ツール・ド・フランス2018 第3ステージ3年ぶりのチームTTはBMCが快勝 マイヨジョーヌはヴァンアーヴェルマートへ

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・フランス2018は7月9日、第3ステージとしてチームタイムトライアルが行われ、BMCレーシングチームが快勝、35.5kmを38分46秒で走破した。これにより、チーム内総合最上位のグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)が個人総合首位となり、マイヨジョーヌに袖を通した。また、個人総合順位が大きくシャッフルし、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)やクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)ら、前の2ステージでトラブルなどで遅れを喫していた総合勢がジャンプアップに成功している。

ツール・ド・フランス2018第3ステージ、チームタイムトライアルを制したBMCレーシングチーム Photo: Yuzuru SUNADA

街や人々のにぎわいもツールらしく

 ツールを迎える街のにぎわい、人々の盛り上がりは、大会3日目にしていよいよスイッチが入った印象だ。第3ステージの舞台となるショレは人口約5万5千人の街で、フランス北西地域では比較的大きめの都市。前日まで2日間を戦ってきたヴァンデ県とは、このステージで別れを告げるが、歴史的な要素から建築物や文化遺産はヴァンデのそれと酷似しているのだという。一方で、街の人々のアイデンティティは根強く、「自分たちはヴァンデの人間ではない」という意識が浸透しているといわれる。

ツールを迎えたショレの街。沿道を埋め尽くす人々でにぎわう Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 レースに目を向けると、開幕から2日間の平坦ステージは、両日ともにクラッシュやトラブルが多発し、有力選手も巻き込まれてしまった。個人総合の連覇を狙うクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)や、総合上位進出に期待がかかるリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)らが総合タイムを失う驚きの状況に。そんな中、トラブルを避けて勝負に絡んだペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が第2ステージを勝利。個人総合首位に立ち、マイヨジョーヌを着て第3ステージへと臨むこととなった。

 その第3ステージは、ツールでは3年ぶりに戻ってきたチームタイムトライアル。チームの組織力を証明する35.5kmの戦いだ。

 コースは、終始細かなアップダウンの連続。さらには道幅の狭い区間やテクニカルな-コーナーも待ち受け、各チームの走力はもとより、コースへの適応力やテクニックも要求されるものに。また、このツールから1チームあたりの出走人数が8人となったことから、有効タイムは従来のチーム内5番手から4番手へと移行。出走は、第2ステージ終了時のチーム総合下位からとし、同22位のミッチェルトン・スコットから各チームが5分おきにコースへと繰り出す。マイヨジョーヌ着用者の所属チームが最終出走となるため、サガン擁するボーラ・ハンスグローエが最後の出発だ。

 総合タイムで遅れを喫している選手にとっては、チーム力を駆使して挽回するチャンス。特に、フルームやポート、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)らは、チームとしてこのステージの勝利を狙える存在。コース攻略の先に、総合順位のジャンプアップがあると言ってもよさそうだ。

序盤出走の有力チームが上位進出

 午後3時10分、第1出走のミッチェルトン・スコットがスタート。以降5分おきに次々とチームが出発していく。

 ミッチェルトン・スコットに限らず、チーム スカイ、モビスター チーム、BMCレーシングチームなど、力のあるチームが序盤出走に固まっている今回。なぜなら、第1、第2ステージでの混乱の影響で、チーム総合順位を大幅に下げてしまっているから。同時に、これらのチームが早い段階で出走となることで、基準タイムが明確になるというメリットも見込まれる。

暫定トップとなる走りを見せたチーム スカイ。最終的にステージ2位となった Photo: Yuzuru SUNADA

 その通り、早々から好タイムの連発となる。イェーツ擁するミッチェルトン・スコットは、大きなトラブルなく38分55秒で走破。続いて出走したチーム スカイは、中盤までにルーク・ロウ(イギリス)とワウト・プールス(オランダ)が遅れるも、総合エースのフルームとゲラント・トーマス(イギリス)を中心に好ペースで進行。ミッチェルトン・スコットを上回る38分50秒で走り切り、暫定トップに立つ。

 だが、チーム スカイのタイムはあっという間にトップを明け渡すことになった。5番目に出走したBMCレーシングチームがスタート直後からハイペースで攻める。13km地点に設けられた第1計測ポイントこそ2番手だったが、26.5km地点の第2計測ポイントでトップに立つと、勢いそのままにショレのフィニッシュ地点へと帰ってきた。タイムは38分46秒。チーム スカイを4秒上回った。

トップタイムをマークしたBMCレーシングチームのフィニッシュ。最後は5人が生き残った Photo: Yuzuru SUNADA

 その後、長時間にわたってBMCのタイムを脅かすチームが現れなかったが、14番目に出発したチーム サンウェブがまずまずの走り。総合エースのトム・デュムラン(オランダ)を順位で好位置に引き上げるべく、後半まで人数を残しながら距離をこなしていく。第1計測では15秒遅れだったが、第2計測で12秒、そしてフィニッシュでは11秒とわずかながらタイム差を挽回しながら、まずまずの内容にまとめた。

ステージ3位となったクイックステップフロアーズの走り Photo: Yuzuru SUNADA

 多くのチームが40分前後のタイムにとどまる中、いよいよ実力派2チームがそれぞれ21番、最終の22番出走としてスタート地点に現れた。先に出発したのは、チーム総合首位のクイックステップフロアーズ。スタート以降落ち着いた走りで、まずは第1計測をトップから3秒差で通過する。直後の上りで新人賞のマイヨブランで出走したガビリアが苦悶の表情で遅れてしまうが、チームとして想定済みなのかスピードを緩めることなく走り続ける。6人となった状態でやってきた第2計測は6秒差。

