ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第17ステージ最大勾配24%の激坂を制したウッズが天国の息子に捧げる勝利 サイモン・イェーツは首位キープ

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージは9月12日にゲチョからバルコン・デ・ビスカヤまでの157kmで争われ、最大斜度24%の激坂バトルを逃げ切ったマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が制した。総合争いではマイヨロホのサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスターチーム)から8秒失うも、25秒差で総合首位を守った。

ワールドツアー&グランツール初勝利となるステージ優勝を飾ったマイケル・ウッズ Photo: Yuzuru SUNADA

デヘントが山岳ポイント荒稼ぎ

 前日の個人タイムトライアルが行われたカンタブリア州から、東へ移動してバスク州に戦いの場を移した。バスク州最大の都市であるビルバオ近郊の街・ゲチョをスタートし、ビルバオ周辺を周回し、6つのカテゴリー山岳が登場する中級山岳ステージだ。

 ラスト40km区間にはカテゴリー山岳が4つ詰め込まれ、最後は1級山岳バルコン・デ・ビスカヤへとフィニッシュする。1級山岳は登坂距離7.3km・平均勾配9.7%で、後半には最大勾配24%の激坂が待ち受けており、フィニッシュ前も10%を越える急坂が続く厳しい上りとなっていた。

昨年引退したアルベルト・コンタドール氏がゴール地点に登場 Photo: Yuzuru SUNADA

 レーススタート直後からアタック合戦が活発化。逃げが決まらないままに最初の3級山岳を上り始めた。上りの中腹からルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が先頭で強烈なペースアップを図ると、20人以上が抜け出す展開となり逃げが決まった。

 山頂は山岳賞ランキングで2位につけているトマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が先頭通過。同ランキング4位のバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が2位通過を果たした。

 逃げメンバーはデヘント、モレマ、ペストルベルガー、ウッズ、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ダビ・デラクルス(スペイン、チーム スカイ)、ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チーム スカイ)、オマール・フライレ(スペイン、アスタナ プロチーム)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)、サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム)ら26人。

 この中で最も総合成績が良いのは12分1秒遅れの総合16位のデラクルス。ちなみにマイカはこの日が誕生日で、フライレとカストロビエホは地元バスク出身の選手だ。

 最初の3級山岳に続き、2級・3級・3級・3級と5つのカテゴリー山岳をデヘントが先頭通過。山岳賞ランキング首位のルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)を逆転してマイヨモンターニャを奪取することになった。

山岳賞ジャージに袖を通したデヘント Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団はリーダーチームのミッチェルトン・スコットがコントロールを担い、逃げ集団とのタイム差は最大8分程度に抑えられていた。途中から地元バスク州に本拠地を置くエウスカディ バスクカントリー・ムリアスも、ミッチェルトン・スコットと共に集団けん引を開始。徐々にタイム差は縮まり、2級山岳を越えるころには5分を切ってきた。

 残り25km地点付近の3級山岳の途中からアスタナが強烈なペースアップを図ると、一気に集団の人数が減った。逃げ集団とのタイム差を3分30秒まで縮めたものの、先頭集団の逃げ切りが濃厚となった状況で、最後の1級山岳のふもとに到達した。

激坂でのデッドヒートをウッズが制す

 1級山岳に入り、先頭集団で最初に仕掛けたのはクラークだった。すぐに吸収されると、デマルキが先頭でペースを作り始めた。残り4kmを切ると一気に勾配が厳しくなる区間に差し掛かり、デマルキが離脱。すると、ウッズ、トゥーンス、マイカ、デラクルスら8人が抜け出した。

激坂区間でアタックを仕掛けるディラン・トゥーンス。背後にはマイカ Photo: Yuzuru SUNADA

 そして最大斜度24%の超激坂区間に突入すると、デラクルスが先頭でペースアップ。ファンで埋め尽くされた沿道をかき分けるようにデラクルスが突き進むと、生き残ったのはデラクルス、ウッズ、トゥーンス、マイカの4人だけだった。

 残り1.4km地点、デラクルスが再度加速するとウッズのみが反応。トゥーンスとマイカは遅れたものの、その後勾配が緩んだ区間で先頭の2人に追いつき、勝負は振り出しに戻った。

激坂区間を耐えるウッズ Photo: Yuzuru SUNADA

 デラクルスを先頭にラスト1kmのアーチをくぐり抜けると、残り800mでマイカがペースアップ。マイカがペースを緩めた瞬間にウッズがカウンターアタック。しかし、後続を突き放すことができないと見るやいなや、今度はトゥーンスが猛加速。勾配10%超の激坂区間で、アタックの打ち合いのデッドヒートが繰り広げられていた。

