4分46秒

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Jプロツアー2018

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