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山田美緒の「旅する満点バイク」<2>総距離6000km、初テント泊後に感動の涙 トレーニング目的の日本一周自転車旅へ

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 「次は、自転車で来よう」

 20歳のころ旅したケニアの地で、心に決めたことです。

 大学では、「アフリカ地域文化学科スワヒリ語」というマニアックな(?)分野を専攻。在学中、「自分の目で現地を見たい」とケニアとタンザニアを2回、友人と共に訪れました。

 旅先で感じたのは、”外国人”である自分と現地の人たちとの距離。もっと地元の人たちと近い目線に立てないだろうか…そう考えていたときに、”自転車”を思いついたのです。自転車なら、大地を踏み、汗を流し、風や匂いを感じながら自分のペースで旅ができる。私が感じたよそ者としての距離も、少なくなるのではないか。

走行距離6000km、およそ2カ月の日本一周自転車旅走行距離6000km、およそ2カ月の日本一周自転車旅

 とはいえ、サイクリング部だったわけでもアウトドア派だったわけでもなく、まずは自転車を買うところからスタートです。そしてその自転車屋さんに”弟子入り”をして、自転車の整備を教えてもらいました。

 トレーニングは自己流。毎日、地元の山の頂上に登って、剣道の素振りを1000本こなしました。また、とにかくいろんな人に「アフリカへ行きたいねん!」と話をして、意見や情報を集めました。

 …でも、98%以上の人が反対意見。人生でこれほど「死ぬよ!」と言われることは、もうないと思います(笑)

 そして残されたのは、両親の説得。口で説明しても許してもらえるはずがありません。そこでまず、日本一周をして経験と実績をつけることにしたのです。

◇      ◇

 大学3年を終え、1年の休学期間が始まった2004年4月、大阪を出発。しまなみ海道を走り四国に渡って四国を一周。八幡浜からフェリーで大分に渡り九州を一周、関門海峡のトンネルを走り本州へ。続いて日本海側を青森まで北上。北海道は函館から旭川まで走り室蘭からフェリーで八戸へ。折り返しは、太平洋側を南下し6月には大阪へ。

日本一周桜満開シーズン。青森のみちのく温泉にて(深浦町)日本一周桜満開シーズン。青森のみちのく温泉にて(深浦町)

 走行距離6000km、およそ2カ月の自転車旅。私が見た日本は、豊かな美しい風景があり、心温かい人がたくさん暮らす素晴らしい国でした。アフリカの人たちにもぜひ伝えたい日本の姿です。

美しい高知県・四万十川流域美しい高知県・四万十川流域

 高知県・四万十川流域の桃源郷のような美しさや、川と共に生きる人たちの姿といった心にしみる風景には、いつかまたここを訪れたいと思いました。

 鹿児島や島根では道を尋ねた家族の家に泊めてもらい、新潟から函館までは大工のおじいちゃんと一緒に走り、札幌では地元の方の家に1週間も滞在してあちこち連れて行ってもらい、箱根峠では「これでお弁当でも買って!」と、なんと1万円をもらい…。

 宿はテント、スーパー銭湯、友人や地元の方の家。食事に関しては出発前にいくつかの企業の社長宛てに直接手紙を書き、サポートをお願いした結果、当時既に全都道府県に展開していた吉野家で食べ放題にしていただいたり、「カロリーメイト」をダンボール箱でいただいたりして旅費を節約することができました。

 初めてのテント泊は、香川県のお寺。今でこそテントは安らぎの場所ですが、当時は怖くて一睡もできませんでした。翌朝昇る太陽を見て温かいうどんを食べたときは、涙があふれたことを思い出します。

香川県は讃岐うどんの本場香川県は讃岐うどんの本場

 日本一周から帰ると、新聞・ラジオ・テレビといったメディアに「日本一周達成、次はアフリカだ!」と取り上げていただきました。これで外堀は埋まりました、もう両親も反対はできません。2004年8月、いよいよアフリカに向けて出発です。


文・イラスト 山田美緒

山田美緒山田美緒(やまだ・みお)
大阪府生まれ。サイクリストとして世界中を旅してきたほか、一般社団法人コグウェイを設立し、「四国ディスカバリーライド」などを主催。著書に、アフリカ大陸縦断記をまとめた『マンゴーと丸坊主』、女性サイクリストたちとの旅や交流の体験記『満点バイク』がある。ブログURL(http://mantem.exblog.jp/)

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ツーリング 山田美緒 旅する満点バイク

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