ツール・ド・フランス2018 第2ステージサガンがスプリント勝負を制してマイヨジョーヌ奪取 落車で今度はスプリンターが犠牲に

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 第105回のツール・ド・フランスは7月8日、第2ステージが行われ、前日に続くスプリント勝負をペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が制した。前日2位の雪辱とともに、ボーナスタイムを生かして個人総合首位に浮上。マイヨジョーヌに袖を通した。また、この日も前日同様プロトン内で落車やトラブルが多発。第1ステージを制したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)やマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)ら一部のスプリンターが勝負に絡むことができないままステージを終えている。

ツール・ド・フランス2018第2ステージ。落車による混乱を避けて勝利したペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADA

力の配分と集中力が問われる平坦ステージ

 7日にノワールムティエ=アン=リルで幕を開けた2018年のツール。大会の華やかさとは裏腹に、大会初日は波乱含みのものとなった。個人総合4連覇を狙うクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)を筆頭に、総合優勝候補が次々と落車やトラブルにあい、タイムを失ってしまったのだ。

マルセル・キッテルが着用するマイヨヴェール。第1ステージ終了直後にチームロゴのプリント作業が行われた =2018年7月7日 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 混乱を避けて勝利を挙げたのは、ガビリア。リードアウト陣の働きもあり、最後は完勝だった。ポイント賞のマイヨヴェール、新人賞のマイヨブランにも袖を通したガビリアだが、第2ステージはもちろんマイヨジョーヌで登場。マイヨヴェールは前日3位のキッテル、マイヨブランはディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)が代理で着用する。なお、マイヨヴェールの代理着用は従来のルールであれば前日2位のサガンとなるが、世界王者の証であるマイヨアルカンシエルを優先。さらに繰り下げて、キッテルへ回っている。

 第2ステージは、ムイユロン=サンジェルマンからラ・ロッシュ=シュル=ヨンまでの182.5km。序盤は標高150m前後の丘陵地帯を進行。28km地点に、この日唯一となる4級山岳ポイントが設定される。以降はごく細かいアップダウンが続くものの、選手たちを消耗させるほどの難しさではないため、大方の予想は第1ステージ同様にスプリントフィニッシュ。そのうえで勝負のポイントとなりそうなのが、フィニッシュ前5kmから900mまでの緩急さまざまなコーナーの連続だ。

コース脇に広がる牧歌的な風景 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 加えて、残り5kmから約3kmにわたって上り基調が続き、そこからはいったん下り。残り1kmのフラムルージュを目前に一気に駆け降りるイメージで、最後の大きなコーナーとなる残り900mからフィニッシュラインにかけては再び上るレイアウト。コーナーを抜ける際のポジショニングとともに、リードアウトマンの力を借りながら、いかにして脚を使わずにスプリントに持ち込むかが、エーススプリンターには求められる。

 なお、中間スプリントポイントが132km地点、ボーナスポイントが168.5km地点と、レース後半に集中している点も見どころ。コースの幅員は全体を通して第1ステージほどではないものの、街の通過時などに急激な道幅の変化があるなど、このステージも選手たちの集中力が必要とされた。

“メモリアルステージ”のシャヴァネルが逃げで敢闘賞

 現地時間午後1時10分にスタートしたレースは、3km地点で逃げが決まる。プロトンから抜け出したのは、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)、ミヒャエル・ゴグル(オーストリア、トレック・セガフレード)、ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール)の3人。特にシャヴァネルは、今回でツール最多記録となる18回目の出場。今大会をもって「ツール・ド・フランスからの引退」を発表している39歳のベテランは、この日が自身通算350ステージ目というメモリアルデー。チームの本拠地であるヴァンデ県でのレース進行も合わせて、その走りからはモチベーションの高さが見られる。

ツール通算350ステージ目となったシルヴァン・シャヴァネル。長い時間一人で逃げ続けた Photo: Yuzuru SUNADA

 逃げは3人のまま、最初の関門となる4級山岳へ。ここはスプリントでの争いとなり、スミスが1位通過。この直後、スミスとゴグルがメイン集団へと戻る判断。ともに、当初から山岳ポイント狙いにあったと見られる。ここから、先頭に“残される”形となったシャヴァネルの長い独り旅が始まった。

