ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第19ステージ標高2025mの大決戦でピノが大会2勝目 総合首位のイェーツはバルベルデを1分以上突き放す

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャは第17ステージが9月14日、レリダからアンドラ.ナチュランディアまでの154.4kmで争われ、ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)が大会2勝目となるステージ優勝を飾った。総合首位のサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)はラスト10km地点でアタックを仕掛け、同2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)から1分13秒のタイムを稼ぎ、初のグランツール総合優勝に向けて大きく前進した。

最後はサイモン・イェーツを振り切って、大会2勝目を飾ったティボー・ピノ Photo: Yuzuru SUNADA

スタートから80km近く逃げが決まらず

 この日のコースは前日のフィニッシュ地点となったレリダをスタートし、やや上り基調であるものの概ね平坦な道を進んで、アンドラ公国へ入国。フィニッシュ地点は1級山岳コル・デ・ラ・ラバッサ(登坂距離17%・平均勾配6.5%・最大勾配13.8%)の長い上りの山頂に設定されていた。

 スタート直後から、激しいアタック合戦が繰り広げられたものの、モビスター チームがコントロールするメイン集団は一切の逃げを許さない構えを見せていた。25秒差で総合首位を追うバルベルデにボーナスタイムを取らせる作戦で、強力な逃げ集団が生まれないようにコントロールしていた。そのため、いくつか小集団が抜け出すことはあるものの、タイム差を広げられないままメイン集団に引き戻されることを繰り返していた。

この日総合4位に後退したが、好走が続く23歳のエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) Photo: Yuzuru SUNADA

 スタートして40kmを過ぎたところで、ようやくミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)ら3人が抜け出すことに成功。1分30秒ほどリードを築いて、ようやく逃げらしい逃げ集団が生まれた。

 そこで、どうしても逃げ切りステージ優勝を狙い選手たちが先頭の3人をめがけてメイン集団から続々とブリッジを仕掛ける。バンジャマン・トマ(フランス、グルパマ・エフデジ)を含む9人の選手がクウィアトコウスキーら先頭集団に追いつき12人が逃げる展開となった。

 そうなると、黙っていないのはモビスターだ。大人数の逃げは容認できないため、集団を率いて逃げとの差を詰めていき、残り90km地点で12人の逃げも吸収した。一つになった集団から再度クウィアトコウスキーら7人の選手が抜け出すも、やはりモビスターはこの動きも潰す。

 再び7人の選手が抜け出すも、モビスターは追走の手を緩めない。逃げ集団からさらに飛び出したヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チーム スカイ)、トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、トマが先行するも、モビスターはタイム差を1分程度にコントロールしていた。

 残り71km地点、逃げ切りが薄いと判断したヴァンアスブロックは先頭集団から離脱。すると、ようやくモビスターは追走の手を緩め、2人となった逃げ集団とのタイム差は徐々に拡大。この時点で、レーススタートから2時間が経とうとしていた。

 最大2分30秒程度までタイム差が開いたものの、残り34km付近では横風を利用して、またしてもモビスターがペースアップ。一時はサイモン・イェーツが後方集団に取り残される場面もあったものの、攻撃は長く続かずイェーツは無事に集団復帰を果たした。この影響で逃げとのタイム差は1分程度まで縮まっていた。

 残り17km地点、最後の1級山岳のふもとにたどり着いたところで、逃げの2人は吸収。いよいよ総合勢による大決戦の火蓋が切って落とされた。

イェーツがバルベルデを置き去りに成功

 1級山岳に入ってからもモビスター勢のコントロールは続行。先頭はウィネル・アナコナ(コロンビア)が引いていた。3kmほど先頭でペースをつくったアナコナが仕事を終えると、続いてロットNL・ユンボが主導権を握り、ジョージ・ベネット(ニュージーランド)が先頭に立つ。

 すると、残り13km地点でナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)がアタック。ベネットとステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)がチェックに入り、3人が集団から抜け出した。

バルベルデのアシストとして立ち回ったものの、不運に見舞われたナイロ・キンタナ Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団はジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が先頭でアシスト。キンタナグループとの差を10秒程度に留めながら、ペースをつくっていた。

 先頭集団からベネットが離脱すると、メイン集団からピノが飛び出して、先頭にブリッジ。先頭集団は再び3人となった。

 ちょうどフィニッシュまで残り10kmを残したポイントで、メイン集団からサイモン・イェーツがアタックした。ライバル選手たちにチェックする隙さえ与えず、単独で先頭にブリッジ。そのまま先頭に立つとペースアップを継続する。アンドラ公国在住のイェーツにとって、1級山岳コル・デ・ラ・ラバッサの上りは勝手知ったる場所。走り慣れた道をハイペースで突き進んでいった。

 一方、取り残されたバルベルデグループは、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)が先頭でけん引するも、イェーツとのタイム差を縮めることができない。とはいえ、総合7位のヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)が遅れてしまうなど、決して悪くないペースだった。

