宇都宮ブリッツェンが完璧なレース運び鈴木龍がマッチスプリントで入部正太朗を下して優勝 Jプロツアー第13戦石川ロードレース

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 日本最高峰のロードレースシリーズ、Jプロツアー第13戦「第17回JBCF石川サイクルロードレース」が7月15日に福島県の石川町と浅川町にまたがる公道に設定された1周13.6kmの特設周回コースで開催され、鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)が入部正太朗(シマノレーシング)とのスプリント勝負を制して今シーズン初優勝を飾った。

万全の状態でスプリントを開始した鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)が入部正太朗(シマノレーシング)をかわして先頭でフィニッシュする Photo: Nobumichi KOMORI

宇都宮ブリッツェンが逃げを容認

 厳しいアップダウンのコースレイアウトと開催時期特有の高温多湿な天候で、毎年サバイバルな展開となる名コースとして知られる石川ロードレース。今年は、湿度は例年ほどではないものの、朝から30℃に迫ろうかという高い気温が選手たちを苦しめることになった。

パレードスタート地点のが学校法人石川高校の校舎の壁にはリオ五輪に出場した窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)を称えるのぼりが掲げられる Photo: Nobumichi KOMORI
会場には西日本豪雨災害の被災者を支援する募金箱のほか、土嚢袋の現物支援を受け付ける場所も設けられた Photo: Nobumichi KOMORI

 学校法人石川高校をパレードスタートしたレースは、3kmのパレード区間を終えてリアルスタートが切られると、激しいアタック合戦となった。

選手を代表して、学校法人石川高校の卒業生でもある窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)が選手宣誓を行った Photo: Nobumichi KOMORI
パレードスタートした選手たちが石川町の中心街を進む Photo: Nobumichi KOMORI
1周目終盤にできた先行集団が逃げ続ける展開が続く Photo: Nobumichi KOMORI

 シマノレーシングやキナンサイクリングチーム、チーム ブリヂストンサイクリングなどが積極的にアタックを繰り返すなか、1周目の終盤にはホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)、向川尚樹(マトリックスパワータグ)、堀孝明(チーム ブリヂストンサイクリング)、木村圭佑と中田拓也(ともにシマノレーシング)、山本元喜と雨乞竜己(ともにキナンサイクリングチーム)、柴田雅之(那須ブラーゼン)という8人の逃げ集団が形成される。一方のメイン集団は、逃げに選手を乗せていない宇都宮ブリッツェンがコントロールを開始したことで逃げを容認。1分から1分30秒程度のタイム差を保ってレースを進めていく展開になった。

谷順成(ヴィクトワール広島)と岸崇仁(那須ブラーゼン)がメイン集団から飛び出してブリッジを試みる Photo: Nobumichi KOMORI

 4周目に岸崇仁(那須ブラーゼン)と谷順成(ヴィクトワール広島)の2人が追走でメイン集団から飛び出す場面があった以外、レースは逃げ集団と宇都宮ブリッツェンがコントロールするメイン集団という形のまま進んでいった。しかし、レースも5周目に入るとメイン集団が少しずつペースアップを開始。それと時を同じくして、疲労の色が見え始めた逃げ集団からは次々に選手がドロップしていく状態となり、残り2周となる6周目に入る段階で逃げ集団はトリビオ、堀、木村、柴田の4人に。メイン集団とのタイム差も30秒差に縮まる状態となった。

メイン集団は宇都宮ブリッツェンが先頭に立ってコントロールする展開が続く Photo: Nobumichi KOMORI
雨澤のアタックで崩壊したメイン集団から単独で抜け出した鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)がチームメートへのブリッジを試みる Photo: Nobumichi KOMORI

 6周目に入ると、ここまで粘りの走りを続けてきた4人の逃げ集団がついにメイングループに吸収され、集団はひとつに。ひとつになった集団ではアタックが散発したが、継続して集団をコントロールする宇都宮ブリッツェンがしっかり対応して逃げを許さず、そのまま残り4km地点からの上り区間へと入っていった。するとここで、チームメートのコントロールによって脚を温存していた昨年同レースの優勝者、雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)が満を時してアタックを仕掛けて集団から単独で抜け出したことで集団も崩壊。さらに、崩壊した集団から鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)が単独で抜け出して、チームメートの雨澤へのブリッジを試みる展開に。この動きに入部と横山航太(シマノレーシング)の2人が続こうとすると、すかさず岡篤志(宇都宮ブリッツェン)がチェックに入り、レースは単独で先行する雨澤、単独で追走する鈴木龍、入部と横山と岡の追走集団、その後方に10人ほどの集団という形で最終周を迎えることになった。

