ツール・ド・フランス2018 第13ステージサガンがスプリントを制しハットトリック トーマスら総合勢には変化なし

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
  • 一覧

 ツール・ド・フランス2018第13ステージが7月20日に行われ、スプリントによる勝負をペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が制してステージ優勝。今大会3勝目を挙げた。個人総合上位陣はいずれもサガンと同じくメイン集団でフィニッシュ。順位に変動はなく、ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)が首位のマイヨジョーヌを守っている。

ツール・ド・フランス2018第13ステージ。スプリントを制したペテル・サガン。今大会3勝目を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

ニバリが前日の落車の影響で大会を離脱

 17日に始まった今大会の第2週は、その半数にあたる3日間がアルプスでの戦いだった。総合争いに大きな変化が生まれ、ツールらしさがより深まる日々が続いている。

ツール・ド・フランス2018第12ステージ、アルプ・デュエズの上りで観客と接触し落車。負傷したヴィンチェンツォ・ニバリ。落車後は猛追を見せたが、残るステージの続行は不可能となった Photo: Yuzuru SUNADA

 アルプ・デュエズの頂上を目指し、選手たちが大激戦を繰り広げた前日の第12ステージ。その興奮のまま迎えた夜に衝撃のニュースが走った。ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)の大会リタイアである。

 ニバリは前日のステージ、残り4kmになろうかというタイミングで他選手のアタックに反応。追撃態勢に入るところで落車してしまった。沿道の熱狂的ファンが焚く発煙筒の煙の中から浮かび上がったのは、地面に叩きつけられ苦悶の表情を浮かべるニバリの姿。その後、先を行く選手たちを猛追し、トップと13秒差でフィニッシュした。

 当初は前を走っていた警察バイクとの接触とみられ、ニバリもそれについてコメントしていたが、後にファンがSNSで公開した動画で、沿道のファンと接触していたことが判明した。レース後は気丈に振る舞っていたニバリだったが、医師による診断の結果、背部の骨折であることが分かり、レース離脱を余儀なくされてしまった。

 チームの公式発表によると、20日には地元イタリアへと戻り、翌日に改めて精密検査を受けるとしている。

アルプスに別れを告げ西へと向かう

 驚きの連続となっている今大会だが、レースは続いていく。

 この日の第13ステージは、フレンチアルプスのほぼ西端のル・ブール=ドアザンから、ヴァランスまでの169.5km。アルプスに別れを告げ、プロトンは西へ向かって走り出す。山岳ポイントは3級と4級の1カ所ずつで、全体的に難所はないものの、スプリントと予想される最終局面は集中力が必要。残り7kmから約5kmにわたってラウンドアバウトとコーナーが連続。極端に道幅が狭まる個所があるほか、フィニッシュ前350mでラウンドアバウトを通過。最後の1kmが上り基調となっていることも含め、スプリンターにとってはポジショニングとパワーが求められることになりそうだ。

 翌日からは中央山塊へと入っていくため、このステージが第2週唯一の平坦ステージとなるが、ちょっとした問題が発生している。

 前日までのアルプス3連戦で、第1週に活躍したスプリンターの多くが大会を離脱。そのほとんどが険しい山々に対応ができず、姿を消したものだ。現在のプロトンに残っているのは、「上れるスプリンター」と呼ばれる登坂力も兼ね備える選手たちばかりだが、彼らにとっては新たなチャンスがやってきたと捉えていることだろう。このステージで勢いに乗りたいところ。

 かたや、アルプスを戦い抜いた総合系ライダーにとっては、この日を「移動ステージ」とできるだろうか。今大会の平坦ステージの傾向を見る限り、イージーとはいかないかもしれない。何よりも、クラッシュやトラブルには注意が必要だ。

アルプスに別れを告げて西へと進むプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

シェアが逃げ続けるも残り5.5kmで捕まる

 現地時間午後1時35分にスタートが切られたレースは、セップ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)のファーストアタックから活性化。しばし出入りがあったのちに、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)のアタックに反応したトーマス・スクーリー(ニュージーランド、EFエデュケーションファースト・ドラパック)とトマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が続く。やがてシャヴァネルが集団へと下がり、代わってミヒャエル・シェア(スイス、BMCレーシングチーム)とディミトリ・クライス(ベルギー、コフィディス ソリュシオンクレディ)が逃げを狙う。29km地点で4人がまとまり、この日の逃げグループが決まった。

逃げグループでレースを進めたトマス・デヘント(右)とトム・スクーリー Photo: Yuzuru SUNADA

 32.5km地点に設けられた、3級山岳のコート・ド・ブリエは、逃げグループからデヘントが1位通過。この日は中間スプリントが71km地点に設定されたが、ここもデヘントが1位。どちらも競うことなく、先頭交代のローテーションを繰り返しながら過ぎていった。

 メイン集団は、逃げグループとのタイム差を1分30秒前後で進行。中間スプリントポイントは、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)が集団先頭で全体の5位通過。リードアウトを受けて挑んだジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)が6位、サガンは7位とした。

 その後も形成に変化のないまま進む逃げグループとメイン集団。106km地点の4級山岳コート・ド・サン=テュラリー=アン=ロワイヤンも逃げグループのものとなり、ここはスクーリーが1位で通過している。

個人総合2位につけるクリストファー・フルーム(右)と同3位のトム・デュムラン。集団内で談笑する Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団が逃げる選手たちの吸収に向けて動き始めたのは、残り40kmを切ったあたりから。UAEチーム・エミレーツやグルパマ・エフデジが主に集団の前方を固め、ペースアップを図る。先頭では、残り25kmでデヘントが脱落。さらに、集団とのタイム差が20秒を切ったところでシェアがアタック。独走態勢を作り出した。

