ツール・ド・フランス2018 第8ステージフルーネウェーヘンがステージ2連勝 建国記念日に燃えるフランス勢は上位ならず

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・フランス2018第8ステージは7月14日、181kmで争われ、スプリントによる勝負をディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)が制し、前日に続くステージ2連勝を飾った。この日、建国記念日を迎えたフランス勢は上位進出がならなかった。個人総合首位のマイヨジョーヌはグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)が守っている。

ツール・ド・フランス2018第8ステージ。スプリントによるステージ優勝争いはディラン・フルーネウェーヘンが2連勝 Photo: Yuzuru SUNADA

沿道でトリコロールがはためく

 7月14日はフランス国民にとって特別な1日。1789年のこの日は、パリの民衆がバスティーユ牢獄を襲撃し、フランス革命がはじまったといわれている。その1年後の1790年からは、この日が同国の建国記念日に定められている。首都パリでは、16日後にプロトンが駆けるシャンゼリゼ通りで軍事パレードが催されるほか、国内各地でさまざまな催しが行われる。

アネ城の前を通過するプロトン。沿道ではフランス国旗が振られる Photo: Yuzuru SUNADA

 ツールももちろん、フランス人選手たちがこの日を待っていたとばかりに攻撃的な走りを見せるのが常。いつもは山岳ステージの設定が多いが、今回は開幕が例年より1週間遅かったことと、全体のルート設定が関係し、平坦ステージとなっている。

 また、沿道では多くのフランス国旗がはためいた。青・白・赤のトリコロールが、コース脇を埋め尽くす。スタート・フィニッシュはもちろん、プロトンが通過する街の人々にとっても、特別な1日となった。

 第8ステージとして行われるのは、ドルーからアミアン・メトロポルまでの181km。北東に針路をとり、地図で見るイメージとしては隣国ベルギーに近づいていく。前半の4級山岳2カ所を通過後は、ごく細かいアップダウンこそあるものの、スプリンターでも十分に対応が可能なレベル。一部コース幅が狭まる区間があるものの、全行程通じておおむね左右に広く、レースペースによっては集団が大きく膨らむ局面もありそうだ。

 予想される展開としては、スプリント狙いのチームがレースを構築し、エースでの勝負に備える形。とはいえ、地域柄風が強く、レースを左右するものとなり得るだけに、スプリントに持ち込むまでの戦術も大きな要素を占める。そして何より、最後の6kmは美しいアミアンの市街地とは裏腹に、テクニカルなコーナーやラウンドアバウトの連続。集団内での位置取りやコーナーリングが結果に結びつく可能性は大いにある。

 フランス全土が祝日となったこの日は、通常より1~2時間スタートを早めて、現地時間午前11時35分にドルーの街をプロトンが出発した。

レース中盤、ジェルブロワの街を通過するプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

落車で集団の雰囲気が一変

 スタートからしばらくはゆったりと進んだプロトン。大きなアクションがないまま進んでいったが、23km地点でローレンス・テンダム(オランダ、チーム サンウェブ)がファーストアタックを試み、ファビアン・グルリエ(フランス、ディレクトエネルジー)、マルコ・ミナールト(オランダ、ワンティ・グループゴベール)が続く。この3人を集団は容認し、徐々にタイム差が広がっていった。

逃げグループを引っ張るファビアン・グルリエ Photo: Yuzuru SUNADA

 35km地点に設定された1つ目の4級山岳は、ミナールトが1位通過。この後、テンダムが集団に戻る判断をしたことから、逃げは2人となる。そうした動きの間に、メイン集団とのタイム差は最大約6分まで拡大。71.5km地点に置かれた2つ目の4級山岳は、グルリエが獲得している。

 快調に進む2人は、86.5km地点に設けられた中間スプリントポイントでマッチスプリントを展開。トップ通過争いは、グルリエに軍配が上がった。まだタイム調整を本格化させる前段階のメイン集団は、4分差で到達。ここはアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)が先頭に立ち、全体の3位で通過した。ポイント賞で首位に立つペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、同2位のフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が続いたが、無理に争うことはせず。地元ライダーのデマールに譲るとも、はたまたフィニッシュに備えてとも解釈のできる動きを見せている。

 淡々と進行するメイン集団では、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)やダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ)といった総合系ライダーが一時的にチームカーまで下がる場面があったが、大きなトラブルはなく集団へと復帰している。

1つ目の山岳ポイントを1位通過したマルコ・ミナールト Photo: Yuzuru SUNADA

 集団が逃げる2人とのタイム差調整を始めたのは残り60kmを過ぎてから。しばし2分台でコントロールし、残り25kmを切ってからは射程圏内へ。その差を1分台として、いつでも先頭へと追い付く態勢を整えた。

 このまま進むと思われた流れに緊張感が走ったのはフィニッシュまで17kmの地点。集団前方をきっかけとした落車が発生。マーティンや個人総合4位につけるジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)、山岳賞のマイヨアポワを着るトームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)らが巻き込まれてしまった。集団の半数以上が足止めを余儀なくされるなか、マーティンとアラフィリップは前方への復帰に急ぐが、スピードが上がる一方のメイン集団からは両者を待つ姿勢は見られない。

絶好調フルーネウェーヘンが最後の50mで逆転

 ステージ優勝争いに向けて、各チームが隊列を組んでポジションを確保。グルパマ・エフデジやボーラ・ハンスグローエ、チーム スカイ、ロットNL・ユンボといったチームが前方を固める。先頭では、残り11kmで逃げていたミナールトが脱落。独走になったグルリエは、集団に対し約20秒のリードを懸命に保とうとするが、その差はを守り切れず残り6.5kmで集団へと飲み込まれた。これを機にチーム スカイやディメンションデータが集団先頭へと上がる。

