東京の島をぐるりと一周次々に変わる景色、突如現れる絶景 「伊豆大島御神火ライド」のコースと魅力

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
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 近年、淡路島一周のアワイチのように、島をぐるりと一周回る「〇〇イチ」が人気だ。関東には手軽な場所がなさそうだが、実は少し足を伸ばせば、東京都でも楽しめる。それが9月8日に開催される「伊豆大島御神火ライド」。絶景多数、上りも多数、脚のレベルを問わず、誰もが満足できるのが大島だ。ここでは、イベントのコースと魅力を紹介したい。

幾度も絶景が姿を現す「伊豆大島御神火ライド」のコースと魅力を紹介 Photo: Kenta NAKADATE

御神火ライドの2つのコース

 伊豆大島御神火ライドを簡単に説明しておこう。コースは2つある。ひとつは反時計周りに島を一周する「大島ぐるっと一周コース」(コース全長46.8km、獲得標高826m)。もうひとつが、「大島ぐるっと一周コース」に三原山ヒルクライムを加えた本格山岳コースの「御神火チャレンジコース」(コース全長73km、獲得標高1434m)だ。いずれも、伊豆大島の玄関口、元町港の北側に位置する仲の原園地がスタート/ゴール地点となる。

「大島ぐるっと一周コース」のプロフィール。コース全長46.8km、獲得標高826m Photo: ©伊豆大島 御神火ライド2018
「御神火チャレンジコース」のプロフィール。コース全長73km、獲得標高1434m Photo: ©伊豆大島 御神火ライド2018

 スタート後、数kmは大島の魅力を味わうための我慢の区間だ。細かなアップダウンを繰り返し、道路脇の木々が織りなす緑のカーテンの間を縫いながら、標高120mほどの丘を上る。10%以上ものキツイ勾配が続くわけではないが、脚を使う場所はこの先いくらでもあるので、ここではマイペースを心がけることをお勧めしたい。

630m続く地層の大パノラマが唐突に

 名もなき丘を抜けると、突如、絶景が現れる。スタートから7.7km地点にある「地層大切断面」と呼ばれるエリアだ。御神火ライドで第1フォトスポットとなるポイントで、バウムクーヘンのような縞模様を描いた長さ630mほどの地層の大パノラマが広がる。右手には太平洋の大海原が広がり、大自然が作り上げた神秘の空間にいることを実感できるはずだ。是非立ち止まって写真を撮ってみよう。

バウムクーヘンのような縞模様を描いた長さ630mほどの地層の大パノラマ「地層大切断面」 Photo: Masahiro OSAWA

 地層大切断面を抜けると、大島の東南部にある第1エイドのトウシキ芝生広場へ。ここから先、第2エイドまでは、コースがきつくなるうえに、コンビニどころか、民家もない大自然エリアに突入する。このため、第1エイドではしっかり補給しておきたい。

手つかずの自然が広がる島東部

コース脇に見晴らし台が。ここからは『伊豆の踊り子』の舞台、波浮港が見下ろせる Photo: Masahiro OSAWA

 第1エイドを過ぎてから、数百メートル。波浮港を一望できる見晴台を通過。眼下に広がる景色には、古き良き時代の港町の姿が飛び込んでくる。波浮港は文豪・川端康成氏の『伊豆の踊子』の舞台として描かれた港なのだとか。ここを過ぎると、周囲からは民家の姿も消していく。あるのは、道の両端を覆う木々が織りなすカーテンばかり。そしてその隙間から突如として、三原山が姿を現す。

 景色が突然、切り替わるのが大島サイクリングの魅力だ。「地層大切断面」のような絶景スポットは外せないが、ガイドブックやパンフレットなどに記されることのないスポットこそ、大島一周の魅力だと思う。不意を打たれて突如として切り替わる風景には心を揺さぶるものがある。

三原山に吸い込まれていきそうな感覚に陥る絶景が広がる Photo: Masahiro OSAWA

 そう感慨にふけりながら、ほどなく走らせると、第2フォトスポットの「筆島」がお目見えする。筆島は大海原から天に向かって筆が突き出たように、岩石が突出した島のこと。ここにたどりつくまでにも、かなりのアップダウンを繰り返してきたが、実はここからが本番だ。とりわけ、「大島一周ぐるっとコース」はここが最大の山場となる。筆島の展望スポットは標高20mほど。ここから約5kmにわたり、時折10%を超えるような坂を上り続け、標高360m付近まで上っていく。

