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ツール・ド・フランス2018直前 新人賞候補プレビューグランツール初出場で獲得したのはたったの4人! マイヨブランの有力選手をチェック

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 世界最大の自転車レースの大会であるツール・ド・フランスが、7月7日に開幕する。25歳以下の選手の総合成績によって争われる新人賞ジャージ「マイヨブラン」について特集。過去の受賞選手の経歴から、マイヨブラン獲得選手の特徴が浮かび上がった。その特徴をもとに新人賞を争う有力選手をプレビューしていく。

マイヨブラン有力候補のエガン・ベルナル(中央)、ピエール・ラトゥール(左)、ティシュ・ベノート(右)

グランツール初出場でマイヨブラン獲得したのは4人

 まず、過去にマイヨブランを獲得した37人の選手が、何回目のグランツール出場で獲得したのかを調べてみると、

 初出場:4人
 2回目:15人
 3回目:9人
 4回目:6人
 5回目:2人
 6回目:1人

 という結果となった。(※複数回獲得している選手は、最初に獲得した大会でカウント)

 新人賞という名目のマイヨブランといえども、3週間という長丁場のレースを走る経験をしているとしていないとでは、大きな違いを生むことがわかる。

 またグランツール初出場でマイヨブランを獲得した選手は、1996年ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)以来、誕生していない。他は1993年アントニオ・マルティン(スペイン)、1990年ジル・デリオン(フランス)、1981年ピーター・ヴィネン(オランダ)だ。

1996年からマイヨブランを3連覇したヤン・ウルリッヒ。ドーピング問題で引退に追い込まれ、2013年に禁止薬物の使用を告白した Photo: Yuzuru SUNADA

 ウルリッヒの時代はドーピングが蔓延していた時代であるため、突然実力が向上することもあっただろう。そのため、実績を鵜呑みにするわけにはいかないが、前後の時代を通しても初出場ながらマイヨブランを獲得している選手が少ないことから、やはり初出場&マイヨブラン獲得は難しいことだといえよう。

 そして、2000年以降のマイヨブラン獲得者に関しては、マイヨブランを獲得する以前のレースで何かしら大きな実績を残していることがわかった。ワールドツアーもしくはプロツアークラスのレースで表彰台経験(ステージ優勝、ステージレース総合3位以内、ワンデーレース3位以内、各賞ジャージ獲得)がないまま、マイヨブランを獲得した選手は一人もいなかった。

 つまり、マイヨブラン獲得有力候補の条件は「グランツールに2回目以降の出場」「ワールドツアーのレースで表彰台経験あり」の2点だといえよう。

 以上の観点から、今大会に出場する選手のなかでマイヨブランの有力候補をプレビューしていく。

ずば抜けた実績のベルナルはグランツール初出場

■エガン・ベルナル(21歳、コロンビア、チームスカイ)

・グランツール初出場
・ワールドツアーの実績
 2018年ツアー・ダウンアンダー新人賞
 2018年ツール・ド・ロマンディ第3ステージ優勝、総合2位、新人賞
 2018年ツアー・オブ・カリフォルニア第2、6ステージ優勝、総合優勝、新人賞

 今大会の最年少出場選手であり、グランツール初出場の選手であるが、他の選手に比べて実績が桁違いに素晴らしい。今シーズン6勝は、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)と並んでチームトップタイの記録である。

ツアー・オブ・カリフォルニアでワールドツアー初総合優勝を飾ったエガン・ベルナル Photo : Yuzuru SUNADA

 クリストファー・フルーム(イギリス)のアシストが最優先ながらも、マイヨブラン候補のなかで実力がずば抜けている存在だ。初出場のグランツールでコンディションを崩さないこと、そして公式レースでの経験が少ない石畳ステージを無難に乗り切ることさえできれば、マイヨブラン獲得の可能性は高そうだ。もし、そうなるとしたら、大会最年少出場選手によるマイヨブラン獲得は、史上初の快挙となる。

■ダニエル・マルティネス(22歳、コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)

・グランツール出場3回目
・ワールドツアーの実績
 2018年ツアー・オブ・カリフォルニア総合3位
 2017年ツアー・オブ・ターキー新人賞

ウィリエールに所属した昨シーズン、ジロ・デ・イタリアに出場しているダニエル・マルティネス。同郷のナイロ・キンタナ(左)とのツーショット Photo: Yuzuru SUNADA

 チームのエースであるリゴベルト・ウラン(コロンビア)のアシストが最優先任務ながら、山岳ステージでは最終局面までウランのそばについていきたい選手である。必然的に総合上位が狙える役割となる。

 あとはマルティネスがコンディションを維持しながら決定的に遅れることなくパリまで走り抜けば、おのずと成績もついてくるはずだ。個人TTの実力も低いわけではないこともプラス材料だ。

■アントワン・トルホーク(24歳、オランダ、ロットNL・ユンボ)

