ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第16ステージデニスが個人TTを圧勝 総合首位イェーツは2位との差を拡大、クライスヴァイクが3位に躍進

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 スペインで開催のブエルタ・ア・エスパーニャは9月11日、第16ステージが32kmの個人タイムトライアル(TT)で行われ、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が2位に50秒のタイム差を付ける圧勝で、第1ステージに続く今大会TT2勝目を挙げた。サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)は総合首位をキープしたが、3位以下は順位が入れ替わり、区間4位に入ったステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)が総合3位へと浮上している。

オーストラリアTTチャンピオンのデニスが、第1ステージに続き今大会TT2勝目を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

TTスペシャリストのデニスが好タイム

 3週間で争われるブエルタは、2度目の休息日を終え、いよいよ運命の最終週のレースがスタートした。初日は今大会2度目の個人TT。サンティリャーナ・デル・マルからトレラベガに至る32kmのコースは、アップダウンはあるが緩やかで、TTスペシャリスト向き。中盤に若干長めの上り区間があり、ここを越えての後半でどれだけタイムを伸ばせるかがカギとなる。

 上りの厳しさで知られるブエルタは、ここまで総合上位はクライマーが中心。ステージ争いはTTスペシャリストに譲りながら、上位勢は「どれだけタイムを失わないか」が焦点となってくる。

バルベルデは総合2位をキープ Photo: Yuzuru SUNADA

 逆にTTスペシャリストたちは厳しい上りに苦しめられ、総合下位に沈んでいる選手が少なくない。今大会の第1ステージを制したデニスもその一人だった。総合102位のデニスは、最下位から順にスタートする個人TTを、レース前半にあたる65番目にスタートした。

 デニスは順調に途中2つの中間計測ポイントを首位で通過すると、それまでトップタイムだったヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チーム スカイ)を50秒上回る、37分57秒のタイムを記録。デニスは暫定トップの選手が座るホットシートで、後続の選手のレースの行方を見守ることになった。

クライスヴァイクが中間計測でトップに

 その後はデニスのタイムを更新する選手は現れないまま、続々と選手がスタートしてはゴールしていく。この日デニスのライバルの一人と目されていた、総合26位のミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)だが、第1中間計測でデニスと4秒差の好タイムをマークしたものの、後半失速して51秒遅れでのフィニッシュとなった。

 ホットシートに座るデニスは、完全にリラックスムード。いよいよ総合トップ10の上位勢がスタートしていく。

あわや区間優勝かという好走を見せたクライスヴァイク Photo: Yuzuru SUNADA

 総合上位勢では、クライスヴァイクが驚きの走りを見せた。10km地点の第1計測ポイントで、デニスのタイムを4秒上回ったのだ。総合5位のクライスヴァイクは、首位のサイモン・イェーツとは1分29秒差。一気に表彰台圏内をうかがう走りで、ライバルにプレッシャーをかける。また総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)が4位のタイムで通過。この時点でサイモン・イェーツから3秒のリードを奪った。

 一方でTTを得意としない総合3位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)、総合4位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)は、ともにクライスヴァイクから40秒遅れで第1計測を通過。総合順位を落とすことが濃厚になった。

苦手のTTで順位を落としたキンタナ Photo: Yuzuru SUNADA
ロペスは総合6位に後退 Photo: Yuzuru SUNADA

キンタナ、ロペスは後退

 前半ハイペースで好タイムを出したクライスヴァイクだが、中盤以降はスピードが伸びなかった。21km地点の第2計測ポイントでは、トップのデニスから逆に24秒遅れとなってしまう。結局、ゴールではデニスから51秒差の4位と、ステージ優勝は逃した。だが個人総合においては、表彰台争いに食い込む好走だ。

サイモン・イェーツは首位の座をキープ Photo: Yuzuru SUNADA

 注目はクライスヴァイクに続く4人のタイム。キンタナは2分10秒遅れの区間26位となり、クライスヴァイクに総合3位の座を明け渡すことになった。ロペスはさらに遅い2分19秒遅れ。両者とも総合では順位、タイム差ともに後退することになった。

 総合2位のバルベルデと首位のサイモン・イェーツは、第2計測ポイントでイェーツがバルベルデを逆転。最終的にイェーツはデニスと1分28秒差の、区間13位でまとめた。バルベルデは1分35秒差の区間15位。両者の順位は変わらず、若干だがタイム差が広がることになった。

デニスは世界選手権に照準

 1時間半以上ホットシートに座り続けたデニスは、優勝が決まった瞬間もリラックスムード。今季の6勝は全て個人TTで、オーストラリア選手権を除く5勝は全てUCIワールドツアーと、TTで圧倒的な強さを発揮している。

 優勝が決まったデニスは、「ブエルタは世界選手権に向けての最高の調整になったと思う。第1週の9日間は本当に辛かったが、幸運にも涼しくなり始めて、だんだん調子が良くなってきた」と語る。実はこの日でブエルタをリタイアして、2週間後のロード世界選手権に向けての最終調整に入る。狙うのはもちろん個人TT、そしてチームTTでの世界チャンピオンだ。

ゴール地点は元ロード世界チャンピオンのオスカル・フレイレの名を冠した競技場。表彰式にはフレイレ氏が登場し、優勝のデニスを祝福 Photo: Yuzuru SUNADA

 一方で総合上位勢にとっては、ここからが最終決戦。残る5ステージのうち3ステージで、激しい上りのコースが設定されている。翌第17ステージは、中級山岳ステージにカテゴライズされるが、その中身は厳しい設定。バスク州を南北にめぐりながら、途中5つのカテゴリー山岳をこなす。最後の山頂フィニッシュにそびえ立つのは、ブエルタ初登場のアルト・デル・バルコン・デ・ビスカヤ。登坂距離7.3kmの上りの後半で、最大勾配23.83%の驚異の区間が待ち受ける。

第16ステージ結果
1 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 37分57秒
2 ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、BMCレーシングチーム) +50秒
3 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チーム スカイ)
4 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +51秒
5 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)
6 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1分3秒
7 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター チーム) +1分5秒
8 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +1分7秒
9 シモン・ゲシュケ(ドイツ、チーム サンウェブ) +1分10秒
10 カスパー・アスグリーン(デンマーク、クイックステップフロアーズ)

個人総合(マイヨロホ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 64時間52分58秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +33秒
3 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +52秒
4 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分15秒
5 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1分30秒
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分34秒
7 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +2分53秒
8 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +3分4秒
9 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +3分15秒
10 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +4分43秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 116 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 83 pts
3 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム) 73 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 64 pts
2 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 57 pts
3 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) 56 pts

複合賞(コンビナダ)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 13 pts
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 15 pts
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 16 pts

チーム総合
1 モビスター チーム 194時間50分8秒
2 バーレーン・メリダ +47秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +29分5秒

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