海から突き出た岩石島の筆島。写真を撮るなら筆島ポーズで Photo:Kenta NAKADATE

 一度、上ってしまえば楽になるはず。アップダウンはありながらも、平坦基調がしばらく続く。周囲の景色に意識を向けると、緑がどんどんと深くなっていることに気づくはずだ。そして、いつの間にか、木々で作り上げた緑のトンネルが出現する。木々のトンネルを抜けると、日が差して明るくなり、ほどなくして再び木々のトンネルが出現する。自然が作り上げた景色の変化を楽しんでいるうちに、第2エイドの大島公園椿園駐車場にたどり着く。

木々が作り上げたトンネルをくぐり抜けていく Photo: Masahiro OSAWA
10%超えもあり踏みごたえは抜群。というよりもシンドイ Photo: Kenta NAKADATE

サンセットパームラインへ

 大自然エリアはここまで。第2エイドを過ぎ、第3エイドの「ぶらっとハウス」までの約9km区間は、徐々に人工物が増えていき、交通量が増えるので注意したい。

最後のエイドとなる「ぶらっとハウス」。「御神火チャレンジコース」はこの後に三原山登頂を控えているのでここでしっかり補給しておきたい Photo: Kenta NAKADATE

 第3エイドにたどり着いたら、「大島ぐるっと一周コース」は、サンセットパームラインを南下してゴールへ向かうだけだ。「御神火チャレンジコース」はこの後に三原山登頂を控えているのでここでしっかり補給しておきたい。

 三原山の前にサンセットパームラインについて触れておこう。ここはボーナスステージとでも言うべきエリアで、とても気持ちがいい。右手には大海原が広がり、伊豆半島の影が見える。左手には三原山がそびえたつ。目の前には開けた見通しのいい風景が目に入ってくる。

 何より面白いのが時折現れる坂だ。坂が近づくと景色が遮られるが、坂を越えると再び景色が開ける。絶景が見え隠れして、次にどんな景色を見せてくれるのかと、心躍らせながら走れるのだ。自然が作り上げた憎い演出だ。

この坂を上った先には何があるのかと期待させる Photo: Kenta NAKADATE

 サンセットパームラインを南下すると、「大島ぐるっと一周コース」はゴール地点へたどりつく。

御神火チャレンジコースはここからが本番

 「御神火チャレンジコース」は、サンセットパームラインを一部なぞり、「御神火スカイライン」を通って三原山登頂を目指す。登坂距離は6km、標高70mほどから一気に標高680mまで上る。平均斜度9%、時折15%もの斜度の激坂も出現し、非常に厳しいコースであることがわかる。

御神火スカイラインから元町を見下ろす Photo: Kyoko GOTO

 ここで「なぜ、こんなキツイことを…」と我に返ってしまってはいけない。きっと、上ってよかったと思えるはず。眼下には、自分が上ってきた九十九折りの道、そして、伊豆大島の中心街となる元町が広がり、大島のすべてが見えたような気がして、島に来た満足感を一層高めてくれるはずだ。最後は気を引き締めて、下りをこなし、あとはサンセットパームラインをたどってゴールを迎えよう。

 伊豆大島御神火ライドのコースを巡って、改めて思うのが、サイクリングにうってつけの場所だということ。地層大切断面や筆島のようにわかりやすい観光スポットも外せないが、突如として絶景が広がり、思いもよらない意外な展開に気分が高揚してしまう。自転車で大島の風をリアルに感じながら走れたのは幸せなこと。一度走るだけでは足りないと思えるのではないだろうか。

「伊豆大島御神火ライド2018」大会概要

開催場所:東京都 伊豆大島全域
開催日程:2018年9月8日(土) ※9月8日(土)に後夜祭
コース:御神火チャレンジコース、大島ぐるっと一周コース
主催:伊豆大島 御神火ライド実行委員会
協賛:ニコン、Dr.ストレッチ、アヴァンギャレージ、大島椿、オムロン、サンケイビル、ポッカサッポロ、マニフレックス
後援:東京都大島町

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