ツール・ド・フランス2018 第1ステージ大会最初の勝者はガビリア 終盤にトラブル多発でフルームら総合勢がタイムを失う

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 第105回目を迎える、ツール・ド・フランスが7月7日に開幕。出場22チーム・全176選手がノワールムティエ=アン=リルを出発し、3週間の戦いをスタートさせた。この日行われた第1ステージは、スプリント勝負となりフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が優勝。栄えある大会最初の勝者となり、マイヨジョーヌに袖を通した。また、このステージでは終盤に落車やトラブルが多発。個人総合4連覇がかかるクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)のほか、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)らがタイムを失う波乱の幕開けとなった。

ツール・ド・フランス2018第1ステージ、スプリント勝負を制したフェルナンド・ガビリア Photo: Yuzuru SUNADA

サッカーW杯の熱気はそのままツールへ

 前々日のチームプレゼンテーションに臨んだ選手たち。翌6日は、チームが主催するプレスカンファレンス(記者会見)や最終調整、休息と時間を有意義に使い、いよいよ始まる長き戦いへ英気を養った。

 サッカー・ワールドカップ ロシア大会の準々決勝を制した代表チームの戦いに熱狂したフランス国内。ツール開幕の数ステージを行う同国北西部のヴァンデ県の街でも、老若男女問わず代表ユニフォームを着用する人々の姿が見られた。

 そして、その熱気はしばしツールのものとなる。今年のグランデパール(開幕地)に選ばれたノワールムティエ=アン=リルは、フランス本土から大西洋へと延びるノワールムティエ島の先端の街。

ノワールムティエ=アン=リルに集まった多くのファン。選手の登場を待ち続けた Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 ノワールムティエ島といえば、2011年大会の開幕地であり、過去にさまざまな波乱を生んだ干潟「パサージュ・デュ・ゴア」が本土と結ぶルートの1つとなっているが、今回は通過せず、南側の橋を通過してそのまま南下していくコース設定。

 約110kmにわたって大西洋岸を南向きに進行したのち、針路を東にとり、フィニッシュ地のフォントネー=ル=コントを目指す。その間、173km地点に今大会最初の山岳ポイント(4級)が設けられ、タイムボーナスが得られる「ボーナスポイント」は187.5km地点に控える。

 このステージの焦点となりそうなのが、選手たちがいかにコースを攻略するか。ほぼ全行程にわたり道幅が狭いうえ、ラウンドアバウトや中央分離帯が次々と選手たちの前に現れる。特に、大会初日はどの選手の脚もフレッシュ。レーススピードが上がる終盤にかけては、集団内での位置取り争いが激化は必至だけに、落車やトラブルには最善の注意が求められる。

 そんな中での今大会最初のステージ優勝争いは、スプリント勝負というのが大方の予想。レースを動かす可能性を秘める大西洋からの風だが、この日は晴天も相まって穏やかで、プロトンを混乱させるほどのものとはならないと見られた。

ノワールムティエ島とフランス本土を結ぶ大橋を渡るプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

フランス勢3人が逃げグループを形成

 ノワールムティエ=アン=リルでのスターティングセレモニーを経て、現地時間午前11時にスタートした第1ステージ。世界王者の証・マイヨアルカンシエルのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)ら8人の各国・大陸チャンピオンと、この地域出身のファビアン・グルリエ(フランス、ディレクトエネルジー)を最前列に、全176選手が3週間にわたる「フランス一周の旅」に出発した。

 しばしのパレード走行後のアクチュアル(正式)スタートで、ケヴィン・ルダノワ(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)、ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー)、ヨアン・オフレド(フランス、ワンティ・グループゴベール)がアタック。集団はこの動きを容認し、3人は労せず逃げグループ形成となった。

スタートアタックで逃げを決めた3選手 Photo: Yuzuru SUNADA

 快調に飛ばす逃げの3人。橋を渡ってフランス本土入り後も順調に進み、メイン集団とのタイム差は最大で約4分まで広げる。これを機にメイン集団がタイム調整に入り、2分30秒前後で進行するが、形勢はそのまま。

 レースは中盤へと移り、119.5km地点に設けられた中間スプリントポイントへ。ここはクザンが1位通過。ルダノワとオフレドは争う姿勢を見せず、開幕地・ヴァンデ県に拠点を構えるディレクトエネルジーへのリスペクトを示した。

 かたや、メイン集団は今後の各賞争いを見据えてか、中間スプリントポイントめがけてスピードアップ。直前でボーラ・ハンスグローエ勢が前方を固めたが、これをかわしたガビリアが集団の先頭を確保。全体の4位通過とし、まずはポイント賞13点を獲得した。

 その後再びタイム差調整を行ったメイン集団だったが、残り50kmを切って本格的にペースを上げ、逃げとの差を1分台とする。一方の逃げグループは徐々にリードが失われていくが、粘りの走り。173km地点に設けられた、今大会最初の山岳ポイントである4級の上りはラダノワがトップ通過。このステージ終了後のマイヨアポワ獲得を決めた。

落車多発の終盤 大会最初のマイヨジョーヌはガビリアへ

 山岳ポイント通過後にラダノワが下がったこともあり、逃げは2人に。こうなるとメイン集団が圧倒的有利な情勢。少しずつその差を詰めていきながら、吸収するタイミングを図る。やがてボーナスポイントを迎え、先頭ではクザンとオフレドの順に通過。メイン集団ではオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)が飛び出し、3位通過とした。

