ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第13ステージエウスカディの23歳ロドリゲスが大金星 アストゥリアスの山岳初日でプロ初勝利

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 ブエルタ・ア・エスパーニャの第13ステージは9月7日、カンダス.カレーニョからバリェ・デ・サベロ.ラ・カンペロナまでの174.8kmで争われ、オスカル・ロドリゲス(スペイン、エウスカディ バスク カントリー・ムリアス)が逃げ切り勝利を飾った。グランツール初出場、プロ初勝利がブエルタという大金星だ。マイヨロホはヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)がキープしているが、エラダと2位のサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)とのタイム差は1分台にまで縮まった。

地元に勝利をもたらしたロドリゲス Photo: Yuzuru SUNADA

上級山岳の第1ラウンド

 アストゥリアスで行われる上級山岳3連戦。第13ステージはその初日となる。レース前半は、約21km地点に3級山岳があるものの、それ以外目立った難所はない。本番はこの後だ。徐々に上り始め、105km地点には1級山岳プエルト・デ・タルナ(距離13km、平均勾配5.8%)が登場。それをこなし、標高約1000mにある道を50km以上進むと、最大の難所となる1級山岳ラ・カンペローナ(全長8.3km、平均勾配7.5%)が待ち受けている。最大勾配は19.5%、選手の脚を苦しめることは間違いないだろう。

 前回、ラ・カンペローナが登場したのは2016年。ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)がライバルを突き放し、総合優勝を引き寄せたステージだ。ただ、その時はスタート後から平坦基調が続き、唯一の山岳となるラ・カンペローナにフィニッシュするレイアウト。今回は、それ以上の難易度であることは間違いない。一筋縄ではいかないことが予想された。

有力選手を多く含む大逃げ

 レースはスタート直後からアタック合戦が繰り広げられる。そこから約15分後にできた逃げは32人。山岳賞ジャージを着用するルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)、そのマテの山岳ポイントを追いかけるベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、前日も逃げに乗ったディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)、チームのエースナンバーを背負うイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、さらにジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)、マークス・ブルグハート(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ)、ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、メルハウィ・クドゥス(エリトリア、チーム ディメンションデータ)、ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)ら、そうそうたる顔ぶれだった。

この日もマイヨロホをキープしたヘスス・エラダ Photo: Yuzuru SUNADA

 また、この逃げで特徴的だったのが、デヘント含め5人のメンバーを送り込んできたロット・スーダル。前日のステージ終了時点で、チームで最も総合タイムが良いのはモンフォールの40分20秒遅れ。エースのベノート(ベルギー)に関しては、落車もあり1時間以上遅れとなっていた。チームとして山岳賞狙いに切り替えたことがわかる動きだった。その思いに応えるように、デヘントは最初の3級山岳を1位で通過した。

 一方メイン集団はこの逃げを容認、スタートから50km地点では約5分、その後は9分近いタイム差が付いていた。集団コントロールはリーダージャージ擁するコフィディスだけでなく、モビスター チーム、EFエデュケーションファースト・ドラパック、ミッチェルトン・スコットなども加わっていた。

 メイン集団に動きがでたのは、1級山岳プエルト・デ・タルナへの上り。モビスターがペースアップを始める。頂上に差し掛かる頃、その差は約6分に縮まっていた。また、同じ頃、トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル)が逃げから脱落するが、チームメートのデヘントはこの山岳も1位通過に成功した。

 その後、逃げから数名の選手が脱落するものの、逃げとメインという形はしばらく変わらず。タイム差は5分から6分に保たれていた。

組織でボーラが勝利を狙う

 コフィディスやモビスター、ミッチェルトン・スコットが牽引するメイン集団は、徐々に前との差を詰め、6km地点でのタイム差は約3分となる。しかし、そこから思うようにタイムは縮まらず逃げ切りが濃厚になった。一方、逃げ集団は勝利に向け活性化。マイカでの勝利を狙いマッカーシーが積極的に動く。同時に、その動きについていけない選手が一人、また一人と脱落。その中にはマテやデヘントも含まれていた。