 トゥーンスのアタックをチェックしていたウッズが、残り400m付近でトゥーンスをかわしてラストスパートを仕掛けると、誰もウッズのペースについていけなかった。濃霧が立ち込める山頂付近で、後続の姿がはっきり確認できないほどに差をつけてフィニッシュへ。

 最後まで踏み抜いたウッズが自身初となるワールドツアーとグランツールでのステージ優勝を飾った。

 トゥーンスは最後まで諦めずに粘りの走りを見せたが、ウッズから5秒遅れでフィニッシュした。

天国の息子に捧げる勝利を挙げたウッズ Photo: Yuzuru SUNADA

 ステージ優勝を飾ったウッズは「監督が無線で私にエールを送ってくれたんだ。『家族のために勝て』と。2カ月前に妻と私は死産を経験した。私たちは”ハンター”と名付けていた息子を失い、本当に辛い時間を過ごした。だからこそ、今日は息子のために勝ちたかったんだ」と、家族への思いを語りながら、感極まって涙を流す姿が見られた。

サイモンは8秒失うもマイヨロホを守る

 一方のメイン集団では、1級山岳の上り区間に入るとペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム)が先頭でペースアップを継続。残り4kmを切って勾配の厳しい区間に入ると、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が先頭に上がってきた。

 そのタイミングでバルベルデがアタックを仕掛けた。しかし、ヘイグがバルベルデの背後をピタリとマークして逃さなかった。

 ヘイグが先頭でのけん引を終えると、今度はアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が先頭に立った。アダムのペースメイクは強烈で、総合4位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が遅れるほどだった。

アダム・イェーツに先導されて走るマイヨロホのサイモン・イェーツ。バルベルデ、マスらが続く Photo: Yuzuru SUNADA

 マイヨロホグループには、サイモンとアダム、バルベルデ、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)、エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)の6人しか残っておらず、アダムが先頭固定で引いたまま勾配24%の激坂区間をクリアした。

 状況を打開しようとロペスがアタックを仕掛けるものの、アダムが冷静に対処したため不発に終わる。さらにはクライスヴァイクがハイペースについていけずに脱落した。

 ラスト1kmを切って、勾配がより厳しくなる区間を迎えるとバルベルデとマスが先行。サイモンとロペスはやや遅れを喫してしまい、山頂間近でさらに加速したバルベルデに差を開けられてしまった。

前日の個人TTで躍進したクライスヴァイクだが、この日は打って変わって失速 Photo: Yuzuru SUNADA

 バルベルデとマスが同タイムでフィニッシュすると、8秒遅れてサイモン、10秒遅れてロペスがフィニッシュ。クライスヴァイクは大失速してしまい、遅れていたキンタナに追いつかれたまま、バルベルデから1分4秒遅れでのフィニッシュとなった。総合ではクライスヴァイクとキンタナが順位を落とし、代わってマスが総合表彰台圏内の3位に浮上した。

 レース後のサイモン・イェーツは「タイムを失わないに越したことはないが、前の2人(バルベルデとマス)は非常に強かった。自分自身は良い走りができたと思うし、アダムは最後まで自分のそばで素晴らしい仕事をしてくれた。今日が一番心配な日だったので、マイヨロホを守ることができて嬉しいよ」と語っていた。

 翌第18ステージは、エヘア・デ・ロス・カバジェロスからレリダまでの186.1kmで争われる。カテゴリー山岳がまったくない平坦ステージとなっているため、久々にスプリンターたちの出番となりそうだ。総合勢は第19、20ステージの最終決戦に向けて、力を温存する一日としたいところだ。

第17ステージ結果
1 マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 4時間9分48秒
2 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム) +5秒
3 ダビ・デラクルス(スペイン、チーム スカイ) +10秒
4 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +13秒
5 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +38秒
6 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム) +44秒
7 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、チーム ディメンションデータ) +48秒
8 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) +51秒
9 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +55秒
10 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分48秒

個人総合(マイヨロホ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 69時間5分34秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +25秒
3 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1分22秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分36秒
5 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +1分48秒
6 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +2分11秒
7 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +4分9秒
8 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +4分36秒
9 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +5分31秒
10 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +6分5秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 117 pts
2 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム) 93 pts
3 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 83 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 74 pts
2 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 64 pts
3 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 60 pts

複合賞(コンビナダ)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 14 pts
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 14 pts
3 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 15 pts

チーム総合
1 モビスター チーム 207時間31分18秒
2 バーレーン・メリダ +2分19秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +28分24秒

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