title banner

旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<12>旅好きの人に薦めたい国、ジョージアとアルメニア 民泊で体感する現地の生活と人の温かさ

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
  • 一覧

 旅好きの人に「どこの国がお薦めか」と聞かれたら、僕はトルコの北東部に広がるコーカサスと呼ばれる地方の、ジョージアとアルメニアと答える。緑が美しい広大な草原が広がる山岳地帯の、山奥にひっそりと建つ塔の村。多彩な食文化に、優しい人々。そんな魅力溢れる土地だが、一番の魅力は民泊ができることにある。通常の旅行ではなかなか触れ合うことが難しい、現地の人の‟生の生活”が身近に体験できるとても貴重な国だ。

スリコとメディコに逢いにこの地方を訪れる人も少なくない Photo: Gaku HIRUMA

身も心もほぐしてくれるもてなし

山岳地帯のスワネティ地方はこの地域のハイライト Photo: Gaku HIRUMA

 トリビシという街の有名な民泊「スリコ」の家にようやくたどり着いたのは、陽が沈みかけた午後8時前だった。ここまで2日で走ろうと思っていたのだが、途中でホテルや野宿できそうな場所もなく、なんとか160kmを走り切って疲労困憊でインターフォンを鳴らした。しばらくするとスリコの奥さんのメディコが出てきてくれて、自転車の僕らを見て微笑み、優しくこういった。

 「疲れたでしょ。さぁ一緒にご飯を食べましょう」

 こんな優しい言葉を海外で聞けるとは夢にも思わなかった。到着時間が遅かったので夕ご飯は食べられないかと思っていた僕らは、メディコの優しさが本当に身に染みるほど嬉しかった。

自転車旅行者でも食べきれない位の料理を出してくれる Photo: Gaku HIRUMA

 アンティークの家具と使い古された調理器具。裸電球の柔らかい光が揺れながら影を落とし、パチパチと音を立てる薪ストーブが部屋中を優しく温め、冷え切った僕らをステイ先の家族は包み込むような笑顔で迎えてくれる。鋳物のフライパンにジャガイモやトマト、肉などを入れて薪ストーブにかけて煮込む。料理の香りが家中に広がり、一歩家に入った瞬間、身も心もほぐしてくれるようだった。料理の味はハーブを上手に使う国なので、たったこれだけでも信じられないくらい美味しい。

どの料理も美味しいが、薪ストーブで煮込まれる料理は本当に絶品で、これにパンとワインがあればもう他に何もいらない Photo: Gaku HIRUMA

 そしてジョージアの人達はなによりお酒をこよなく愛す。民泊の朝の食卓に当たり前の様にワインが出てくるような国だ。コーカサスには乾杯の度に「家族のために」などの口上をして飲み干すというルールがあるらしい。お酒を断ろうにも「日本とジョージアの友好のために」などの口上されるので、飲まないわけにはいかなかった。

スリコの家のスリコ。お酒を飲むのも飲ませるのも大好きなお爺ちゃんで自家製ワインを傾けないと出ないグラスで飲む Photo: Gaku HIRUMA

 自家製ワインをはじめ、「チャチャ」と呼ばれるワインを作った時に余るブドウの皮を蒸留して作ったという、40度くらいある泡盛に似た酒を、飲むわ飲ませるわの大宴会。全て酒は自家製で「この家の地下に大量に作ってあるから心配すんな」と悪戯っぽい顔で笑う、とても愉快なお爺ちゃんだった。

 家族写真が飾ってあるリビングで走り回る小さなお孫さん。そんな中にジョージアの家族と一緒に食卓を囲み食事をしてお酒を飲む。他の国や観光地では体験できない、非常に幸せな経験をさせてもらった。

昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

関連記事

この記事のタグ

旅サイクリスト昼間岳の地球走行録

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー
CyclistポケットTシャツ

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載