先頭を走るトゥーンスとマイカ。この二人の勝負になるかと思われたが意外な結末に Photo: Yuzuru SUNADA

 残り約4.5km、逃げ集団を牽引していたマッカーシーが仕事を終え後退。入れ替わるようにブルグハートがマイカの為に働く。その中で最初に動きを見せたのは、ザカリン。残り3.3kmで仕掛ける。しかし、その動きはマイカがチェック。ザカリンの動きは不発に終わり、逃げは1つのままレースが進んだ。

 残り2.5km、次に動いたのはマイカだった。しかし、他の選手も黙ってはいない。クドゥスとトゥーンスが反応する。マイカは二人を振り切ろうとするがトゥーンスが粘り、1.5km地点ではマイカとトゥーンスが先行する形になった。

伏兵ロドリゲスの登場で予想外の展開へ

 このままこの二人の争いになるかと思われた残り1km、後ろからロドリゲスが追いついた。さらにそこから、二人をかわし単独先頭に躍り出る。フィニッシュへ向け軽快なペダリングを見せるロドリゲス。マイカとトゥーンスもワールドツアーチームの意地を見せんとばかりにペースを上げるが、時すでに遅し。ロドリゲスが一番にフィニッシュラインを通過した。

スペインのニューヒーローが誕生 Photo: Yuzuru SUNADA

 ロドリゲスは、現在23歳のスペイン人。2016年からエウスカディ バスク カントリー・ムリアスに所属している。だが、所属当時のチームはコンチネンタルチーム。今年チームがプロコンチネンタルチームに昇格し、ようやくワールドクラスのレースに出場できるようになったばかりの選手だ。今シーズンはHCクラスのツアー・オブ・アルプスで山岳賞を獲得し実力の片鱗を見せていたが、プロでの勝利を今回が初めて。スペイン人にとって最高の舞台であるブエルタに初出場して初勝利という、最高の結果を手に入れた。

初々しさを感じるポディウム Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団での総合勢のバトルは、キンタナが優勝のロドリゲスから2分32秒差でゴール。サイモン・イェーツは2分38秒差、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)とティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)は2分49秒差、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)は2分52秒差、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)とステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)は2分57秒差でゴールするなど、それぞれタイム差が生まれた。

最後の上りでサイモン・イェーツにタイム差を付けてゴールしたキンタナ Photo: Yuzuru SUNADA
ゴール後、精根尽き果てた様子でスタッフに抱きかかえられるバルベルデ(左)とピノ Photo: Yuzuru SUNADA

 総合首位のエラダは、ロドリゲスから4分18秒遅れでゴール。前日3分以上あった2位のサイモン・イェーツとのタイム差は1分台にまで縮まったが、マイヨロホのキープに成功した。

 第13ステージは、システィエルナからレス・プラエレス.ナバまでの171km。この日と同じく山頂フィニッシュ、総合勢による激しいレース展開が予想される。

第13ステージ結果
1 オスカル・ロドリゲス(スペイン、エウスカディ バスク カントリー・ムリアス) 4時間17分5秒
2 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +19秒
3 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム) +30秒
4 ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル) +38秒
5 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +43秒
6 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、チーム ディメンションデータ) +1分0秒
7 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1分12秒
8 ピーター・セリー(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +1分21秒
9 エドワルド・ラヴァージ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ) +1分25秒
10 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) +1分27秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 54時間50分19秒
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +1分42秒
3 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分50秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分54秒
5 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +2分23秒
6 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +2分33秒
7 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +2分35秒
8 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +2分40秒
9 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +2分44秒
10 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +2分47秒

ポイント賞(プントス)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 85 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 83 pts
3 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) 68 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 64 pts
2 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) 40 pts
3 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 34 pts

複合賞(コンビナダ)
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 15 pts
2 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) 20 pts
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 36 pts

チーム総合
1 バーレーン・メリダ 164時間25分16秒
2 チーム ディメンションデータ +11分17秒
3 モビスター チーム +13分32秒

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