ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第6ステージブアニがスプリントを制して優勝 終盤の横風で集団が分断、ピノらタイムを失う

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 ブエルタ・ア・エスパーニャの第6ステージが8月30日、ウエルカル・オベラ から サン・ハビエルまでの155.7kmで争われ、スプリント勝負を制したナセル・ブアニ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)が優勝を飾った。ブアニにとってグランツールステージ勝利は、4年ぶりとなる。総合首位のマイヨロホは、トップとタイム差なしでゴールしたルディ・モラール(フランス、グルパマ・エフデジ)がキープしている。

激しいスプリント勝負を制したナセル・ブアニ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)が勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

スプリンターの活躍の場が到来

 開幕から熱戦を繰り広げたアンダルシア州に別れを告げ、一行はこの日からムルシア州に戦いの舞台を移した。

 第6ステージは、ウエルカル・オベラを出発し、地中海を北上しながらサン・ハビエルに向かう155.7km。カテゴリー山岳は57kmと103km地点に設定されている3級山岳2つ、ラスト1kmもほぼ平らという正真正銘の平坦ステージとなっている。「平坦」にカテゴライズされながらもアップダウンが激しく、上位入賞者はオールラウンダーやクライマー系で占められた第2ステージ。それとは比べものにはならない程、スプリンター向けのステージだ。

ポートが逃げに乗る

 スタート直後に逃げたのは、ホルヘ・クベロ(スペイン、ブルゴス・BH)と山岳賞ジャージを着用するルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)、そして、マイヨロホ争いを期待されながら早くも総合首位から41分遅れとなってしまったリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)の3人。集団は早々にこの逃げを容認、マイヨロホを保持するグルパマ・エフデジやミッチェルトンスコット、クイックステップフロアーズなどが集団前方に選手を送り込んでいた。そのタイム差は2分から3分、余裕を持って逃げを泳がしていた。

マイヨロホを着用してスタートしたモラール Photo: Yuzuru SUNADA

 57kmと103km地点の3級山岳はいずれもマテがトップで通過、山岳ポイントを稼いだ。2つ目の山岳を終えた頃の逃げとメインのタイム差は約2分、集団は落ち着いてレースを展開していた。

 その差が1分を切ったのは、残り約43km地点。みるみるうちにタイム差が縮まり、そのまま吸収してしまいそうな勢いだったがメイン集団はそれを踏みとどまる。先頭が3人が残り37km地点のスプリントポイントを通過する頃、その差は再び1分程に広がっていた。ゴールまでの距離とタイム差を計算し、ゴールスプリントに備える集団の様子がうかがえた。

 レースが動いたのは、33km地点。徐々にタイム差が縮まり、逃げ吸収まであと僅かというところでクベロが飛び出す。マテとポートはそれを見送り、程なくしてメイン集団に飲み込まれた。ギリギリまで粘ったクベロだったが、28km地点であえなく吸収。集団ではミッチェルトン・スコットやチーム サンウェブ、アスタナ プロチームといったチームがまとまり、早くも緊張感が走っていた。

思わぬ伏兵「横風」

 ゴールまで残り約20km、集団を引くのはボーラ・ハンスグローエやクイックステップフロアーズ、チーム スカイなどの強力なチーム。彼らの強烈なペースアップと強い横風の影響で、集団は縦に伸び縮みし中切れが発生。先頭集団が30人程度に絞られてしまう。しかし、この集団にはエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)やペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、ブアニ、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)といったステージ優勝候補がしっかりと残っていた。

 だが、総合系ではマイヨロホを着用するモラール、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)らが残る一方、総合6位のウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)がメカトラ、ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)が風の影響で脱落、大きくタイムを失ってしまう。

僅差での争いを制したブアニ Photo: Yuzuru SUNADA

 最終局面となる残り約2km地点、サガンで優勝を狙うボーラ・ハンスグローエが先頭でトレインを組む。そこから各チームが入り乱れる中、残り約800mのラウンドアバウトをクイックステップフロアーズが先頭でクリア、その直後にいち早くトニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)がスプリントをスタートする。しかし、すぐ後ろにミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)がつきガロパンを吸収。直後、モルコフの後ろにいたトレンティンが仕掛ける。

 トレンティンの絶妙なタイミングでのスプリント、モルコフのチームメートであるヴィヴィアーニが後退していたこともあり、トレンティンがこのままゴールすると思われた。しかし、その後ろにピタリとついていたブアニが力強いスプリントをみせる。トレンティンを差し切り、いち早くフィニッシュラインを通過した。ファンポッペルやヴィヴィアーニも迫るものの、ブアニのスプリント力を上回ることはできなかった。
 
風の影響で各チームがゴールに向け十分な人数を揃えられなかったスプリント争いで、ブアニが自力を発揮しての勝利となった。

2014年以来のグランツールステージ優勝を手にした Photo: Yuzuru SUNADA

 総合首位のマイヨロホはルディ・モラール(フランス、グルパマ・エフデジ)がキープ。前日までトップ10に名を連ねた総合系の選手の多くは、トップとタイム差なしでゴールしている。だが、ケルデルマンとピノはメカトラと横風の影響で2分近くタイムを失った。

明日もマイヨロホを着用して走るモラール Photo: Yuzuru SUNADA

 第7ステージは平坦にカテゴライズされているものの、アップダウンの連続。いつどのチームが仕掛けるか、また、その動きで集団がどれ程絞られるか、展開によっては苦しい戦いを強いられる選手も出てくるだろう。

第6ステージ結果
1 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)3時間58分35秒
2 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNL・ユンボ)+0秒
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
4 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)
5 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
6 イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)
7 オマール・フライレ(スペイン、アスタナ プロチーム)
8 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)
9 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
10 ミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)

個人総合(マイヨロホ)
1 ルディ・モラール(フランス、グルパマ・エフデジ)22時間26分15秒
2 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)+41秒
3 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)+48秒
4 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)+51秒
5 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)+53秒
6 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)+1分11秒
7 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)+1分14秒
8 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)
9 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)+1分18秒
10 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)+1分23秒

ポイント賞(プントス)
1 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)48 pts
2 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)41 pts
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)33 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 42 pts
2 ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)20 pts
3 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ)12 pts

複合賞(コンビナダ)
1 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)18 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)18 pts
3 ベンジャミン・キング(アメリカ、チーム ディメンションデータ)34 pts

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 67時間17分18秒
2 ロットNL・ユンボ +3分4秒
3 モビスター チーム +3分23秒

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