ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第4ステージ逃げ切ったキングがグランツール初勝利 アタックを決めたサイモン・イェーツが総合3位に浮上

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第4ステージは8月28日にベレス・マラガからシエラ・デ・ラ・アルファグアラまでの161.4kmで争われ、本格的な山頂フィニッシュのコースで逃げ切ったベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ)がワールドツアー・グランツール共に初勝利となるステージ優勝を飾った。総合勢では、終盤にアタックを仕掛けたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がライバルに差をつけてフィニッシュ。総合3位にジャンプアップしたものの、メイン集団内でフィニッシュしたミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)がマイヨロホを守っている。

逃げ切ったベンジャミン・キングがグランツール初勝利となるステージ優勝を飾った Photo : Yuzuru SUNADA

9人の逃げが10分のリードを築く

 今年のブエルタ開幕地点のマラガを離れ、隣の県であるグラナダの市街地を抜けてシエラ・デ・ラ・アルファグアラへとフィニッシュするコースは、2つの1級山岳が登場。1つ目のアルト・デ・ラ・カブラ・モンテスは登坂距離15.7km・平均勾配5.9%という上り。山頂フィニッシュとなるシエラ・デ・ラ・アルファグアラは登坂距離12.4km・平均勾配5.4%・最大勾配11%ながら、試走した選手たちは一様に「難しい上り」と評しており、総合成績が動きかねない難易度の高いコースと予想されていた。

 この日は山岳賞ジャージを着用するルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)、山岳賞ランキング2位のピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)のほか、ベン・ガスタウアー(ルクセンブルク、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ニキータ・スタルノフ(カザフスタン、アスタナ プロチーム)、イエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)、ラルス・ボーム(オランダ、ロットNL・ユンボ)、オスカル・カベド(スペイン、ブルゴス・BH)、アリツ・バグエス(スペイン、エウスカディ バスク カントリー・ムリアス)、そしてキングの、合計9人が逃げに乗った。

積極的に山岳ポイントを稼ぐルイスアンヘル・マテ Photo: Yuzuru SUNADA

 マテとロランは3日連続逃げに乗った。逃げ集団のなかで最も総合成績が良いのはキングで4分33秒遅れ。次いで成績が良いのはガスタウアーで5分6秒遅れだった。

 1つ目の1級山岳はマテが先頭通過を果たし、山岳賞ランキングでリードを拡大。マイヨロホ擁するチーム スカイは逃げ集団の動きを完全に容認し、9分台のタイム差でコントロールしながらレースは進行した。残り30km地点を過ぎても9分近いタイム差となっており、この日は逃げ切りが濃厚となった状況で終盤戦を迎えた。

マッチスプリントを制したキングが初勝利

 残り18km地点に設定された中間スプリントポイントでの争いをきっかけに、キングとワライスが逃げ集団から飛び出した。そのままキングが中間スプリントポイントを先頭通過を果たすと、逃げを続行。そこへ、スタルノフがブリッジをかけて、3人がロランやマテがいる残りの逃げメンバーからリードする格好となった。

 先頭3人は、マテやロランの追走グループから30秒ほどのリードを持って、1級山岳シエラ・デ・ラ・アルファグアラを登坂開始。上り区間に入るとすぐに先頭からワライスが脱落。フィニッシュタイム次第ではマイヨロホ獲得の可能性もあるキングは、スタルノフと協調しながらフィニッシュを目指す。

協調しながらフィニッシュを目指すベンジャミン・キングとニキータ・スタルノフ Photo : Yuzuru SUNADA

 追走グループは同じくマイヨロホ獲得の可能性があったガスタウアーが積極的にけん引するも、タイム差は縮まらず残り10km地点で45秒程度まで広がっていた。

 すると、マテが追走グループからアタックを仕掛けた。この動きはすぐに吸収されたものの、今度はカウンターアタックでロランが飛び出すと、ガスタウアーとマテを置き去りにして、先頭のキングとスタルノフを単独で追い始めた。

 ロランは残り4km地点で、先頭2人まで15秒差程度まで近づいたものの、山頂に向けてつづら折りの区間に入ると、ややペースダウン。なかなか差が縮まらないまま、先頭2人はラスト1kmのアーチをくぐり抜けた。

単独で先頭2人を追いかけるピエール・ロラン Photo: Yuzuru SUNADA

 キングはフィニッシュに向けて、シューズのバックルを締め直すと、スタルノフの先頭交代要求を拒否してけん制モードに入った。2人のペースが落ちたところに、ロランが一気に差を詰めてきた。

