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旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<11>中東、アフリカ、中央アジアで悪名高き「投石部隊」と「自転車押してあげるね詐欺」

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 自転車で旅をする仲間には、自転車走行中に運悪く強盗に襲われてしまった人達も少なくない。治安が悪いと聞いてる所で何事もなく、治安が良いとされている地域で襲われたりと運も大きく関係してくる。ただ残念ながら、その地域を走ると必ず遭うであろうトラブルが存在する。子供が石を投げてくる”投石”だ。それは中東、アフリカ、中央アジアのそれぞれごく一部で存在し、確実に遭遇する。一番有名でたちが悪いのが中東のヨルダンだ。何を言っても無駄らしい。それは欧米人御用達のガイドブック『ロンリープラネット』にも載ってるほどだった。

自転車を押してくれる子供たち。この子らはいい子たちだったがこんな感じで荷物を奪われる Photo: Gaku HIRUMA

いたずらのレベルを超えた攻撃

 中東走行はヨルダンの首都アンマンからスタートした。人生で初めて訪れる中東で少しの緊張感と、大きな高揚感で漕ぎ出した初日、出鼻を挫かれる最悪のタイミングで「投石部隊」に遭遇した。遭遇する前は投石部隊といっても、子供のいたずらで威嚇程度のものかと思っていたが、思いっきり自転車めがけて投げられた。自転車単体を狙えるコントロールを彼らが持っているはずがなく、頭や体に当たる可能性は十分にあり得る。万が一頭や体に当たったら大けがに繋がり、非常に危険だ。

ヨルダンの子供たち。本来はとても礼儀正しく可愛らしい Photo: Gaku HIRUMA

 そして、こちらの危機感とは裏腹に馬鹿にしているであろう言葉と笑い声。非常に腹立たしく、今すぐにでも懲らしめに追いかけてやろうかと思ったが、一人だと追いかけている時に自転車に悪戯される心配もあった。言葉で返そうか、石をこちらから投げてやろうかとも思ったが、結果的に投石を助長する結果になるのは目に見えていたので、グッと我慢し相手にしなかった。投石は小さな集落の方が遭う可能性が高く、1日3回くらい投げられるが、結局アンマン近郊を離れると投石されることはなくなっていった。

助けるフリして盗む巧妙な手口

マラソン大国のエチオピア。子供たちはどこまでもついてくる Photo: Gaku HIRUMA

 中央アジアでは、タジキスタンとキルギスタンで遭った。妻と走っていたので、自転車を妻に任せ、全力で犯人の子供を追いかけた。とっ捕まえて、泣きじゃくるのを気にせず、英語も解らないだろうから日本語で力の限り大声で説教をした。この子がこれに懲りて、この先投石をしないことを切に願う。

 極めつけはアフリカ・エチオピアだ。ここでは投石の他に、「自転車押してあげるね詐欺」がある。上り坂で、ゆっくり上がっていると、子供が自転車押してあげるねとニコニコと押してくれる。コミュニケーションも兼ねてお願いする。するといつの間にか居なくなり、括り付けておいた行動食やバッグに差している水の入ったペットボトルを容赦なく盗まれて消えていた。大した被害ではないと思うかもしれないが、アフリカで水や食料を盗まれるのは下手すれば命にかかわることだ。

大地溝帯と呼ばれる地球の裂け目。ただでさえキツイのに、自転車押してあげるね詐欺が畳みかける Photo: Gaku HIRUMA

 困ったことに本当に善意で押してくれる子供もいるということ。一部の子供のせいで、全ての子供たちを排除しないといけないのは本当に悲しいことだ。ところが、断ろうが、振り払おうが付いてくるのがアフリカの子供たちだ。対策はすぐに取られるような所には物を載せないのと、お菓子の袋にごみを入れて、わざと持って行かせたりした。水に唐辛子でも入れてやろうかと真剣に思ったが、それはさすがに止めておいた。

昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

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