旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<8>身の安全は運次第 自転車旅行者専門の強盗がいる中米危険地帯

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 前回書いた首絞め強盗に遭った時、貴重品は全て宿に置いていた。貴重品の扱いについては人それぞれだが、僕は基本的に治安の悪い地域では宿にパスポートを含め、ほぼ全ての貴重品を置いていく。宿で盗難に遭うリスクと、外で強盗に遭うリスクを天秤にかけると、どちらのリスクが高いかは正直解らない。盗難宿と呼ばれてしまうほど、従業員もグルになって犯行に及んでいると思われる宿も少なくないし、安宿はセキュリティーはほぼ無いに等しい所がほとんどだ。

中米では日没前に店が閉まり、人がいなくなり、治安が一気に悪化する Photo: Gaku HIRUMA

「こうすれば安全」というセオリーなし

 ただ僕は街歩きの時の方が治安の悪さを感じることが圧倒的に多かったので、緊張感を持って過ごさなくても良いようにと、宿に貴重品を置いておくリスクを取っていた。ただし小銭しか持たないかと言えばそうではない。強盗に遭った時に渡す用に20~30ドル分の現金は必ず持っていた。そうしないと現金を渡さない奴と思われ、最悪殺されてしまう事もあるからだ。

高額紙幣がないウズベキスタンでは、札束を持ち歩かねばならない。これでも10ドルほど Photo: Gaku HIRUMA

 自転車に乗っている時は、貴重品は靴のソールの中やペンダントの中、シートポストの中などに隠したりしていたが、いくら貴重品を隠して分散して細心の注意を払っていても、狙われてしまったら避けようがない。とくに中南米の大都市の周りにはスラムが広がっており、日が傾く前までには必ず危険地帯を抜けるように調整して走る予定を立てていた。しかしいくら気を付けていても、こればっかりは治安が良いといわれる国で襲われたりする事もあるので、運を天に任せるところが多い。

スラムではないが、南アフリカの旧黒人居住地区は近寄れない雰囲気を感じる Photo: Gaku HIRUMA

 ただペルーの北部の沿岸部のピウラ~チクラーヨ間は、昔から自転車旅行者を専門に狙った強盗が多発している地域として悪名を轟かしている。自転車世界一周をした石田ゆうすけさんの著書『行かずに死ねるか』によると、石田さんが襲われたのもここで、その時代から変わらず自転車旅行者が襲われ続けているという恐ろしい地域だった。

 自転車が襲われやすい理由として、ここが砂漠地帯であり、場所によっては数十kmと無人地帯が続き、砂丘の裏に隠れると道路からはすぐに死角になってしまうこと、そしてメインの国道だというのに行き交う車が少なかったことが考えられる。

あまり知られてないがペルーの沿岸部は広大な砂漠が広がる Photo: Gaku HIRUMA

 そんな自転車専門の強盗が出るどうしようもない場所で、山道の遠回りを選ぶかバスに乗ってしまうか、一か八かで走ってみるかで悩んだが、僕はバスを選択して危険地帯を回避した。

ペルーの沿岸部。死角が多いのは危険だが野宿はしやすい Photo: Gaku HIRUMA

 ところがバスも安心できなかった。友人の乗った夜行バスは、朝休憩の時止まってみると、なんとフロントガラスが粉々になっていたという。運転手曰く、走行中に石か何かで割られたが止まると強盗に襲われるので、前が見えない状態で走り続けて難を逃れたという。バス移動でも決して安心できない場所なのだった。

昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

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