出先のトラブルでも安心な設計5万円以下でチューブレス規格「UST」を導入 マヴィック「アクシウムエリート UST」をレビュー
マヴィックのチューブレス規格「UST」。チューブレスタイヤの利点を引き出し、デメリットであるビード上がりやタイヤの装着しづらさなどを解消した画期的なスペックとして人気を博している。そのUST規格を採用しつつ、5万円以下という価格を実現した「アクシウムエリート UST」を実際に使用し、レビューした。
走行性能と作業性を両立したUST
USTはマヴィックが独自に開発したチューブレス構造で、非常に精度が高いリム設計となっているのが特徴。チューブレスタイヤのデメリットにタイヤがはめづらいことが挙げられるが、マヴィックのUSTタイヤはしなやかな造りとなっており、手でもはめられるほど。苦戦するビードもコンプレッサーなどで一気に空気を入れる必要はなく、ハンドポンプでもスムーズに上げることが可能だ。
上位モデルを中心にラインナップしてきたUSTホイールだが、マヴィックはエントリーモデルにも品揃えを拡大した。最も安価なUSTホイールセットであるアクシウムエリート USTは税抜4万5000円という価格で登場。しかも税抜7500円で販売されているUSTタイヤ「イクシオンプロ UST」が2本付属するというから驚きだ。

タイヤのセッティングは東京・秋葉原にある「RAMON BIKES(ラモーンバイクス)」にお願いした。まず、付属するイクシオンプロ USTを装着。工具を使うことなく、あっという間に作業は完了した。次に、パンクやエア漏れを防ぐシーラント材をバルブコアを外して注入。マヴィック純正のシーラントは、ノズルをそのままバルブに挿入できるので作業が容易だ。ホイールを回転させ、タイヤ全体にシーラントを行き渡らせれば、あとは空気を入れるだけ。指定気圧は5-6BARというやや狭い範囲なので注意が必要だ。それ以上でも以下でもタイヤの性能を発揮することはできない。
作業に関してラモーンバイクスの中塚雄二さんは「チューブレスを試したことのない方にももちろんオススメできますが、従来のチューブレス経験で苦手意識を持ってしまっている方にこそUSTチューブレスを体感してもらいたいです」と太鼓判を押す。
練習から本格ライドまで
実際に走行すると、チューブレス独特の転がり抵抗の少なさが際立つ。コロコロとタイヤが転がる感覚が気持ちよい。エアボリュームがクリンチャータイヤと比較すると低く、また、構造上内部にチューブが無いため乗り心地もシルキー。路面のザラつきや凹凸からの突き上げの“角”がとれ、長距離でも疲労を感じづらかった。
特筆すべきはグリップ力で、ハイスピードでもタイヤが路面をがっちり捉えて曲がる。倒しこんだ不安定な状態でも、路面に追従しているのが良く分かり、コントロール性能も非常に優れている。転がり抵抗の少なさと、コーナリング性を両立した新しい乗り味だった。

ホイール自体の重量はペアで1780gとエントリーグレードとしては優秀な数字。走行性能はUSTと相まって申し分なかった。上位モデルには勝らないものの、かっちりとした剛性が特徴で、上りも平坦もイケるオールマイティーな性格だ。注入されているシーラントはチューブよりも軽く、リム外の重量が比較的抑えられているため加速も良い。日常の練習からヘビーに使用できるうえ、乗り心地の良さを生かしてロングライドでも活躍できるだろう。繰り返しになるがこの仕様で5万円以下は驚異的。完成車からのグレードアップにもおすすめなホイールセットだ。
マヴィック「アクシウムエリート UST」
税抜価格:45,000円(ホイールセット、タイヤ2本付属)
重量:1780g(ペア)※フロント825g、リア955g
カラー:ブラック