・グランツール出場2回目
・ワールドツアーの実績
 2016年ツール・ド・スイス山岳賞

雨のジャパンカップでは序盤から逃げに乗って4位だったアントワン・トルホーク Photo: Yuzuru SUNADA

 昨年の大雨のジャパンカップサイクルロードレースで4位に入ったように、悪天候下での逃げを得意とする選手だ。2016年ツール・ド・スイスも連日、雨に見舞われる状況で山岳賞を獲得した。

 今シーズンは登坂力がさらに向上し、ステージレースでも結果を出せるようになってきた。ステフェン・クライスヴァイク(オランダ)やプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)のアシストが優先されるが、ある程度は自分のために走れるのではないかと思われる。ツールの舞台でさらに才能を開花させることができるか注目だ。

■ジャンニ・モスコン(24歳、イタリア、チーム スカイ)

・グランツール出場2回目
・ワールドツアーの実績
 2017年イル・ロンバルディア3位

クリテリウム・デュ・ドーフィネではマイヨジョーヌを着用したジャンニ・モスコン Photo : Yuzuru SUNADA

 2017年パリ〜ルーベ5位、イタリアTT選手権優勝など、平坦系の選手というイメージが強かったが、同年のブエルタ・ア・エスパーニャでは山岳アシストとしてフルームの総合優勝に大いに貢献した。

 オールラウンダーとして成長途上にあるが、ツールではルーラー的な仕事を任される機会が多くなると予想されるため、総合成績を維持しながらアシストの仕事をこなすことは難しいだろう。

■ティシュ・ベノート(24歳、ベルギー、ロット・スーダル)

・グランツール出場2回目
・ワールドツアーの実績
 2018年ティレーノ~アドリアティコ新人賞
 2018年ストラーデ・ビアンケ優勝

 プロ1年目の21歳の時、ツール・デ・フランドルで5位になったことから脚光を浴びた選手だったため、春のクラシックを得意とするイメージが強かった。

ティレーノ~アドリアティコで新人賞の表彰を受けるティシュ・ベノート Photo : Yuzuru SUNADA

 だが、昨年のツールでは意外な登坂力を見せて総合20位で完走。今シーズンはティレーノ~アドリアティコで総合4位に入り、新人賞を獲得。また、未舗装路を走るストラーデ・ビアンケでは独走勝利を飾り、春のクラシックでも一桁順位を連発しているように、クラシック系の脚もしっかり持ち合わせている。

 今大会のロット・スーダルの出場メンバー的に、ベノートは自由に走れる立場にあるので、マイヨブランを十分狙える選手だといえよう。

■マルク・ソレル(24歳、スペイン、モビスターチーム)

・グランツール出場2回目
・ワールドツアーの実績
 2018年パリ〜ニース総合優勝、新人賞
 2017年ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ総合3位、新人賞

パリ〜ニースでは逆転で総合優勝を果たしたマルク・ソレル Photo : Yuzuru SUNADA

 パリ〜ニースを総合優勝し、2回目のグランツールに出場というパターンは、2007年のアルベルト・コンタドール(スペイン)と同じである。その時、コンタドールはツールで初めての総合優勝を飾った。

 ソレルもグランツールを優勝できるような才能を感じさせる選手ではあるが、今年のモビスターにはトリプルエースがいる。ソレルの役割は3人のエースのアシストであり、その仕事は激務となることが予想される。自身の総合成績は二の次ということになりそうだ。

■ピエール・ラトゥール(24歳、フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)

・グランツール出場3回目
・ワールドツアーの実績
 2018年クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ新人賞
 2018年ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ総合3位、新人賞
 2017年ツール・ド・ロマンディ新人賞
 2016年ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージ優勝
 2016年ツール・ド・ロマンディ新人賞

 クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでは、エースのロマン・バルデ(フランス)をアシストしながらもステージ上位でフィニッシュし、総合7位で新人賞を獲得した。ツールでも同様の働きが求められることだろう。

2016年、グランツール初出場となったブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝をあげたピエール・ラトゥール Photo : Yuzuru SUNADA

 フランスTT選手権を2連覇しているように、タイムトライアルも得意としているため、他のマイヨブランを狙うライバルたちからタイムを稼ぐこともできるだろう。経験面からいえば、ベルナル以上にマイヨブランに近い存在といえよう。

その他のマイヨブラン候補たち

 なお、上記の条件を満たすマイヨブラン対象選手は、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)、リック・ツァベル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、ソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チームサンウェブ)、シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシングチーム)、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNL・ユンボ)もいるが、スプリンターもしくは平坦系の選手であるため有力候補からは除外した。

 そして、前評判の高いダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)は初出場な上に、ワールドツアー表彰台経験もないため、まずは経験を積むところから始まるだろう。

 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)はプロコンチネンタルチーム所属ゆえ、ワールドツアーを走る機会が限られているためか、ワールドツアー表彰台経験はない。だが、下位カテゴリーのレースでは勝利経験も多く、筆者としてはマイヨブラン候補の一人として見ている。過去にあまり例を見ない、意図してプロコンチネンタルチームからキャリアを積む戦略をとっているため、今年こそは目立った活躍を見せたいところだろう。

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