最も厳しい環境でもノートラブル圧巻の21ステージ中18勝 ツール・ド・フランスを制したシマノコンポーネントの実力

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 21ステージに渡って繰り広げられた2018年「ツール・ド・フランス」。世界最高峰の舞台にふさわしく、今年も各国の実力者がしのぎを削った。そんな選手たちの走りを支えているのが日本のシマノだ。今回、Cyclist編集部がシマノの機材について現地フランスで取材。選手やスタッフが全幅の信頼を寄せるシマノプロダクツの実力に迫った。

世界チャンピオンをはじめ、スター選手の走りを支えたシマノのコンポーネント Photo: Shusaku MATSUO

揺るぎない信頼性で結果をサポート

 ギア周りやブレーキといった構成部品のコンポーネントは、ロードバイクの走りを決める欠かせないもの。シマノのハイエンドコンポーネントである「デュラエース」は、ツール・ド・フランスを戦うチームから支持を受け、今年も選手の活躍をサポートした。22チーム中、16チーム(ワールドチームは14チーム、プロコンチネンタルチームは2チーム)がデュラエースを採用し、21ステージ中18勝という圧巻のパフォーマンスを発揮。

ステージ上位には必ずシマノユーザーが入る Photo: Yuzuru SUNADA
マイヨジョーヌを着用するゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)がアルプ・デュエズを制した Photo : Yuzuru SUNADA

 現在、スポンサードチームに採用されているのが「R9100」系のデュラエースだ。アルミやチタン、カーボン素材を駆使し、高剛性かつ軽量に仕上げられている。変速にワイヤーケーブルを使用した従来の機械式に加えて、モーターの力で確実なギアチェンジを実現する電動タイプ「Di2」もラインナップされている。Di2はギアの変速スピードや段数はパソコンやスマホ、タブレット上の専用アプリ「E-TUBE PROJECT」で自分好みのカスタマイズが可能。ファームウェアのアップデートや故障の診断、関連機器との接続など、コンポーネントの枠を超えた拡張性を誇っている。

ゲラント・トーマス(イギリス)の個人総合優勝もシマノコンポーネントが後押し Photo : Yuzuru SUNADA
サポートチームは電動コンポーネント「Di2」を採用 Photo: Shusaku MATSUO

 今大会でも、シマノコンポーネントを採用したチームはDi2を選択した。変速はSTIレバー上のスイッチで行えるほか、上ハンドルで操作可能なサテライトスイッチ(SW-R9150/SW-R600)や、下ハンドルを握りこんだまま変速できるスプリンタースイッチ(SW-R610)を駆使してハンドルポジションに囚われないシフトチェンジを実現。一瞬たりともハンドルから手が離せない過酷な山岳ステージや、高速のスプリント時に選手の動きをサポートし負担を軽減させた。

一瞬の判断で素早く変速可能なスプリンタースイッチ「SW-R610」 Photo: Shusaku MATSUO
Di2用ジャンクションを内蔵するフレームも登場している Photo: Shusaku MATSUO

 フレームメーカーもシマノの最新テクノロジーに合わせた製品開発を進めている。トレック・セガフレードが使用するトレック「マドン」や、個人総合優勝を果たしたゲラント・トーマス(イギリス)率いるチーム スカイが駆るピナレロ「ドグマF10」もフレーム内部にDi2の配線「E-TUBE」を取りまとめるジャンクションを内蔵可能な設計とした。余計な凹凸をフレーム内部へ収納することで、トレンドになっているエアロ化にも貢献しつつ、整備もしやすくなっている。

パワーメーター「FC-R9100-P」がインストールされたクランク Photo: Shusaku MATSUO

 また、今やコンディションを把握するうえで必要不可欠となったパワーメーターも選手に供給している。「FC-R9100-P」は、デュラエースのクランク内部にひずみゲージを内蔵。ペダリングのトルクを検知し、パワーを選手へと伝える。正確な出力を計測できるのも、シマノが持つ冷間鍛造技術が成せる業だろう。「FC-R9100-P」は左右のペダリング効率を可視化できるのが特徴で、スタイルを崩さないスマートな外観も魅力の一つとなっている。

 トレック・セガフレードのトムス・スクインク(ラトビア)はFC-R9100-Pについて「デュラエースの性能を100%生かしきれている。剛性やパワー伝達効率はもちろん、変速性能も申し分ない。レースはもちろん、トレーニングで使いやすいのも魅力だね。バッテリーの充電も容易だし、メカニックだけでなく選手にとっても扱いやすい点はメリットだよ」と利便性と走行性能の両立を評価した。

各チームメカニックは、優れた整備性と信頼性の高さを絶賛していた Photo: Shusaku MATSUO

 世界チャンピオンのペテル・サガン(スロベニア)らスター選手を擁するボーラ・ハンスグローエのメカニックは「われわれメカニックは毎日何台ものバイクの整備が必要になるが、デュラエースは精度が高く、早く確実に選手へ機材を供給できる。ツールが始まってこの日(第17ステージ)までコンポーネントに不具合が出たことは全くなく、信頼性は間違いなくベストだ」と言い切った。

ディスクブレーキへシフトする流れが加速

 シマノが今大会で力を入れていたのがディスクブレーキだ。UCI(国際自転車競技連合)が6月、ロードレースにおけるディスクブレーキを全面的に解禁した流れを受け、多くのチームがツールで採用。ディスクブレーキを搭載したエアロロードで平坦ステージを走るチームが目立ったが、トレック・セガフレードはTTを除く全てのステージでディスクブレーキを使用していた。