レースも終盤になり、逃げ集団は少しずつ人数を減らしていく Photo: Nobumichi KOMORI
チームメートのコントロールで脚を温存した雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)が狙い澄ましたタイミングのアタックで独走態勢を作る Photo: Nobumichi KOMORI

 最終周に入ると、まず先頭の雨澤と追走の鈴木龍が合流。さらに単独で抜け出してきた岡がそこに合流して、先頭は宇都宮ブリッツェンの3人に。このままワンツースリーフィニッシュもあり得るかと思われたが、後方から横山のアシストを受けた入部が追いつき、先頭は宇都宮ブリッツェン3人対シマノレーシング1人という図式で最終局面を迎えた。4人の先頭集団では、数的有利に立つ宇都宮ブリッツェンの雨澤と岡が代わる代わる攻撃を仕掛け、それに入部が対応していく状態が続く。レースも残り2kmになると、雨澤がアタックを仕掛けて単独で先行。それを追う入部を鈴木龍がしっかりマークするという状態で、レースはフィニッシュへと向かう上りへ。最終コーナーをクリアしてスプリントを開始した入部は、先行していた雨澤をかわして先頭に立ったものの、チームメートの波状攻撃でしっかり脚を温存できた鈴木龍が入部の後方から伸びのあるスプリントを見せて先着。Jプロツアーでは昨年6月の那須ロードレース以来となる自身2勝目、そして今シーズン初優勝を飾った。

横山航太(シマノレーシング)のアタックに岡篤志(宇都宮ブリッツェン)がしっかり反応し、宇都宮ブリッツェンが数的有利の状況を作る Photo: Nobumichi KOMORI

移籍後、念願の初勝利

 今シーズンから宇都宮ブリッツェンに加入し、今回の優勝が移籍後初勝利となった鈴木龍は「チームに加入してからエースを任されるレースが多かったがなかなか勝ちに恵まれないなかで、アシストとしてしっかり働いてくれていた選手たちが他のレースで勝ちを重ねていて、自分も勝たなければいけないと思っていたので、勝てて本当にうれしい」と素直に喜びを語った。同時に「集団コントロールをしてくれた選手に加えて、アタックで集団を崩壊してくれた雨澤選手。今日の勝利はチームメートみんなの力が大きかった。みんなの力で勝ったレースだと思います」とチームメートへの感謝も口にした。

左から2位の入部正太朗(シマノレーシング)、優勝した鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)、3位の雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) Photo: Nobumichi KOMORI
ルビーレッドジャージの窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)とピュアホワイトジャージの小山貴大(シマノレーシング) Photo: Nobumichi KOMORI

 この日の宇都宮ブリッツェンは、ここ数レースでは見られなかった逃げを泳がせ、集団をコントロールして最終局面に力勝負で勝つという、いわば王道のレースを見せた。そのプランについて、最年長としてチームをまとめた鈴木譲は「ここ数レースは各選手のコンディションにバラつきがあり、調子が良い選手が逃げに乗っていって逃げ切りを狙う作戦が多かったのですが、全日本選手権後に仕切り直せたことでチーム全体としてコンディションが上がっている感触がありました。プロの走りというものを、レースを通して見せたいと前日のミーティングの段階で各自の役割をしっかり決めて、その役割を全うできるように士気も上げました。逃げの人数とメンバーを見て多少不安もありましたが、1周回ってみてそれほどタイム差も開いていなかったので、これはいけるだろうと。各選手がしっかりと役割も果たせて優勝もできて、プランががっちりハマりましたね」と手応えを語った。

 なお、ツアーリーダーの証のルビーレッドジャージは窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)がキープしているが、23歳未満のランキングトップの選手が着用するピュアホワイトジャージは小山貴大(シマノレーシング)に移っている。

Jプロツアー第13戦「石川ロードレース」リザルト
1 鈴木龍(宇都宮ブリッツェン) 2時間42分34秒
2 入部正太朗(シマノレーシング)
3 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)⁺6秒
4 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)⁺28秒
5 才田直人(リオモ・ ベルマーレ レーシングチーム)⁺59秒
6 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)⁺1分1秒
7 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)⁺1分2秒
8 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
9 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)
10 湊諒(シマノレーシング)

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