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栗村修の“輪”生相談<132>10代女性「本格的にレースに取り組みたいのですが、環境に悩んで煮詰まってしまいました」

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大学2年生の女子です。私の大学には自転車部が無いのですが、本格的にレースに取り組みたいと考えています。

 大学1年生の6月ごろにロードバイクを購入して、エンデューロやヒルクライム、クリテリウムで、何度か優勝や入賞経験があります。自転車競技やプロ経験のある方からも、体力や持久力は悪くないとおっしゃっていだいて、自信もあります。

 2年生に上がった時に、大学の体育会所属のトライアスロン部さんから部内に自転車競技班を作りたいから入部しないかとお話をいただき、入部することにしました。

 体育会には所属できますが、実質自転車競技班には私1人しかいないので、これから実質1人で運営しなくてはいけません。1人からでも学連登録は可能なのでしょうか? また学連加盟校で登録選手が1人しか居ない大学はちらほらいるものでしょうか?

 自転車競技部のある大学なら、学連のレースに出てインカレを目指す、競技部の無い大学の人だと実業団登録をする方もいらっしゃると耳にしました。

 今までのように草レースではなく、学連のインカレや実業団レースなどに登録して、上を目指したいと考えているのですが、このようなイレギュラーな環境の場合、どのようにレースに打ち込んでいけばいいのでしょうか?

 また私はトラックレーサーを持っていません。学連レースに出る場合、ロードとトラックのユニフォームのデザインを登録する欄があったのですが、トラックも出なくてはいけないということでしょうか?

 長々と質問を失礼しました。自分で調べたり悩んでしたら煮詰まってしまったためこの場をお借りして質問させていただきました。

 ご回答よろしくお願いします!

(10代女性)

 日本の自転車界には新しい才能が必要なので、ありがたい質問です。女子の自転車競技は、現状あまり競技人口は多くないのですが、オリンピックの正式競技でもありますから、挑戦し甲斐があるスポーツです。

 ですが、おっしゃるように、どうやって上に行けばいいのかがわかりにくい競技でもあります。先に重要な点にお答えしておくと、ひとりでも学連登録は可能です。また、トラックにも出なければいけないわけではなく、ロードレースだけの活動でもOKです。

 ただし、ご質問者さんの様なケースで障壁になり得る問題が一つあります。それは「部長」となる先生を探す必要があることです。実際、過去にも部長となる先生を見つけるのが大変で、創立を断念したケースがあったとこのこと。自転車競技特有のリスクなどを考えるとそれなりに準備も必要であり、未経験者が軽く引き受けられるものではないからでしょう。

 詳しくは、学連に問い合わせてみてくださいね。

 さて、所属連盟が「学連」か「実業団」かを問わず、ご質問者さんの目的は「上を目指す」ことですから、重要視するべき点は「どう強くなるか」ですね。そして、国内頂上決戦の「全日本選手権」で結果を残すことが当面の目標になるかと思います。ここで結果を残せれば、次のステップとしてナショナルチームでの海外遠征などにも繋がっていきます。

男子に比べると層が薄いといわれる女子ロードレースだが、徐々に競技の裾野は広がっている Photo: Ikki YONEYAMA

 女子選手が強くなる上で大切な要素の一つに、周囲の男子選手の存在があります。

 一般に男子のほうが女子よりも競技レベルが高いと言われますよね。この点をうまく利用できれば、女子のチーム員が自分ひとりでもでも良い練習環境を構築することが可能になります。

 強くなるためには、トレーニングで自分よりも「適度」に強い選手に引きずり回される経験が必須ですが、男子だとこれが意外と難しいんです(ただし、引きずり回され過ぎてオーバートレーニングに陥るリスクには注意が必要)。強豪選手になるほど、自分より強い選手を見つけにくいですから、伸びが鈍る恐れがあります。その点、女子選手は男子選手をうまく利用すれば、自分よりもレベルが高い練習相手を見つけやすいのです。

 また、ロードレースという競技は集団走行のスキルが非常に重要であり、その点においても複数のレベルの高い男子選手と一緒に練習することはとても有益です。

 学連登録でも実業団登録でも、現状、出場できるレース数に大きな違いはなく、また、女子レースは出走人数が少ないことから、重視すべき点は「周囲の男子選手の質(トレーニング環境)」と「活動のしやすさ(レース会場への移動など)」になるかと思います。

 また、僕の個人的な印象ですが、女子選手にとっては、指導者を含む周囲の環境が非常に重要です。大学にいい環境があるなら大学がベストですし、もしそうでないなら、面倒見がいい人がいる地域のクラブチーム(実業団登録チーム)を探すのも良いかもしれません。

 「インカレチャンピオン」というのは一般社会的にも認知度の高い称号ですので、「インカレチャンピオン」⇒「全日本選手権表彰台」を当面の目標とするのがシンプルでモチベーションも生み出しやすい様に感じますが、それプラス「トレーニング環境」と「活動のしやすさ」も加味してご自身の活動フィールドを構築してみてください。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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