ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第14ステージサイモン・イェーツが激坂で最後抜け出し今大会初勝利 再び首位に立ちマイヨロホ

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 スペインで開催のブエルタ・ア・エスパーニャは9月8日、第14ステージがシスティエルナからレス・プラエレス.ナバに至る171kmで行われ、激坂での先頭争いから最後単独抜け出したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が区間優勝、同時に総合首位のマイヨロホも獲得した。

最終盤にアタックを決めたサイモン・イェーツが区間優勝 Photo: Yuzuru SUNADA

クウィアトコウスキーら6人が逃げ

 ブエルタ第2週のクライマックスとなる、アストゥリアスの激坂3連戦の2日目、この日は中盤から2級・1級・1級・3級の上りを経て、最後は1級山岳の山頂フィニッシュとなる。1級山岳はいずれも距離は4〜6km程度と長くないが、最大勾配は10%以上に達するパンチのある上り。最後に控えるアルト・レス・プラエレレスは、平均勾配12.5%、最大17%というまさに激坂だ。

序盤から終盤まで積極的な走りを見せたクウィアトコウスキー。この日の敢闘賞に輝いた Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはスタート直後の、山岳カテゴリーの付かない丘の上りで、まず逃げを狙ったアタック合戦が繰り広げられた。今大会序盤でマイヨロホを着ていた、総合19位のミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)が抜け出すと、これに5人が合流して、6人の逃げグループが形成された。

 逃げはクウィアトコウスキーと、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシングチーム)、マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)、イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)というメンバー。総合最上位のクウィアトコウスキーがまだ首位と5分差と上位に付けていることから、集団は大逃げを容認せず、タイム差は最大でも3分台に抑えられた。

ニバリがメイン集団を牽引 首位のエラダが脱落

 前半2つの山岳ポイントは、山岳賞争いで4位に付けるデヘントがいずれも1位で通過した。この日3つ目、残り43kmに位置する1級山岳、アルト・デ・ラ・モズケタの上りでは、追走のメイン集団の先頭にヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が立ってペースアップ。集団の人数を絞り込んだ。

逃げ集団で山岳ポイントを獲得したデヘント。山岳賞争いで2位に浮上 Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭からはバーレーン・メリダのチームメートのガルシアが後退。山岳ポイントはデヘントが先頭通過したものの、直後にデヘントがメカトラブルで先頭から下がり、さらにウッズが下りで落車して脱落。逃げグループはクウィアトコウスキー、ロッシュ、ブックウォルターの3人となった。

 1分台後半のタイム差で追うメイン集団は、下りでニバリがさらにペースアップ。集団を絞り込みながら先頭を追いかける。ここでマイヨロホを着るヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)がメイン集団から後退してしまった。

 続く3級山岳の上りでは、クウィアトコウスキーがブックウォルター、続いてロッシュを振り切って、単独先頭に立った。メイン集団も変わらず、ニバリらバーレーン・メリダ勢が先頭を固めて追走する。タイム差は1分を切っていた。

最後の一発で決めたサイモン・イェーツ

 粘ったクウィアトコウスキーだが、最後の上りの手前でついにメイン集団へと吸収された。残り4kmからの上りへは、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)を先頭に、20人ほどの集団で突入した。

激坂前半で積極的な走りを見せたクライスヴァイク。区間6位で総合は5位に付ける Photo: Yuzuru SUNADA

 上りで最初に前へ出たのは、グルパマ・エフデジのルディ・モラール(フランス)とティボー・ピノ(フランス)の2人。続いてステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)が先頭に立ち加速。後続に若干の差を付けた。わずかな差で追うのは、モビスター チームのリチャル・カラパス(エクアドル)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)。モビスターはナイロ・キンタナ(コロンビア)もメイン集団に残り、3人体制で盤石だ。

 しばらくクライスヴァイクを先頭に、後続では追走と合流の小競り合いが続いたが、残り2kmを前にキンタナ(コロンビア)がついに攻撃に出た。先頭に立つキンタナに反応したのはミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)。サイモン・イェーツはマイペース対応だが、ピノ、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)は若干苦しそうな様子を見せている。

激坂後半で攻撃を仕掛けたキンタナだが、独走には持ち込めず Photo: Yuzuru SUNADA

 キンタナにロペスが付き位置で先頭に出ないため、キンタナはペースを緩めて後続も合流した。残り1kmを切って路面は簡易的な舗装に。道路幅も狭くなる中で、サイモン・イェーツが先頭に出てアタックした。じわりとスピードを上げると、キンタナらはこれに付くことができない。最終的には未舗装路になる中、ロペス、バルベルデが追い込むが届かず、サイモン・イェーツがゴールまで逃げ切ってステージ優勝した。

ゴール直前は未舗装路に。サイモン・イェーツをバルベルデらが追いかけるが届かない Photo: Yuzuru SUNADA

ジロ以来の勝利でグランツール初制覇へ

 サイモン・イェーツは今季区間3勝を挙げたジロ・デ・イタリア以来の勝利。「モビスターは3人で自分は単独。全ての動きには反応できなかったが、うまく立ち回れた。とにかく冷静にいることを心がけた。最後の上りがどうなっているか知らなかったので、自分のペースを守った」とレースを振り返る。最後は絶妙なタイミングからのアタックに成功。ここまで上りではキンタナらライバル勢から若干タイムを奪われていたが、この日はついに攻勢へと転じた。

後半遅れたエラダは、マイヨロホを失った Photo: Yuzuru SUNADA

 そして首位のエラダが大きく遅れたことで、サイモン・イェーツは2日前に一度手放したマイヨロホに再び袖を通した。ジロでは大会前半から絶好調で首位を走りながら、終盤で調子を崩して大きく順位を下げた。今大会では前半を抑え気味に走り、徐々に調子を上げながら首位に立って逃げ切りを図る。

 翌第15ステージは、今年のブエルタ第2週目のラストを飾る、アストゥリアス山岳3連戦の最終日。前半からノコギリのように山岳をこなし、最後に待ち受けるのは超級山岳のラゴス・デ・コバドンガ。登坂距離11.7kmに最大勾配20%という激坂が登場する。

ライバルを打ち負かし、晴れやかな表情でマイヨロホに返り咲いたサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

第14ステージ結果
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 4時間19分27秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +2秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
4 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +5秒
5 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +7秒
6 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +11秒
7 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +19秒
8 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +27秒
9 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +37秒
10 ファビオ・アル(イタリア、UAEチーム・エミレーツ) +39秒

個人総合(マイヨロホ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 59時間11分18秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +20秒
3 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +25秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +47秒
5 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +1分23秒
6 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +1分28秒
7 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +1分40秒
8 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1分47秒
9 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +1分55秒
10 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +2分8秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 101 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 83 pts
3 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) 68 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 64 pts
2 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 54 pts
3 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) 40 pts

複合賞(コンビナダ)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 12 pts
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 19 pts
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 24 pts

チーム総合
1 バーレーン・メリダ 177時間31分32秒
2 モビスター チーム +6分42秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +20分43秒

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UCIワールドツアー ブエルタ・ア・エスパーニャ2018

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