ツール・ド・フランス2018 第4ステージガビリアが難敵をかわして今大会2勝目 ヴァンアーヴェルマートはマイヨジョーヌ堅守

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・フランス2018は7月10日、第4ステージが行われた。平坦ステージにカテゴライズされる195kmのレースは、最終盤まで逃げグループが粘りに粘ったが、フィナーレはスプリント勝負に。今大会すでに1勝を挙げているフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)がペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)らとの勝負を制してステージ優勝した。マイヨジョーヌを着用してスタートしたグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)もこの日はメイン集団でフィニッシュ。個人総合首位の座を守っている。

ツール・ド・フランス2018第4ステージ。スプリント勝負はフェルナンド・ガビリア(先頭中央)が今大会2勝目となるステージ優勝 Photo: Yuzuru SUNADA

プロトンはブルターニュ地方へ

 ヴァンデ県とその近郊で開幕3ステージを戦った選手たち。相次ぐクラッシュとトラブルが発生した第1、第2ステージ。3年ぶりのチームタイムトライアルで各チームの組織力を試し、大会4日目からはいよいよ本格的にフランス北部を進行していく。

前日のチームタイムトライアルを制したBMCレーシングチーム。マイヨジョーヌで出走するグレッグ・ヴァンアーヴェルマートはイエローのバイクでレースに臨んだ Photo: Yuzuru SUNADA

 第4ステージは、ラ・ボールからサルゾーまでの195km。スタート直後に大西洋を見たのち、一路東へ。中間地点を前に折り返すようにして、今度は西向きに走りフィニッシュを目指す。まさに中間地点となる97.5km地点に中間スプリントポイントが設けられるほか、135.5km地点に4級山岳ポイント、156.5km地点にボーナスポイントが控える。最終局面は、残り4km地点でラウンドアバウトを通過して以降、フィニッシュラインにかけて極端な変化はなく、ハイスピードバトルとなる可能性の高いレイアウト。残り2kmから上り基調となるが、スプリンターには問題がないレベルとみられた。

 ちなみに、この日のスタート地点であるラ・ボールは、「ラ・ボール=エスクブラック」が正式な地名。「ラ・ボール」はこの街のビーチを指す呼称とされ、その通りにこのステージでは海を見ながらスタートする。

 そして、フィニッシュ地のサルゾーの市長を務めるのは、UCI(国際自転車競技連合)現会長であるダヴィ・ラパルティアン氏。フランス自転車競技連盟会長、ヨーロッパ自転車競技連盟会長を歴任しながら、地方議員としても活躍。サルゾー市では2008年から市長を務める。

 そんなレースは、後半からブルターニュ地域へ。開幕以降はヴァンデ県を本拠とするディレクトエネルジーへの応援で盛り上がったが、ここから数日間はフォルトゥネオ・サムシックがホームチームとなる。

スタート地ラ・ボールのビーチ。美しい大西洋に目を奪われる Photo: Syunsuke FUKUMITSU

スタートアタックを決めた4人が最大8分のリード

 沿道の大歓声を受けながら出発したプロトン。9.5kmと長めのニュートラル区間を走行中に、マークス・ブルグハート(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が落車。これにより、集団はブルグハートを待ったうえでアクチュアルスタートを切ることとなった。

スタートアタックを決めた逃げの4選手 Photo: Yuzuru SUNADA

 レース開始とともに4選手がアタックすると、集団はノーリアクション。そのまま逃げグループ形成となる。この日レースをリードしたのは、ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー)、ディミトリ・クライス(ベルギー、コフィディス ソリュシオンクレディ)、アントニー・ペレス(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)、ギヨーム・ヴァンケイスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)。タイム差はあっという間に開いていき、40km地点でこの日最大となる約8分差に。これにより、ヴァンケイスブルクがバーチャルマイヨジョーヌとなる。

 前半は淡々と進行したメイン集団。無線調整のためチームカーに下がっていたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)は、肝心の無線本機をコース外に落としてしまうハプニング。バイクを止めて落ち着いて直したのち、レースへと復帰している。

 レース展開に大きな変化はないまま、中間スプリントポイントへ。逃げグループは争うことなく、先頭交代を繰り返す流れでヴァンケイスブルクが1位で通過した。

 一方のメイン集団では、有力スプリンターを抱えるチームが数人のリードアウトマンを配してポイント争い。集団の先頭となる4位通過は、よいタイミングで飛び出したガビリアが確保。グライペル、サガンが後ろに続いた。

メイン集団内を走行するマイヨジョーヌのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート Photo: Yuzuru SUNADA

 中間スプリントポイントを機に逃げと集団との差は一気に縮まり、1分台にまで迫る。集団を率いるのはBMCレーシングチーム。主にパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、BMCレーシングチーム)とミヒャエル・シェア(スイス、BMCレーシングチーム)がペースメイクを担った。

 やがて迎えた4級山岳も逃げグループのものに。ここも争いは起こらず、ペレスが1位通過。一方のメイン集団は、いったんタイム差調整に入り、逃げグループ吸収のタイミングを図りながら進行。

 その矢先、集団内で落車が発生した。ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム)、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)といった総合有力勢が巻き込まれてしまう。大きなダメージを負った選手は現れなかったものの、この影響で集団のペースが緩んだこともあり、逃げとのタイム差は再び約3分にまで戻った。アドバンテージを取り戻した逃げグループでは、クライスがボーナスポイントを1位通過している。

