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つれづれイタリア〜ノ<120>自転車業界も“フェイクニュース”が大好き? 2018年上半期に報道された“噂”を一挙公開

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 ツール・ド・フランスも終わり、いよいよブエルタ・ア・エスパーニャが始まります。この時期はレースの結果よりプロ選手の来季に関するニュースが大きく報道されます。誰がどこのチームに残るか、移籍するか、引退するか。ロードレースファンなら気になる情報ばかりです。どのメディアもこぞって各チームのスタッフや選手、監督から“盗み聞き”した会話をスクープ記事にしようとしています。しかし、そのほとんどが実はフェイクニュース。今回は2018年上半期でイタリア国営テレビや大手メディアなどから伝えられたビッグなフェイクニュースをまとめ、皆さんと笑い飛ばしたいと思います。最後までお付き合いください。

「チームスカイが解体」というフェイクニュースも Photo: Yuzuru SUNADA

その1「今シーズンでチームスカイが消滅!」

 今年一番の壮大なフェイクニュースがチーム スカイに関するものでした。2018年ジロ・ディタリアで想像を超える逆転劇を見せてくれたチームスカイのキャプテン、クリストファー・フルーム(33)が、第19ステージに80km以上の単独逃げに成功し、レースを見ていた私たちを熱狂させてくれました。そして「冷たい」「ロボット的」だと言われてきたチーム スカイのイメージを、180度変えることに成功しました。

ツール・ド・フランスのプレゼンテーション。ブーイングが巻き起こる中、淡々とコメントしたクリストファー・フルーム Photo : Yuzuru SUNADA

 しかし、フルーム自身には「サルブタモール」という成分の過剰摂取による陽性反応が出ていたため、ドーピングの疑いがかけられていました。本人はずっと潔白を訴えていましたが、チーム内には、所属選手がドーピングでレース出場停止処分を受けた場合、チームが解体されるという厳しい規定が存在するといわれています。まさに今回のフルームをめぐる問題が、そのケースでした。結果が出るまで時間がかかりましたが、潔白が証明され、問題なくチーム スカイが存続することになりました。

 活躍が待望されている大型新人、エガン・ベルナル(コロンビア)もチームスカイを離れる可能性があるといわれていました。

フルームの前を走るエガン・ベルナル Photo : Yuzuru SUNADA

 ベルナルは今年だけでツール・ド・ロマンディー総合2位および新人賞獲得、ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝および新人賞を獲得、ツール・ド・フランスでキャプテンのクリス・フルームを献身的に支え続けた姿が目に焼きついています。この新星はモビスターが獲得し、ナイロ・キンタナのアシストにすると噂されていましたが、結果的に2020年までチーム スカイが逃がさないようです。

 さらにオランダのチーム、ロットNL・ユンボもチーム スカイに所属する選手の獲得に意欲を示していたそうです。特にクラシックレースに強いワウト・プールス(オランダ)がこのチームに移籍する可能性が高いとされていましたが、結果的に来季もチーム スカイで活躍することが決まりました。

その2、クイックステップが資金難?

 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)やフェルナンド・ガヴィリア(コロンビア)の輝かしい活躍で、とにかく元気なクイックステップフロアーズの動きも活発だとされていました。イタリアの新星、身長195cmのフィリッポ・ガンナ(UAEチーム・エミレーツ)が来季、クィックステップに移籍する噂が流され、トム・ボーネンの代わりになることが期待されていました。

フィリッポ・ガンナ(UAE エミレーツ) Photo : Yuzuru SUNADA

 が、しかし!今となってチームスカイに移籍する可能性が濃厚に。そして2012年から2015年までこのチームに所属していた2014年の世界チャンピオン、ミハウ・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)もクイックステップに復帰すると伝えられていましたが、その話も泡となって消えました。

 逆に、つい最近ですがこのチームに関する悪いニュースが飛び込んできました。メインスポンサーのクイックステップが資金難を理由に来季はメインスポンサーをやめるという噂が伝えられました。これもフェイクニュースなのでしょうか?

その3、実現しなかったバーレーン・メリダをめぐる噂

 誕生から2年を迎えるこのバーレーン・メリダは、来季に向けて早くから選手陣の強化に動いているようでした。キャプテンのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)がグランツールのほか、クラシックレースの魅力に目覚め、この種目にもチームがニバリのアシストを探していたようです。候補の1人は解体することが決まったBMCレーシングチームのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)でした。しかし!ヴァンアーヴェルマートが新しく生まれ変わるBMCの次期チーム、CCC(仮称)のキャプテンを務めることが決定しました。

フォルトゥネオ・サムシックの移籍が決まったアンドレ・グライペル Photo : Yuzuru SUNADA

 バーレーン・メリダはもう一人の有力選手を狙っているとされていました。それが今年のミラノ・サンレモで鎖骨骨折に遭いながら見事レースに復活した、ドイツのベテランスプリンター、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)。今シーズンをもって引退すると漏らしていましたが、バーレーン・メリダではなく、フランスのプロコンチネンタルチーム、フォルトゥネオ・サムシックに移籍することが決まりました。

その4、大物選手もフェイクニュースのターゲットに

 アラブ首長国連邦をメインスポンサーとし、ランプレの解体から生まれたこのUAEチーム・エミレーツですが、キャプテンのファビオ・アル(イタリア)がジロ・ディタリアで不発に終わり、チーム内で険悪なムードが漂っているようです。チームとしてアルを支える選手陣の補強を急務とし、様々な動きを見せるなかで他チームからの大物選手獲得の噂がたくさんありました。

移籍の噂が鳴れていたマーク・カヴェンディッシュ Photo : Yuzuru SUNADA

 その1つが、チームディメンションデータから、なんとマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)とマーク・レンショー(オーストラリア)の獲得。ツール・ド・フランスの後に、契約にサインが行われると報道されていましたが、この2人の来期の行方は現時点では全くわかっていません。これもフェイクニュースの匂いがプンプンします。

 しかし最大のフェイクユースはこれでした。3度世界チャンピオンに輝いた自転車界のスーパーヒーロー、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)と今年のツール・ド・フランスを優勝したゲラント・トーマス(イギリス)も、UAEチーム・エミレーツへの移籍の可能性が報道されていました。誰がなぜこのようなニュースを流したか、その意図は不明です。

その5、ランプレ復活説

 2016年までロードレース界の一つの顔だったランプレが、自転車業界から足を引きました。一部の選手はそれぞれのマネージャー、ジュゼッペ・サロンニとブレント・コープランドに付き、UAEチーム・エミレーツとバーレーン・メリダというチームが誕生しました。

新城幸也の存在で日本のファンからも人気が高かったランプレ・メリダ(写真はジロ・ディタリア2016) Photo : Yuzuru SUNADA

 そんななか、2019年にランプレが自転車チームのメインスポンサーに復活するという噂はイタリアのファンを震わせました。実はランプレの復活を夢みる人は多く、それを願うために度々このフェイクニュースが流れます。もちろん、私も復活してほしいですが…。

 さて、世界経済の根本を崩壊させているアメリカの大統領とは異なり、自転車競技に関するフェイクニュースはファンに夢を与えるものが多く、今見ると微笑ましいものがほとんどです。やはりスポーツは夢を与えるものですね。次も面白いフェイクニュースがあれば、ぜひ伝えて行きたいと思います。

 その前に、楽しいブエルタ・ア・エスパーニャを!

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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