トレック・セガフレードは山岳ステージでもディスクブレーキを採用 Photo: Shusaku MATSUO
ディスクブレーキを選んだペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が圧倒的なパワーで第5ステージを勝利 Photo : Yuzuru SUNADA

 ディスクブレーキはホイールのリムで制動力を生むキャリパーブレーキと違い、金属製のディスクを掴むため、より安定したストッピングパワーが発生する。リムにブレーキ面を必要としないため、自由度が高い設計を可能とし、剛性や空力性能の向上にも貢献している。R9100系のディスクブレーキ、レバーは油圧タイプを採用しており、軽いレバータッチでライダーの負担をサポートするのも特徴だ。時に100km/h以上で走行する下りにおいては計り知れないメリットになるだろう。

フレームメーカーはエアロロードに積極的にディスクブレーキを採用 Photo: Shusaku MATSUO

 トムス・スクインクは語る。「ディスクブレーキはプロのレースでもメリットになると確信したからこそ採用している。今大会では雨のステージはなかったけど、シビアなコントロールが可能になるし、極限状態のシチュエーションで負担は減る。アドバンテージになることは確実だね。下りの安定感も優れている。以前のモデルはレバーが大きく、好みが分かれたけど、ST-R9170のレバーは油圧の機構を内蔵しつつ、握る部分がコンパクトで力も入るから気に入っているよ」。

トムス・スクインク(ラトビア、トレック・セガフレード)はレバーのコンパクトな握りが好み Photo: Shusaku MATSUO

シマノコンポと相性抜群のPRO

 シマノが手がけるのはコンポーネントにとどまらない。PRO(プロ)はハンドル、ステム、シートポストやホイールといったパーツやアクセサリーをラインナップ。ツールでもボーラ・ハンスグローエやグルパマ・エフデジがステムとハンドルを使い、TT用のホイールはチーム サンウェブをはじめ、BMCレーシングやチーム スカイといった6チームの強豪が採用した。

シマノのコンポーネントと抜群の相性を持つPRO Photo: Shusaku MATSUO

 ボーラ・ハンスグローエのダニエル・オス(イタリア)はパワフルな走りにフィットする極太のカーボンステム「VIBE SPRINT ステム」をチョイス。一方、総合力に優れたチームメートのラファウ・マイカ(ポーランド)は「VIBEアロイ ハンドルバー」に「VIBE ステム」という組み合わせだ。同じチーム内でも形状や素材に違いがあり、走りのタイプや好みで選べる豊富なラインナップが魅力だ。

ダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)は極太の「VIBE SPRINT ステム」をチョイス Photo: Shusaku MATSUO
ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)はアルミステムのハイエンド「VIBE ステム」を選択 Photo: Shusaku MATSUO
選手の好みや体格に合わせて選択できるPRO「ミサイル」のDHバー Photo: Shusaku MATSUO

 VIBEステムは機能面でも他ブランドにはない優位性を持つ。高剛性のアルミ素材(7075)を採用し、チタン素材のボルトをインストール。1 1/8″サイズに加えて、フロントフォークコラム径がより太い1 1/4″サイズも用意された。ジャイアントの「プロペル」やスコットの「フォイル」がこれに当てはまる。しかし、それだけではない。最も決定的な違いはシマノコンポーネントとの相性だ。Di2のE-TUBEを引き込むケーブル口が備えられ、内部にケーブルを通すことができる。スマートなルックスと、機能的でエアロ効果を高めるデザインを実現した。

個人TT世界チャンピオンのトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)もPROホイールを愛用 Photo: Yuzuru SUNADA

 コンマ一秒の勝負が繰り広げられるTTでは機材に関しても妥協はない。ツールでは今大会、第20ステージで個人TTが開催されたが、現世界チャンピオンでアルカンシェルジャージを着用するトム・デュムラン(オランダ・チーム サンウェブ)が貫録のトップタイムでフィニッシュ。5位までの選手全員がPROホイールのサポートチームに所属している。激しいアップダウンが登場した高難易度のコースで、彼らの走りを支えたホイールは「3-スポークホイール TEXTREME」と「ディスクホイール TEXTREME」だ。

ロット・NLユンボが駆るTTバイクに装着された「ディスクホイール TEXTREME」 Photo: Shusaku MATSUO

 近年のワイドタイヤにも対応するため、3-スポークホイールは28mm、ディスクホイールは24mmのリム幅でエアロ効果を追求。製品名にもなっているTEXTREME(テキストリーム)はカーボン繊維を並列に並べた素材だ。より薄く、かつ高い強度で形成できるため、軽量化にも寄与している。3-スポークホイール TEXTREMEは765g、ディスクホイール TEXTREMEは1050gに仕上げられた。

 BMCレーシングチームのメカニックは「我々のチームはPROの3-スポークホイール TEXTREMEと、デュラエース(WH-R9100-C60)を選手の好みで使い分けています。コースのプロフィールは様々なので、選手には選択肢が多いほうがいいでしょう」と説明した。

 このように、シマノが手がける製品は確実にツール出場選手のリザルトに貢献した。プロ選手が愛用するシマノプロダクツは一般のライダーが店頭で購入できるものと同じ物。世界で最も厳しい環境で磨かれた最高峰のスペックを体験してほしい。

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