 記念のステージをよい形で飾りたいシャヴァネル。かつてはマイヨジョーヌにも袖を通すなど、元来は実力者。しっかりとしたペダリングでトップを走り続ける。メイン集団はシャヴァネルとのタイム差を3分前後にコントロール。その間、サガンが止まってヘルメット交換をするなど、プロトンにはどこか余裕が感じられた。

 淡々と進行したレースは、後半戦へ。中間スプリントポイントが近づくにつれて、プロトンに緊張感が漂う。逃げ続けるシャヴァネルが1位で通過した約3分30秒後、メイン集団が到達。ここはリードアウトを受けたサガンがベストな飛び出しからの集団先頭通過。2位となり、ポイント賞17点を獲得。マイヨジョーヌのガビリアはサガンの後ろにつけるも無理に抜こうとはせず、3位通過で15点を確実に確保した。

淡々と進行したメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 中間スプリントポイントを境に、メイン集団はペースアップ。残り30kmを前にその差は1分30秒に。タイミングを同じくして、集団内に位置したアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、シルヴァン・ディリエ(スイス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)が落車。イェーツは前日に続く落車に苛立つ様子も見られたが、アシスト陣とともに集団へと復帰。同じく前日に落車したアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)だが、今度はパンクトラブル。ここはアシストのホイールを受けて、無事に集団へと戻っている。

 距離を追うごとにシャヴァネルのアドバンテージが失われていくが、懸命に逃げ続ける。途中の関門としては最後となるボーナスポイントを1位で通過。その直後、メイン集団に捕まったが、単独の長距離逃げに文句なしの敢闘賞。メモリアルデーを素晴らしい形で飾ることとなった。

大規模クラッシュを避けた選手たちの勝負はサガンに軍配

 メイン集団では、シャヴァネル吸収直前にボーナスポイントを迎え、フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が2位、ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)が3位でそれぞれ通過。個人総合争いに期待がかかるトーマスに関しては、この先の戦いに貴重となり得る1秒のボーナスタイムを手にした。

 フィニッシュまで残り10kmを切って、集団では多くのチームが隊列をなして前方を固めようと試みる。なかでも、チーム スカイが牽引する時間が長くなる。

残り8kmでのパンクでバイク交換を強いられたマルセル・キッテル Photo: Yuzuru SUNADA

 全体のスピードと、各チームの思惑が交錯する最終盤。またもアクシデントの連続となった。まず、残り8kmでキッテルの後輪がパンク。チームカーからバイクを受け取って再出発するが、狙いのスプリントは厳しい状況となる。さらに集団は活性化するなか、残り5.5kmでルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が地面に叩きつけられてしまう。

 残り5kmを切り、ボーラ・ハンスグローエ、モビスター チーム、トレック・セガフレード、クイックステップフロアーズ、ロット・スーダルと、主導権の奪い合いに。時速にして60kmを超えようかというハイスピードとなった状況下で、この日最大のトラブルが発生することになる。

相次ぐ落車で何人もの選手が地面に叩きつけられた Photo: Yuzuru SUNADA

 残り2kmで迎えた右への鋭角コーナーだった。集団はスピードを維持したまま突っ込んでいくが、前方付近で大規模なクラッシュが発生。ステージ2連勝がかかっていたガビリアや、マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)ら有力スプリンターが巻き込まれてしまった。これにより集団はいくつにも分散。先頭付近には15人程度しか残らない状況となった。

 生き残った少人数にゆだねられたステージ優勝争い。ここで数的優位としたのがボーラ・ハンスグローエだ。下り基調からの勢いのまま残り900mのコーナーを抜けると、リードアウトマンが加速。サガンは6番手につけ、ライバルの動きをチェックする。残り200mでデマールがスプリントを開始すると、サガンはそれに合わせてポジションアップ。狙いすましていたかのごとく、残り150mでデマールをパスすると、あとはフィニッシュラインへまっしぐら。最後はソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が追い詰めたが、逆転は許さず、前日のうっぷんを晴らすステージ優勝を飾った。