好位置からの飛び出しが利いたガビリアの勝利

 勢いを取り戻した逃げの4人は、協調体制を保ったまま残り距離を進んでいく。メイン集団は少しずつ差を縮めていくが、タイムギャップが2分を割ったのは残り17kmのこと。セオリーで考えれば、先頭の4人にも逃げ切りのチャンスが出てきたといえる。集団は各チームのトレインが前方にひしめき合い、主導権を争う状況だ。

 その形勢が崩れぬまま、残り10kmで約1分差。逃げは4人のまま、懸命にリードを守る姿勢。

終盤に発生した大規模クラッシュで多くの選手が地面に叩きつけられた Photo: Yuzuru SUNADA

 残り距離が5kmになろうかというところで、メイン集団に大規模なクラッシュが発生した。中ほどから後方を走っていた選手たちが巻き込まれてしまい、逃げの吸収、そしてスプリントを狙う集団の人数は大幅に減ってしまうこととなる。この影響を受ける形になったのが、個人総合優勝候補のリリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)とイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)。ウランはアシストの人数をかけて何とか集団へと戻ったが、ザカリンはスピードが上がる一方のメイン集団への復帰に苦戦を強いられる。

 この混乱で再び逃げメンバーにチャンスがめぐってくるかに思われたが、トラブルに関係なく集団の勢いは増す一方。残り1.5kmでヴァンケイスブルクが最後の力を振り絞りアタックしたが、残り850mでそのチャレンジは終わりを迎えることとなった。

 集団にとってはやっとの思いでこぎつけたといえる、スプリント勝負。ディメンションデータやトレック・セガフレードが前方を固めたが、残り550mでスルスルと前に挙がってきたのは、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)。エーススプリンターのガビリアを引き連れて、長い距離をリードアウト。そしてフィニッシュ前250mでガビリアを発射した。

 その反対サイドから上がってきたのはグライペル。先に加速していたメリットを生かしてトップに立つが、トップスピードに乗ったガビリアが再び横に付き、そのままパス。最後はベストポジションからのスプリントが奏功するものとなった。

好勝負を演じたフェルナンド・ガビリア(右)とペテル・サガンが互いに笑顔を見せる Photo: Yuzuru SUNADA

マイヨヴェール争いでサガンとの一騎打ちか

 ツール初出場にして2勝目を挙げた23歳のガビリア。レース後の記者会見では、「4ステージ中2ステージで勝利できたことは誇らしい」と満足げ。今大会ここまでの戦いの特徴を問われると、「特別ほかのレースとの違いは感じないが、終盤になるとスプリンターチームと総合系チームとが入り乱れ、レースをより難しいものにしていると思う」と感想を口にした。

初出場のツール・ド・フランスで早くも2勝目を挙げたフェルナンド・ガビリア Photo: Yuzuru SUNADA

 ガビリアはこのステージを終えてのマイヨヴェール(ポイント賞)奪還こそならなかったが、中間スプリント、そしてフィニッシュとライバルに先着したこともあり、首位のサガンに4点差と迫った。3位とは70点以上の開きとなったことから、サガンとの一騎打ちの様相となりつつある。

 そのサガンは、ガビリアの背後からスプリント態勢に入ったが、加速するラインが定めきれず、ステージ優勝を譲る格好となった。また、ガビリアを脅かしたグライペルは3位となっている。

 熱戦のスプリントと合わせて注目されたマイヨジョーヌは、ヴァンアーヴェルマートが個人総合首位を守り、ジャージのキープを決めている。レース中はアシスト陣が集団をコントロールなど、長時間にわたってヴァンアーヴェルマートのジャージキープに尽くした。このステージを終えた時点で、山岳賞のマイヨアポワはディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール)が、新人賞のマイヨブランはソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チーム サンウェブ)がそれぞれ堅守している。

 またしても規模の大きな落車が複数回発生したこのステージ。終盤の落車で後方に取り残されたザカリンは、結果的に集団復帰はかなわず。ガビリアから59秒差でフィニッシュと、タイムを失ってしまった。

マイヨジョーヌのキープを決めたグレッグ・ヴァンアーヴェルマート Photo: Yuzuru SUNADA

 11日に行われる第5ステージは、今大会初の中級山岳。ロリアンからカンペールまでの204.5kmに、3級と4級合わせて5つのカテゴリー山岳が詰め込まれている。いずれも登坂距離こそ短いものの、勾配にして6%前後の上りが連続して登場。春に開催されるアルデンヌクラシックを得意とするタイプの選手に有利との声も挙がっている。フィニッシュは山岳カテゴリーこそつかないものの、残り1kmから4.8%の上りが待ち受ける。最後はパワー勝負となる可能性が高い。

第4ステージ結果
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 4時間25分1秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +0秒
3 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)
4 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)
5 マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)
6 アンドレーア・パスクアロン(イタリア、ワンティ・グループゴベール)
7 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)
8 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)
9 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール)
10 ティモティ・デュポン(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) 13時間33分56秒
2 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +0秒
3 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +3秒
4 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +5秒
5 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) +7秒
6 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
7 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +11秒
8 ソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チーム サンウェブ)
9 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)
10 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +35秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 143 pts
2 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 139 pts
3 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ) 72 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) 1 pts
2 アントニー・ペレス(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) 1 pts
3 ケヴィン・ルダノワ(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) 1 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チーム サンウェブ) 13時間34分7秒
2 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ) +1分8秒
3 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ プロチーム) +1分22秒

チーム総合
1 クイックステップフロアーズ 41時間21分2秒
2 チーム サンウェブ +16秒
3 BMCレーシングチーム +23秒

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