 カラパスが限界に達すると、バルベルデグループはけん制状態に陥った。先頭集団ではステージ優勝を狙いたいピノ、総合表彰台が見えてきたクライスヴァイク、そしてバルベルデを突き放したいイェーツら3人の利害が完全に一致しており、互いに協調しながらハイペースを維持しており、イェーツグループとバルベルデグループとのタイム差は徐々に開いていった。

ピノがステージ優勝、イェーツは後続を振り切る

 そこで、先頭集団からキンタナが下がって、バルベルデのアシストを開始。ところが、間の悪いことにキンタナがパンクに見舞われてしまう。即座にバイク交換して、バルベルデのもとに復帰できたものの、その間に先頭とのタイム差はさらに広がり、とうとう1分となってしまった。
 
 キンタナの献身的な働きにより、バルベルデの集団は何とかイェーツたちとの差を1分程度に留めていた。しかし、残り4km地点でエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)がアタックすると、キンタナは脱落してしまう。

チームとして総攻撃を仕掛けたものの、上りに苦しんだアレハンドロ・バルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA
終盤は自ら動いたものの、クライスヴァイクに総合で逆転を許したミゲルアンヘル・ロペス Photo: Yuzuru SUNADA

 頼みの綱を失ったバルベルデは、自ら集団の先頭に立って引かざるを得ない状況に追い込まれるも、ミゲルアンヘル・ロペス(スペイン、アスタナプロチーム)のアシストであるペリョ・ビルバオ(スペイン)が先頭でペースメイクを開始した。

 残り2kmを切った地点でも、先頭とのタイム差は依然として1分あった。残り1.5km地点でロペスがアタックを仕掛けると、マス、バルベルデ、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)の4人のみが残った。続けざまにマスがカウンターアタックを仕掛けると、ついにバルベルデが陥落。ロペス、マス、ウランからも遅れてしまった。

 先頭集団は残り1km地点のアーチをくぐった。サイモン・イェーツがさらにペースを上げると、クライスヴァイクが遅れた。とにかく後続とのタイム差を広げたいイェーツはラストスパートかのようにペースアップを継続。

サイモン・イェーツとの差を確認するティボー・ピノ Photo: Yuzuru SUNADA

 残り200mを切ったところで、付き位置のピノがスプリント開始した。イェーツを振り切って、大会2勝目となるステージ優勝を飾った。

 5秒遅れてイェーツがフィニッシュ。さらに8秒遅れてクライスヴァイクがステージ3位に入った。先頭から52秒遅れでロペス、マス、ウランがフィニッシュ。バルベルデは粘りを見せたものの1分12秒遅れのステージ8位となり、イェーツから1分以上タイムを失う結果となった。

 レース後のピノは「もう一度勝てるとは思っていなかったので、とても嬉しいよ。水曜(第17ステージ)は気分が悪かったけど、調子が戻ってきたんだ。自分向きのコースだったので、早めにアタックを仕掛けたいと思っていた」と振り返った。

表彰式でカバ(カタルーニャ産のスパークリングワイン)を振りまくティボー・ピノ Photo: Yuzuru SUNADA

 一方バルベルデに対して1分38秒までリードが拡大したサイモン・イェーツは「明日のステージをとても警戒する必要がある。もちろん、今日は良い結果になったけど、レースが終わるまでは油断できない」と、翌日の最終決戦に向けて気持ちを切り替えており、「調子は良かった。アタックを仕掛けるまでジャック(ヘイグ)が素晴らしい仕事をして、もし集団に引き戻されたときに備えてアダム(イェーツ)が待機してくれていた。チームはファンタスティックな仕事ぶりだったけど、さっきも言ったように今はもう明日に集中しているよ」と語った。

 その第20ステージは、アンドラ.エスカルデス=エンゴルダニからコル・デ・ラ・ガリナ.サントゥアリ・デ・ラ・マーレ・デ・ドゥ・デ・カノリックまでの97.3kmで争われる。100km足らずのコースに、カテゴリー山岳6つが詰め込まれ、最後は超級山岳へフィニッシュする、最終決戦にふさわしい難関山岳ステージだ。大量の山岳ポイントが待ち受けるなかで山岳賞ジャージを巡る争い、そして佳境を迎えた総合争いの行方に注目だ。

第19ステージ結果
1 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) 3時間42分5秒
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +5秒
3 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +13秒
4 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +52秒
5 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)
6 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)
7 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +1分3秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分12秒
9 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +1分15秒
10 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分49秒
パック)

個人総合(マイヨロホ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 76時間44分41秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分38秒
3 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +1分58秒
4 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +2分15秒
5 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +2分29秒
6 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +4分1秒
7 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +5分22秒
8 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +5分29秒
9 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +6分30秒
10 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +7分21秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 125 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 99 pts
3 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム) 93 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 74 pts
2 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 64 pts
3 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 60 pts

複合賞(コンビナダ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 12 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 14 pts
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 18 pts

チーム総合
1 モビスター チーム 230時間36分5秒
2 バーレーン・メリダ +27分38秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +42分29秒

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