レース終盤に落車し、単独でフィニッシュを目指すアルノー・デマール Photo: Yuzuru SUNADA

 いよいよレースはフィニッシュ向けて、各チームが隊列を編成。自然と集団のスピードが上がる。そんな中、残り10kmになろうかというタイミングでステージ優勝候補の1人、アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)が落車。そして、これが大波乱の始まりとなる。

 逃げを吸収し、残り9kmを切ったところで今度はピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が落車。さらに残り6kmでエガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ)も地面に叩きつけられてしまう。

 その後もクラッシュやアクシデントの嵐。残り5kmを目前に、フルームが落車。コース端を走行していたが、バランスを崩してコースアウトしてしまった。また、タイミングを同じくしてポートやイェーツも落車。残り3.5kmではキンタナが前輪をパンクさせ、ニュートラルモトから車輪を借りて再出発。この頃にはメイン集団が時速50kmを超えるハイスピードで進行していたこともあり、懸命に追うも先頭復帰は絶望的な状況になった。

コースアウトした直後のクリストファー・フルーム。バイクを抱えてレース復帰を急ぐ Photo: Yuzuru SUNADA

 トラブルを回避したメイン集団は、“予定通り”スプリント態勢へ。ボーラ・ハンスグローエが主導権を握り、集団は縦長に。残り1kmのフラムルージュに差し掛かるとともに今度はクイックステップフロアーズのトレインが先頭へ。6人を残し、ライバルチームに対して有利なシチュエーションとした。

 最終局面は一度下ってからの上り基調。ここでもクイックステップフロアーズのトレインが力を発揮。残り200mで満を持してガビリアを発射した。勝負を託されたガビリアは、サガンらの追撃をものともせず、トップをキープ。自身初めてとなるツールのステージ優勝を決めた。

完全有利な状況からスプリント勝利を挙げたフェルナンド・ガビリア。渾身のガッツポーズ Photo: Yuzuru SUNADA

波乱の大会初日 フルームは総合で約1分遅れ

 23歳の若きコロンビアンスプリンター、ガビリア。ツールは初出場で、記念すべき最初のステージで勝利を収めた。これは2004年大会のプロローグを制したファビアン・カンチェラーラ(スイス)に続く快挙。第1ステージを制したことで自動的に個人総合首位となり、マイヨジョーヌを獲得。ポイント賞のマイヨヴェール、新人賞のマイヨブランと、3つのジャージに袖を通した。

 新たな歴史を作ったガビリアはレース後の記者会見で、「信じられない1日になった。多くのコロンビア人選手が挑戦し、跳ね返されてきたマイヨジョーヌに袖を通すことができた。この勝利はチームメートやスタッフあってのもので、自分一人では成し遂げることができなかった」とコメント。最終局面については、「とてもトリッキーな状況で、後方でクラッシュが発生していたことも分かっていた。ただ、私たちは連携ができていた」と説明。今後もマイヨジョーヌのキープに努めるとし、フィニッシュ地点に駆けつけたコロンビア人応援団へは「私たちはファミリー。彼らの後押しが力になった」と感謝を述べた。

残り3.5kmでのトラブルで1分以上の遅れを喫したナイロ・キンタナ(右) Photo: Yuzuru SUNADA

 フィニッシュ前3km以内でのトラブルに適用される救済措置も含め、63位までがガビリアと同タイムでのフィニッシュ。しかし、その前に落車やアクシデントに見舞われた選手たちはタイムを失うことになった。なかでも、個人総合優勝を争うと見られたポート、イェーツ、フルームは51秒遅れのグループでフィニッシュラインを通過。ガビリアがステージ優勝によるボーナスタイム10秒を獲得したこともあり、総合タイム差は1分1秒。さらに後方でステージを終えたキンタナは、総合タイム差1分15秒と、それぞれ厳しい出足となった。

今大会最初のステージ勝者となったフェルナンド・ガビリア。マイヨジョーヌを含む3つの賞で首位に立った Photo: Yuzuru SUNADA

 8日に行われる第2ステージは、ムイユロン=サンジェルマンからラ・ロッシュ=シュル=ヨンまでの182.5km。序盤に4級山岳が設定されるが、以降はおおむねフラットな平坦ステージ。第1ステージ同様にスプリントフィニッシュが予想されているが、フィニッシュ前5kmから900mまで緩急さまざまなコーナーが連続しており、プロトン内の主導権争いが激化しそう。なお、中間スプリントポイントが132km地点、ボーナスポイントが168.5km地点と、レース後半に集中している。

 第1ステージを制したガビリアがマイヨジョーヌで再び勝利するか。はたまた他のスプリンターが雪辱するか。予想外の展開となるのか、注目が集まる。

第1ステージ結果
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 4時間23分32秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +0秒
3 マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)
4 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)
5 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)
6 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)
7 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)
8 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)
9 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)
10 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 4時間23分22秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +4秒
3 マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +6秒
4 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +9秒
5 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ) +10秒
6 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)
7 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)
8 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)
9 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)
10 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 63 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 37 pts
3 マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) 24 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ケヴィン・ルダノワ(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) 1 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 4時間23分22秒
2 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ) +10秒
3 トマ・ブダ(フランス、ディレクトエネルジー)

チーム総合
1 クイックステップフロアーズ 13時間10分36秒
2 アスタナ プロチーム +0秒
3 ボーラ・ハンスグローエ

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