ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第18ステージワライスが逃げ切り勝利 総合トップ10は変動なしで山岳決戦へ

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 ブエルタ・ア・エスパーニャの第18ステージは9月13日、エヘア・デ・ロス・カバジェロスからレリダまでの186.1kmで争われ、イエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)が逃げ切り勝利を飾った。ワライスにとってグランツールでの勝利は初。彼のキャリアにとって貴重な勝利となった。総合トップ10は全員トップとタイム差なしでゴール、マイヨロホはサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がキープしている。

冷静な判断で勝利を手にしたワライス Photo: Yuzuru SUNADA

スプリンターによる熱戦

 久し振りにスプリンターの見せ場がやってきた。タイムトライアルとマドリードでの第21ステージを除くと、カテゴリー山岳が一つも設定されていないのは、この第18ステージのみ。終盤は、ラスト2kmのラウンドアバウトからやや下り、1km地点の直角コーナーを右折してゴールする。難易度はそれ程高くない。スプリンターは是が非でも勝利したいだろう。

 一方、総合勢にとっては心休まるステージ。明日の難関山岳ステージに向け脚を休めながら、タイムを失わないよう安全にフィニッシュしたいところだ。

総合を争うミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)とナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは早々に逃げが決まる。3km地点でワライス、スヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)、イェツェ・ボル(オランダ、ブルゴス・BH)がアタックをすると、集団はこの動きを容認。逃げ3人とメイン集団という形ができあがる。

 メイン集団をコントロールするのは、ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)擁するトレック・セガフレードとエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)擁するクイックステップフロアーズ。積極的に牽引を行う。

昨日落車したファビオ・アル(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)も無事出走 Photo: Yuzuru SUNADA

 また、レースが進むと、ペテル・サガン(スロバキア)での勝利を狙うボーラ・ハンスグローエも集団コントロールに加わり始めた。逃げとメインのタイム差は最大でも約3分。メイン集団は、逃げ3人をいつでも捉えられるようレースをコントロールしていた。

 ゴールまで20kmを切る頃、タイム差は約1分半。メイン集団が、強力な逃げ3人とのタイム差を徐々に詰め始める。集団前方で牽引するのは、依然としてクイックステップフロアーズやトレック・セガフレード、ボーラ・ハンスグローエ。また、サイモン・イェーツ擁するミッチェルトン・スコットやアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)とナイロ・キンタナ(コロンビア)擁するモビスターも、危険回避のために集団前方で走行していた。

逃げ3人が予想外のスピードで走行

 このまま徐々にタイム差が縮まり、集団が逃げを吸収してスプリント勝負に持ち込まれると思われたが、予想外の展開が起こる。逃げと集団のタイム差が思うように縮まらないのだ。それもそのはず、逃げ切りを狙う3人のスタートから3時間の平均時速は45.2km、予想外のハイスピードで走行していたのだ。慌てたメイン集団はこれまで以上にペースアップ、ロットNL・ユンボやエウスカディ バスク カントリー・ムリアスも集団牽引に加わる。だが、タイム差は思うように縮まらなかった。

最終局面、冷静な判断で仕掛けたワライス Photo: Yuzuru SUNADA

 残り7km、逃げの3人にも動きが出る。ボルが、ペースアップを計るワライスとビストラムについて行けなくなる。逃げ切りを狙う2人は、ボルを切り離して先を急ぐ。

 残り2km、逃げ2人がラウンドアバウトを通過したときのタイム差は20秒。いよいよ逃げ切り濃厚となる。それを察してか、ワライスは早くも牽制。ビストラムに前を引かせる。

 一方、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が先頭でペースアップを計るメイン集団は、ようやく逃げ2人が視界に入る状態になったものの、吸収には至らなかった。

ワライスがスプリンターらの追撃を振り切って貴重なグランツール初勝利を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

 フィニッシュまでの一直線、最初に仕掛けたのはメイン集団のサガン。ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)に発射され、ロングスプリントを仕掛ける。さらに、ヴィヴィアーニやダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNL・ユンボ)もスプリントを開始。その動きを感じてか前ではビストラムもスプリントをスタートする。しかし、ワライスはギリギリまで我慢。依然としてビストラムの後ろにピタリとつき、勝負所をうかがっていた。

 そのワライスが動いたのは、集団が前2人を飲み込もうかというとき。スプリントを開始し、スッとビストラムの前へ。最後は余裕でビストラムを差し切り、フィニッシュラインを通過した。

本ブエルタでチーム内最年長のモンフォールと抱き合う Photo: Yuzuru SUNADA

 現在29歳のワライスは、過去にパリ~トゥールやドワーズ・ドール・フラーンデレンを制したことのある、実力と経験を併せ持った選手。その経験に基づいた最終局面での冷静な判断が、今回の勝利を引き寄せた。

ブエルタ3回目の出場にして、初のステージ勝利を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

 一方、マイヨロホはサイモン・イェーツがキープ。総合トップ10にも変動はない。ただ、明日は、山頂ゴールの山岳ステージ。マイヨロホを巡る熾烈な争いが繰り広げられるだろう。

第17ステージ結果
1 イエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル) 3時間57分3秒
2 スヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ) +0秒
3 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
5 イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)
6 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNL・ユンボ)
7 ヨン・アベラストゥリ(スペイン、エウスカディ バスク カントリー・ムリアス)
8 トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
9 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)
10 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、チーム ディメンションデータ)

個人総合(マイヨロホ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 73時間2分37秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +25秒
3 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1分22秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分36秒
5 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +1分48秒
6 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +2分11秒
7 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +4分9秒
8 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +4分36秒
9 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +5分31秒
10 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +6分5秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 117 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 99 pts
3 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム) 93 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 74 pts
2 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 64 pts
3 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 60 pts

複合賞(コンビナダ)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 14 pts
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 15 pts
3 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 16 pts

チーム総合
1 モビスター チーム 219時間22分47秒
2 バーレーン・メリダ +2分35秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +28分4秒

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