ツール・ド・フランス2018 第7ステージ今大会最長ステージでのスプリントはフルーネウェーヘンが快勝 総合上位は変化なし

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 熱戦が繰り広げられているツール・ド・フランス2018は、7月13日に第7ステージが行われた。今大会最長距離の231kmで争われたレースはスプリントによるステージ優勝争いとなり、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)が勝利。昨年の第21ステージに続く、ツール通算2勝目を挙げた。総合上位陣はフルーネウェーヘンと同タイムの集団でフィニッシュしており、マイヨジョーヌはグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)が守っている。

ツール・ド・フランス2018第7ステージ。今大会最長距離の1日は、ディラン・フルーネウェーヘンがスプリント勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

フランス北部を横断する1日

 この日はフージェールを出発し、ほぼ真東に位置するシャルトルを目指す。コースマップを見ると、東向きのほぼ一定方向へと進むイメージ。第4ステージ以降、フランス北西部のブルターニュ地方をめぐったが、このステージで別れを告げることになる。

 スタート地のフージェールは、歴史的建造物が多い街で、なかでも有名なのは中世に建てられた要塞。かつては産業も栄えたが、現在は美しい建造物や芸術を中心とした観光誘致に力を入れているという。綺麗な街並みの中を、選手たちはスタートしていく。

 コース上、中盤に4級山岳が設定されているが、それ以外は変化らしい変化は見当たらない。平坦ステージにカテゴライズされ、3日ぶりにスプリンターたちの競演になるとの大方の予想だ。とはいえ、決してイージーな1日になるとは思えない。この地域は風が強く、その向き次第ではプロトンを分断してレースを思いがけない流れへと発展させることだってある。特に今大会は有力選手の落車やトラブルが相次いでおり、プロトン内の緊張感が高まっていても不思議ではない。

 そして、フィニッシュに向かっては、シャルトル市街地を抜ける残り2km地点から大小いくつかのコーナーが控える。残り1kmのフラムルージュまでは一気に駆け下るイメージで、その勢いのまま上り基調のスプリントへと突っ込んでいく。残り150m地点が緩やかな右コーナーになっており、そこでのポジショニングもカギとなりそうだ。

フージェールの要塞を横目にスタートしていく選手たち Photo: Yuzuru SUNADA

集団分断が起こるもレースは揺るがず

 この日のファーストアタックは、トマ・デガント(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)。集団は追う姿勢を見せなかったことで1人逃げとなるが、デガントがそれを嫌い、集団へと戻る。17km地点では9人が逃げを開始し、さらに1人が加わるが、大人数の逃げを嫌がってロットNL・ユンボが集団をスピードアップ。先行した10人を捕まえる。

1人逃げとなったヨアン・オフレド Photo: Yuzuru SUNADA

 出入りのあったプロトンだが、35km地点でヨアン・オフレド(フランス、ワンティ・グループゴベール)が飛び出し、1人での逃げを開始。80km地点を過ぎようかというところで、メイン集団から約8分のリードを得る。その流れのまま、120km地点に設定された、この日唯一の4級山岳を1位で通過した。

 レースが一時的に動きを見せたのは、残り100kmを過ぎたあたり。スタート以来続いていた向かい風を利用して、アージェードゥーゼール ラモンディアール、トレック・セガフレードなど数チームがペースアップ。これによって、集団は大きく3つに分断した。有力選手はおおむね前方のグループに位置したが、前日ステージ優勝のダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ)やイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)らが後方に取り残されてしまう。10kmほど進んだ先で集団は1つに戻るが、しばらくはいくつかのエシュロンによる追いかけっことなった。そうしたプロトンのペースアップによって、オフルドは集団へと引き戻されることとなった。

レース中盤から逃げを打ったローラン・ピション Photo: Yuzuru SUNADA

 残り距離が長いとあって、仕切り直しの逃げを試みたのが、ローラン・ピション(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)。集団も追う姿勢は見せず、約2分差で先行を開始した。

 ピションの独走を許しつつも、集団では各賞争いを意識したアクションが起きる。168km地点に設定された中間スプリントポイントは、ピションの通過から1分15秒差で集団が到達。リードアウトを受けたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が集団先頭となる全体の2位通過。マイヨヴェールを着るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は、無理に競りにはいかずに3位確保に努めた。

 続いてやってきたのは、200km地点のボーナスポイント。ここで動いたのはマイヨジョーヌのヴァンアーヴェルマート。チームメートのシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシングチーム)も加えてボーナスタイム獲得。1位で通過したヴァンアーヴェルマートは3秒、ライバルの追撃をブロックする役割を果たしたキュングも2位となっている。

 これらの間に、向かい風の中を1人粘ったピションは集団にキャッチされた。それでも、果敢な姿勢が評価されてこのステージの敢闘賞に選出されている。

スピードの違いを見せたフルーネウェーヘン

 レースを通じて、逃げの人数が少なかったことや、風による展開の極端な変化がなかったこともあり、勝負は“予定通り”スプリントにゆだねられることとなった。ボーナスポイント通過後は、隊列を組んだ各チームが前方を固める。スピードは上がっていくが、激しい主導権争いというよりは、次なる展開に備えている状態。実際に勝負を意識したムードが漂ったのは残り10kmを切ってからだった。