 たまらず、スタルノフはペースアップ。その瞬間を待っていたとばかりに、キングは腰を上げてスプリントを開始。スタルノフを一気にかわして、フィニッシュラインに到達した。

 チームジャージにもデザインされている、アフリカの子どもたちに自転車を送る慈善活動をしているキュベカの5本指のポーズを見せながら、キングは自身初となるワールドツアー・グランツールの初勝利を飾った。また、ディメンションデータにとっても、待望のワールドツアー今季初勝利となった。

手のひらをかざすキュベカの5本指ポーズをしながらフィニッシュするベンジャミン・キング Photo : Yuzuru SUNADA

 ステージ優勝を飾ったキングはレース後のインタビューにて「夢が実現して、本当に信じられない。グランツールでのステージ優勝はシーズン当初からの目標だった。そして、レースに勝利することで、寄付できる自転車の数も増やせるので、キュベカの高貴な理念は私に確かなモチベーションを与えてくれていた。」と語っていた。

アタック成功のサイモンが総合3位浮上

 最後の1級山岳に向けてメイン集団では、大きなタイム差をつけて逃げ切られることを嫌ったモビスターチームが、スカイに代わってコントロール開始した。1級山岳に差し掛かると、ロットNL・ユンボが集団を率いてペースアップする。

 特に先頭でけん引を担うセップ・クス(アメリカ、ロットNL・ユンボ)のペースメイクが強烈で、35℃に達する暑さも相まって集団はまたたく間に人数を減らしていった。けが明けのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、落車負傷を引きずってるイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)ら調子の上がらない選手の多くがメイン集団から脱落。一時はマイヨロホを着るクウィアトコウスキーの周りからチームメイトが全員いなくなるほどの破壊力抜群のけん引だった。

 フィニッシュまであと4kmほど残した地点で、サイモン・イェーツがアタック。ジロ・デ・イタリアで見せたような切れ味鋭い動きで、メイン集団に対してあっという間に20秒ほど差をつけて単独で先行する展開となった。

ステージ3勝をあげたジロ・デ・イタリアを彷彿とさせる好調な走りを見せたサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

 しばらくして、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が単独でサイモンを追いかけだした。他にメイン集団に残った選手たちは頻繁にアタックが起きるものの、決定的な動きには繋がらないままラスト1kmのアーチをくぐっていく。

 サイモンはリードを保ったまま山頂に到達。そこから2秒遅れでブッフマン。そして、メイン集団はアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスターチーム)がスプリントして抜け出すなか、クウィアトコウスキーはメイン集団の先頭でフィニッシュした。

 サイモンはマイヨロホから27秒ものタイムを稼ぐことに成功し、総合3位に浮上した。各賞ジャージに動きはなかったものの、総合上位勢の順位が大きくシャッフルされる結果となった。

終盤は厳しいレース展開になりつつも、マイヨロホを守ったミカル・クウィアトコウスキー Photo : Yuzuru SUNADA

 マイヨロホを守ったクウィアトコウスキーは「35℃と暑いなかでのレースは難しかった。マイヨロホは手放してもいいと思っていた。けれども、最後にロットNL・ユンボがペースアップしたおかげで、また着ることができて嬉しく思う。上りのパフォーマンスに満足しているし、次のチャレンジングなステージを楽しみにしている」と語った。

第4ステージ結果
1 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) 4時間33分12秒
2 ニキータ・スタルノフ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) +2秒
3 ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +13秒
4 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) +1分8秒
5 ベン・ガスタウアー(ルクセンブルク、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +1分39秒
6 イエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル) +1分57秒
7 オスカル・カベド(スペイン、ブルゴス・BH) +2分24秒
8 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +2分48秒
9 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +2分50秒
10 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +3分7秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ) 13時間47分19秒
2 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +7秒
3 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +10秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +12秒
5 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +25秒
6 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +30秒
7 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +33秒
8 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)
9 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +37秒
10 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +42秒

ポイント賞(プントス)
1 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ) 46 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 33 pts
3 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) 29 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 36 pts
2 ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 20 pts
3 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) 12 pts

複合賞(コンビナダ)
1 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ) 12 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 14 pts
3 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ) 24 pts

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 41時間23分14秒
2 モビスター チーム +1分31秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +2分3秒

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