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栗村修の“輪”生相談<134>30代男性「60歳になる母親が、1年経っても片手放しと立ち漕ぎができません」

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 私がロードバイクを乗っているのを見て、母親が自分も乗りたいと言いだしました。

 親孝行と思ってバイクをプレゼントしたまでは良いのですが、乗り始めて1年経っても片手放しと立ち漕ぎができません。60歳になる母は今まで普通の自転車に乗った経験がほとんどなく、感覚が全くわからないらしいのです。

 私は両方とも自然とできるようになってしまいましたので、どうやって教えて良いのかさっぱりわかりません。なにか上手く教える方法はありませんでしょうか?

(30代男性)

 いいですね。関節への負担が比較的小さく、生涯スポーツとしても楽しめる自転車は年配の方にも向いています。お母様も楽しんでいるのではないでしょうか。

 一方で、自転車には落車によるケガなどの重大なリスクもあります。年配の方とスポーツバイク、というテーマはこれから重要になりそうです。

 質問者さんがお母様にプレゼントしたのがロードバイクなのか、クロスバイクなのかはわかりませんが、先に言ってしまうと、ロードバイクは年配の方向きではないと思うんです。

 ロードバイクは、きつい前傾姿勢やビンディングペダルをつけること、ダンシングができる人が乗ることを前提(もちろんマストではないですが、元々競技車両として設計開発及び進化してきたのは事実)として作られています。しかし、そういった条件は年配の方向きではないように感じます。ロードバイクよりは、一般的にはクロスバイクやMTBのほうが高齢者向きといえるでしょう。

 ところで、ダンシングや片手運転といった技術って、できないとどれくらい不自由なものなのでしょうか。僕らはこれらの技術が当たり前になってしまっているので、若干わからなくなってしまっています。もしかすると、無理にできるようにならなくても良い技術なのかしれませんね。もちろん、手信号のための片手放しの技術は必要です。が、走りながらボトルを飲むような長時間の片手放しのスキルは、ロードバイクに乗ってレースに出るなら必要ですが、のんびり走る分には必須ではないようにも感じます。

世界チャンピオンのペテル・サガンは片手放しウィリーができる抜群の自転車コントロール技術を誇る Photo: Yuzuru SUNADA

 ちなみに僕は選手だったので、片手放しはもちろん、片手でのダンシングもできましたが、ウィリーは最後までできませんでした。ちょっと練習したんですけれど、転んでしまいました(後ろにひっくり返って尾てい骨を強打…)。ウィリーができたほうが色々と目立てて良いかな?なんて若干憧れていたわけですが、痛い思いをするくらいならできなくていいや、と最終的には諦めてしまいました。

 同じことがお母様にも言えるはずです。つまり、転ぶリスクを犯してまで長時間の片手放しやダンシングをする必要があるかどうか、もう一度考えみても良いかもしれませんね。

 もちろん、できないよりはできたほうがいい。それは確実です。片手離しやダンシングができるようになるということは、バランス感覚や筋力が向上し、総じて自転車の扱いがうまくなるわけですから、なにかあった時の危険回避などにも役立つことでしょう。

 一方で、僕らがウィリーができるのか?という問題も同様になります。もしウィリーができるなら、ペテル・サガンのような片手でのウィリーもできるか?と言い直してもいいでしょう。できないよりは、できたほうがいい。でも、そこまでやる必要はあるか?ですね。

 ただ、片手放しは手信号の際には必要なので、多少はできる必要があります。まずは安全な場所で、走りながらハンドルを手のひらで軽く叩く練習をしてみてください。一瞬だけぱっと手を放すわけです。それができたら、徐々に時間を伸ばして…と、繰り返してみてください。

 ダンシングはバランス感覚とともにある程度の筋力が必要となってきますが、片手放しについては慣れの部分が大きいので、「少しずつ慣れていく」という感覚で練習してみてはいかがでしょうか。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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