 残り3.5kmで集団からフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)がスピードアップ。直後のコーナーでさらに加速し、集団に対しわずかながらリードしたが、2kmほど進んだところで失速。ジルベールをキャッチした集団は、ロット・スーダルやグルパマ・エフデジ、チーム サンウェブなどが前方を占めて、最終局面へと突入した。

 デマールでの勝負にかけるグルパマ・エフデジを先頭に最後の直線へと入ったが、先手を打ったのはクイックステップフロアーズだった。残り400mからマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)がリードアウトを開始するが、エーススプリンターのガビリアが離れていることに気づきスピードダウン。これに代わる形でサガンがスプリントを開始する。

 だが、フィニッシュまで300mを残してのスプリントは早い仕掛けとなってしまう。体をぶつけ合いながらスプリントラインを争うガビリアとアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)がサガンの両サイドから上がってくる。さらにその後ろからは、フルーネウェーヘンが猛然と加速してきた。

 前日の勝利も含め、ここへきて絶好調のフルーネウェーヘン。最後の50mでライバルを全員かわし、バイク1台分の差をつけて2日連続のステージ優勝を決めた。

ステージ2連勝のディラン・フルーネウェーヘン Photo: Yuzuru SUNADA

ヴァンアーヴェルマートはマイヨジョーヌで得意のパヴェへ

 前日のステージ優勝時には、開幕当初の不調を指摘する声があったと打ち明けたフルーネウェーヘンだったが、改めて「オランダ選手権(7月1日)の疲れが少なからずあったのだと思う」と自己分析。すでに調子を取り戻し、「チームメートと自らの走りが誇らしい」と喜んだ。

ポディウムで勝利をアピールするディラン・フルーネウェーヘン Photo: Yuzuru SUNADA

 フルーネウェーヘンに続いたのはガビリアとグライペルだったが、スプリント時の接触行為が危険であったとして、両者とも降着とされた。メイン集団最下位の93位にガビリア、1つ上の92位にグライペルとの裁定に。これにより2位に繰り上がったサガンは、ポイント賞争いでリードを広げる形になった。期待される翌日のステージに向けては、「明日費やすはずだったエネルギーが今日のスプリントで失われてしまった」と冗談交じりに答え、「ヴァンアーヴェルマートやクイックステップフロアーズの選手たちにチャンスがあるだろう」とコメントしている。

 個人総合首位のマイヨジョーヌは、メイン集団でレースを終えたヴァンアーヴェルマートが堅守する。「明日のステージを終えた時点でマイヨジョーヌを着ることができていれば素晴らしい。まずはリッチー・ポート(オーストラリア)の総合と、私のマイヨジョーヌを守るためにチームメートと力を合わせる」とコメントし、次のステージへ意欲を見せた。

落車のダメージを物語るトームス・スクインシュのマイヨアポワ Photo: Yuzuru SUNADA

 レース終盤のクラッシュに巻き込まれたアラフィリップとマーティンは集団に追いつくことができず、1分16秒差でのフィニッシュとなった。マーティンはこの影響で背部と左ひじに擦過傷を負った。そのほか、トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)が背部の骨折で翌日の未出走が確定。サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)は首の捻挫、オマール・フライレ(スペイン、アスタナ プロチーム)が右肩の捻挫と診断されている。

マイヨジョーヌをキープしたグレッグ・ヴァンアーヴェルマート Photo: Yuzuru SUNADA

 ツール第1週の最終日として行われる15日の第9ステージは、大会前半戦のヤマ場。3年ぶりに登場するパヴェ(石畳)ステージだ。全15セクター・総距離21.7kmは、過去のパヴェステージと比較しても類を見ない長さ。47.5km地点を皮切りに、終盤までパヴェセクターが立て続けに選手たちの前に立ちはだかる。荒れた路面はもちろん、道幅も狭いことから、セクションを迎えるたびにスプリントさながらのポジション争いが集団で起こりそうだ。なかでも、4月のパリ~ルーベでも難易度4つ星に指定される、第2セクター「カンファン・アン・ペヴェル」(139.5km地点、1800m)が勝負どころと目されている。

 ステージ優勝争いが集団によるものなのか、逃げ切りとなるのかはもちろん、強力な総合エースとパヴェスペシャリスト双方を擁するチームがどんな戦術を組むのかもポイント。チームオーダーがハマるかどうかも、結果を左右しそうだ。

 レースは、アラス・シタデルからルーベまでの156.5km。フィニッシュ地点は、ルーベのヴェロドローム手前に設置され、おなじみの場内には入らない。

第8ステージ結果
1 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ) 4時間23分36秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +0秒
3 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)
4 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)
5 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
6 トマ・ブダ(フランス、ディレクトエネルジー)
7 ニキアス・アルント(ドイツ、チーム サンウェブ)
8 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チーム ディメンションデータ)
9 イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
10 アンドレーア・パスクアロン(イタリア、ワンティ・グループゴベール)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) 32時間43分0秒
2 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +7秒
3 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +9秒
4 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +16秒
5 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +22秒
6 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +49秒
7 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +55秒
8 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +56秒
9 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +57秒
10 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 277 pts
2 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 214 pts
3 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ) 132 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 トームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) 6 pts
2 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー) 4 pts
3 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) 4 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チーム サンウェブ) 32時間44分7秒
2 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ) +27秒
3 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +2分17秒

チーム総合
1 クイックステップフロアーズ 98時間48分50秒
2 BMCレーシングチーム +8秒
3 チーム スカイ +1分50秒

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