ステージ優勝争い。ペテル・サガン(先頭左)がアルノー・デマール(中央)、ソニー・コルブレッリ(右)との勝負を制した Photo: Yuzuru SUNADA

チームTTでのマイヨジョーヌキープにも意欲

 この勝利で、サガンはボーナスタイム10秒を獲得。前日の2位による6秒と合わせて、個人総合首位に浮上した。第1ステージを制したガビリア、同3位のキッテルがともにこの日は上位フィニッシュがかなわなかったため、2日続けてボーナスタイムを得たサガンが総合順位を上げるに至った。

ツール通算350ステージ目を敢闘賞で飾ったシルヴァン・シャヴァネル Photo: Yuzuru SUNADA

 2年ぶりのマイヨジョーヌ、ツールのステージ通算では9勝目としたサガン。レース後の記者会見では、「ラスト30kmからのチームメートの働きは見事なものだった」と真っ先にアシスト陣への感謝を口にした。コースの難易度について聞かれると、「正直、個人的にはイージーなコースを望んでいるのだけれど、そう簡単にはいかないもの。思いのほかアップダウンが厳しいことも特徴的だ」と答えた。また、スプリントのシチュエーションに関しては、「我慢に我慢を重ねてタイミングを計った」結果が残り150mからの仕掛けだったと説明。翌日にはチームタイムトライアルが控えるが、「可能性がある限り、しっかり取り組む」と話し、マイヨジョーヌ堅守に強い意欲を見せた。

 これらの結果を受けて、サガンがマイヨジョーヌと合わせてポイント賞でも首位に。マイヨヴェールは、同賞3位のアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)が第3ステージで代理着用。同賞2位のガビリアは、首位に立つ新人賞のマイヨブランが優先される。集団が混乱した最終局面については、サガンから遅れてフィニッシュした選手のほとんどが救済措置で同タイム扱いとなっている。

 また、このステージでは、スガブ・グルマイ(エチオピア、トレック・セガフレード)が体調不良、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム)が落車負傷により、ともに途中リタイア。サンチェスについては、左ひじの骨折であることがチームによって発表されている。

個人総合首位に立ち、2年ぶりにマイヨジョーヌに袖を通したペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADA

 9日に行われる第3ステージは、3年ぶりにツールへ帰ってきたチームタイムトライアル。フランス北西部・ショレを舞台とする35.5kmは、終始細かなアップダウンの連続。各チームの走力はもとより、コースへの適応力やテクニックも要求されそうだ。1チームあたりの出走人数が8人となったことから、有効タイムは従来のチーム内5番手から4番手に移行。このステージを終えたときの順位が、今後の戦いを左右することも大いに考えられる。順位のシャッフルが起こるのか、はたまたサガンがマイヨジョーヌを守るのか。

 出走は、第2ステージ終了時のチーム総合下位から。ミッチェルトン・スコットを第1出走に、各チームが5分おきにコースへと繰り出す。なお、マイヨジョーヌ着用者の所属チームが最終出走となるため、サガン擁するボーラ・ハンスグローエが最後に出発する。

第2ステージ結果
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 4時間6分37秒
2 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +0秒
3 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
4 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)
5 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)
6 ティモティ・デュポン(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)
7 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
8 アンドレーア・パスクアロン(イタリア、ワンティ・グループゴベール)
9 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)
10 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 8時間29分53秒
2 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) +6秒
3 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +10秒
4 マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +12秒
5 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー) +13秒
6 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +14秒
7 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +15秒
8 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
9 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ) +16秒
10 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 104 pts
2 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 78 pts
3 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ) 53 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) 1 pts
2 ケヴィン・ルダノワ(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) 1 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 8時間29分59秒
2 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ) +10秒
3 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール)

チーム総合
1 クイックステップフロアーズ 25時間30分27秒
2 ワンティ・グループゴベール +0秒
3 アスタナ プロチーム

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