フィニッシュを目指し進んでいくプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

 グルパマ・エフデジ、チーム スカイなどが代わる代わる集団先頭へと上がってくる。これに応戦するのがボーラ・ハンスグローエやモビスター チーム、ディメンションデータといったあたり。ロットNL・ユンボやバーレーン・メリダのジャージも目立つところへとやってきた。

 シャルトル市街地のにぎわいの中を通過すると残り2km。右へと曲がる鋭角コーナーを利用してコフィディス ソリュシオンクレディも上がってきた。狙いすましたコーナーリングによって、集団は一気に縦長になる。残り1kmからトップに立ったのは、ディメンションデータ勢。ここまで上位進出を逃しているマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)が勝負にかける。

 数チームが入り乱れながら迎えた最終局面。ジュリアン・アラフィリップ(フランス)の引き上げによって、クイックステップ勢がベストポジションへ。マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)が引き継ぎ、いよいよガビリアを発射。これに続くのはサガンやアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)。

 だが、この日スピードの違いを見せつけたのは、フルーネウェーヘンだった。残り150mでやってきた最後のコーナーを大外からクリアすると、先にスプリント態勢に入っていたガビリアやサガンらをかわし、一番にフィニッシュラインへ。チームジャージを示しながら、今大会最初の、通算では2つ目となるステージ優勝を決めた。

力強いスプリントで勝利を収めたディラン・フルーネウェーヘン。フィニッシュポーズに思いがこもる Photo: Yuzuru SUNADA

マイヨジョーヌでのパヴェステージ勝利を目指すヴァンアーヴェルマート

 昨年の最終日、パリ・シャンゼリゼでのスプリントを制し、鮮烈な印象を残したフルーネウェーヘン。今シーズンはツール前に9勝を挙げるなど、その実力が本物であることを示してきた。そしてこのステージの勝利。開幕2ステージは脚がイメージ通りに動かず、周囲からはプレッシャーに圧されていることを指摘されたというが、力強い走りでその見方を払拭してみせたあたりはフィニッシュのポーズに現れているようだ。

チームメートと勝利の喜びを分かち合うディラン・フルーネウェーヘン Photo: Yuzuru SUNADA

 最終局面については、「残り2kmでよいポジションを見つけることができて、チームメートが完璧なリードアウトをしてくれた」と説明。第4ステージ以降調子が上がってきたといい、開幕以来最も自信をもって臨めたというこのステージでは、常にチームメートに近くにいてもらうよう声掛けをしていたことをレース後に明かした。

 2位以下はガビリア、サガンの順。ポイント賞争いは、31ポイント差でサガンがリードを続けている。また、アルノー・デマール(グルパマ・エフデジ)、クリストフ・ラポルト(コフィディス ソリュシオンクレディ)といった実力派フレンチスプリンターも4位と5位を占め、次なるチャンスにかける意欲を見せている。

 ステージを終えて、個人総合ではヴァンアーヴェルマートがトップをキープ。後続にも大きな順位変動は起きていない。ただ、ヴァンアーヴェルマートはボーナスポイントでの1位通過により、2位ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)に対し6秒差とリードを広げている。レース後の記者会見では、前日同様に「マイヨジョーヌでルーベに勝つこと」と、得意のパヴェが待つ第9ステージを視野に入れる。同時に、「大会前半の最重要ステージとして、リッチー(ポート)とセーフティに走ることも心掛けたい」と述べ、エースのリッチー・ポート(オーストラリア)の総合成績も念頭に置きながらレースを進めることを示唆している。

 フランス革命記念日を迎える7月14日。第8ステージは、ドルーからアミアン・メトロポルまでの181km。フランス全土の祝いの日は例年山岳ステージが設定されることが多いが、今年はスプリンターが勝ちにいく1日に。前半の4級山岳2カ所を通過後は、ごく細かいアップダウンこそあれど、スプリント狙いのチームがレースを構築し、エースでの勝負に備えるだろう。地域柄、風が強く、レースを左右するものとなり得るだけに、スプリントに持ち込むまでの戦術も大きな要素を占める。そして、最後の6kmはテクニカルなコーナーやラウンドアバウトの連続。集団内での位置取りやコーナーリングがリザルトにも反映されそうだ。

第7ステージ結果
1 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ) 5時間43分42秒
2 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) +0秒
3 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
5 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)
6 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)
7 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)
8 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)
9 アンドレーア・パスクアロン(イタリア、ワンティ・グループゴベール)
10 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チーム ディメンションデータ)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) 28時間19分25秒
2 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +6秒
3 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +8秒
4 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) +9秒
5 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +15秒
6 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +21秒
7 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +48秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +54秒
9 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +55秒
10 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +56秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 234 pts
2 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 203 pts
3 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ) 105 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 トームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) 6 pts
2 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー) 4 pts
3 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) 4 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チーム サンウェブ) 28時間20分31秒
2 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ) +27秒
3 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +2分17秒

チーム総合
1 クイックステップフロアーズ 85時間38分2秒
2 BMCレーシングチーム +8秒
3 チーム スカイ +1分50秒

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