 終盤は力を尽くした選手を切り離しながら、4人としたクイックステップフロアーズ勢。トップタイムこそ更新できなかったが、最終的に7秒差とまとめ、この時点で3位とした。

中盤にチームの隊列から遅れたマイヨジョーヌのペテル・サガン(右)。マークス・ブルグハートとともにフィニッシュを目指す Photo: Yuzuru SUNADA

 残るは、この日の真打ち、サガン擁するボーラ・ハンスグローエ。こちらもスタート直後から飛ばしていく。第1計測は13秒差、上位陣を射程圏にとらえながら中盤へと入っていく。マイヨジョーヌのサガンはときおりローテーションを飛ばす場面もあり、後半勝負のチーム姿勢をイメージさせる。

 だが、その見立てとは裏腹に、チームは徐々にペースダウン。第2計測をトップと37秒と差が広がってしまっただけでなく、このポイントへつながる上りでサガンがブレーキ。完全に脚を止めてしまい、勝負はチームメートに託す形に。この瞬間、サガンのマイヨジョーヌキープの可能性はなくなった。

 4人の隊列でフィニッシュへとやってきたボーラ・ハンスグローエの選手たち。上位争いに加わることこそかなわなかったものの、BMCレーシングチームとのタイム差は50秒に食い止め、ステージ7位で終えることとなった。

ヴァンアーヴェルマートは2年ぶりマイヨジョーヌ

 ステージ優勝を決めたBMCレーシングチームは、21番目にフィニッシュへとやってきたクイックステップフロアーズのフィニッシュタイムを見た瞬間に勝利を確信。ボーラ・ハンスグローエのフィニッシュを待たずに優勝の喜びに浸った。

ステージ優勝のBMCレーシングチーム。ポディウムで喜びに浸る Photo: Yuzuru SUNADA

 くしくも、前回チームTTが実施された2015年大会の第9ステージを制したのもBMCレーシングチーム。当時のメンバーのうち、ヴァンアーヴェルマート、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア)、ミヒャエル・シェア(スイス)が今大会にも出場している。チーム力とともに、経験や実績も今回の勝利に生かされているのかもしれない。

 加えて、このステージ優勝によって、マイヨジョーヌはヴァンアーヴェルマートのもとへ。チームは第2ステージを終えて、トラブルなく走り切ったのがヴァンアーヴェルマートとヴァンガーデレンの2人だけだったが、前日までの総合上位陣が大きく順位を下げたことにともない、チーム内総合最上位だったヴァンアーヴェルマートにジャージが移ることとなった。ヴァンガーデレンは同タイムの個人総合2位につける。

 ヴァンアーヴェルマートにとって、マイヨジョーヌは2年ぶり。このときは、ステージ優勝を機に3日間ジャージを守り続けたばかりか、大会後のリオデジャネイロ五輪ロードレースで金メダルを獲得。その後も得意の北のクラシックを中心にタイトル量産につなげるなど、選手として大飛躍を遂げるきっかけとなった。レース後の記者会見ではそのことに触れ、「2年前に袖を通したときは信じられない気持ちで満たされていた。2度目となる今回も同じ感情を抱いている」と感激の様子。個人としては第1週でマイヨジョーヌ着用を狙っていたというが、最終目標は「リッチー(ポート)をパリの表彰台に送り出すこと」と強調。マイヨジョーヌのキープに努めながらも、チームに貢献する姿勢は貫くことを誓った。

2年ぶりにマイヨジョーヌに袖を通したグレッグ・ヴァンアーヴェルマート Photo: Yuzuru SUNADA
チーム スカイの総合エース、ゲラント・トーマス(右)は個人総合3位、クリストファー・フルーム(左)は同18位とそれぞれ順位を上げている Photo: Yuzuru SUNADA

 ステージを終え、総合系ライダーに目を向けると、トーマスが総合タイム3秒差の3位に浮上。ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)が同7秒差の5位、デュムランが11秒差の7位、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が35秒差の10位と、好ポジションへと上がってきた。第1ステージの落車でタイムを失ったポートも、チームのステージ優勝とともに51秒差の14位。フルームも55秒差の18位と、上位陣が見えるところまで“復帰”。どの選手も今後の戦いへと意欲を燃やすことになる。

 レースは再びロードレースステージへ。10日に行われる第4ステージは、今大会の開幕地であるヴァンデ地方に別れを告げ、ブルターニュ地方へと進出する。ラ・ボールからサルゾーまでの195kmはカテゴリーこそ平坦とされるが、天候次第ではこの地域特有の強風がレースに変化を与えることになるかもしれない。中間スプリントポイントは97.5km地点、4級山岳が135.5km地点、ボーナスポイントが156.5km地点にそれぞれ設定されている。

第3ステージ結果
1 BMCレーシングチーム 38分46秒
2 チーム スカイ +4秒
3 クイックステップフロアーズ +7秒
4 ミッチェルトン・スコット +9秒
5 チーム サンウェブ +11秒
6 EFエデュケーションファースト・ドラパック +35秒
7 ボーラ・ハンスグローエ +50秒
8 アスタナ プロチーム +51秒
9 カチューシャ・アルペシン +53秒
10 モビスター チーム +54秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) 9時間8分55秒
2 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +0秒
3 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +3秒
4 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +5秒
5 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +7秒
6 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)
7 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +11秒
8 ソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チーム サンウェブ)
9 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)
10 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +35秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 104 pts
2 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 78 pts
3 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ) 53 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) 1 pts
2 ケヴィン・ルダノワ(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) 1 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チーム サンウェブ) 9時間9分6秒
2 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ) +1分8秒
3 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ プロチーム) +1分22秒

チーム総合
1 クイックステップフロアーズ 26時間9分20秒
2 チーム サンウェブ +4秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +43秒

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