 集団はシェアだけを残して他の逃げメンバーを吸収すると、再びタイム差調整を行いながら、スプリント勝負を意識した動きへと変化していく。残り10kmとなって、集団を牽引するのはトレック・セガフレード。ここから約5kmにわたって主導権を握ることになる。

 粘りを見せたシェアだったが、残り5.5kmで集団がキャッチ。シェアは最後、力尽きるようにして失速しながら集団に飲み込まれていった。エーススプリンターを擁するトレック・セガフレードやグルパマ・エフデジのほか、ボーラ・ハンスグローエ勢も集団の前方へ。最終局面に向けて有力チームを中心にプロトンが慌ただしくなっていった。

残り50mでサガンが逆転

 残り2.5kmでやってくる右カーブを勢いよく抜けたのはトレック・セガフレードのトレイン。スピードを上げて、集団を縦に長くする。これに応戦するのはグルパマ・エフデジ。両チームが好ポジションを争いながら、最後の1kmに差し掛かった。

 ここで猛然とアタックを試みたのがフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)。上りで飛び出し、集団に数十メートルの差をつける。だが、この勢いは最後までは続かない。最後のラウンドアバウトを過ぎたところでジルベールは吸収され、勝負はスプリントへとゆだねられた。

 残りは230m。真っ先にスプリントを開始したのはアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)。その脇からはクリストフ、逆サイドからはサガンが追い込みをかける。

 一度は先頭に出たクリストフだったが、ポイント賞のマイヨヴェールを着るサガンが最後の50mでかわして、わずかの差で先着。第2週唯一の平坦ステージを制し、マイヨヴェールを着る者としての威厳を示した。

ステージ優勝をかけたスプリント勝負。ペテル・サガン(右)がハンドルを投げ出してトップでフィニッシュラインを通過する Photo: Yuzuru SUNADA

今大会3勝目のサガン「ファンタスティック」

 第2、第5ステージに続く今大会3勝目“ハットトリック”を決めたサガン。「ファンタスティックだね!」と喜びを口にした。レース全体を通して、「プロトン全体がリカバリーに努めているような雰囲気だった。私も含めてみんなリラックスして走ることができていた」と振り返った。スプリントではポジショニングに苦慮したといい、「残り300mでの位置がよくなかった。結果的にクリストフの後ろについたことが勝因になった」と、ここ一番での判断が奏功したことを明かした。

ステージ優勝の表彰を受けるペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADA

 アルプス3連戦でスプリンターの多くが姿を消したことについても問われ、「いまツールに残っているスプリンター全員にチャンスが生まれ、より困難な勝負となる」と分析。加えて、「クライマーは数秒たりとも無駄にしたくないと思うだろうし、暑さやハードなレースによって、みんながストレスを抱えている」とプロトン内の現状についても話をした。

 このステージは、55位までがメイン集団でのフィニッシュした。個人総合上位陣はトラブルなく1日を終え、トーマスのマイヨジョーヌも安泰。「誰もがアルプスの後のステージをリラックスして過ごしていた。最終局面はハードだったが問題なく終えられた」とホッとした様子。次のステージについては、「終盤の上りはパンチ力が必要になる。私向きのレイアウトかもしれない」と述べ、ジャージのキープにも自信を見せた。

 そのほか各賞は、山岳賞のマイヨアポワはジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)、新人賞のマイヨブランはピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ステージ敢闘賞は逃げで魅せたシェアが受賞している。

危なげなくマイヨジョーヌを守ったゲラント・トーマス Photo: Yuzuru SUNADA

 21日に行われる第14ステージは、サン=ポール=トロワ=シャトーからマンドまでの188kmで争われる。中央山塊へと入っていく1日は、中級山岳ステージにカテゴライズされる。中盤から登坂が本格化し、最後に上る2級山岳コート・ド・ラ・クロワ・ヌーヴ(登坂距離3km、平均勾配10.2%)が勝負となる。上りの後半が最も厳しいうえにフィニッシュまで近いとあって、ライバルに対しタイムを稼ぎたい選手が動きを見せても不思議ではない。上りを終えると、約1.5km先のマンド-ブルヌー飛行場の滑走路に敷かれたフィニッシュラインへと飛び込む。

第13ステージ結果
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 3時間45分55秒
2 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ) +0秒
3 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
4 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)
5 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
6 イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
7 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ プロチーム)
8 アンドレーア・パスクアロン(イタリア、ワンティ・グループゴベール)
9 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
10 テイラー・フィニー(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) 53時間10分38秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +1分39秒
3 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +1分50秒
4 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ) +2分46秒
5 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +3分7秒
6 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム) +3分13秒
7 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +3分43秒
8 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +4分13秒
9 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ) +5分11秒
10 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +5分45秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 398 pts
2 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ) 170 pts
3 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 133 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 84 pts
2 ワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) 70 pts
3 セルジュ・パウェルス(ベルギー、チーム ディメンションデータ) 63 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) 53時間27分19秒
2 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) +1分58秒
3 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ) +6分49秒

チーム総合
1 モビスター チーム 160時間28分10秒
2 チーム スカイ +4分3秒
3 ロットNL・ユンボ +12分6秒

関連記事

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2018 ツール2018・レースレポート

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー
新春初夢プレゼント2019

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載