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ツール・ド・フランス2018直前 全チームプレビュー<7>フルームはツール4連覇へ盤石体制 スカイ、サンウェブ、UAE・エミレーツの戦力をチェック

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 7月7日に開幕するツール・ド・フランスの出場全チームプレビュー、最後となる第7弾はチームスカイ、チームサンウェブ、UAEチームエミレーツを特集。各チームの狙いがわかりやすく見えるように、得意シーン4項目とチーム力3項目について★5段階で評価した。

今回プレビューするチームスカイ(中央)、チームサンウェブ(左)、UAEチーム・エミレーツ(右) Photo: Yuzuru SUNADA

フルームを支える超巨大戦力

チームスカイ出場メンバー

クリストファー・フルーム(イギリス)
ゲラント・トーマス(イギリス)
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)
ワウト・プールス(オランダ)
エガン・ベルナル(コロンビア)
ジャンニ・モスコン(イタリア)
ヨナタン・カストロビエホ(スペイン)
ルーク・ロウ(イギリス)

■得意シーン

集団スプリント :★★☆☆☆
山頂フィニッシュ:★★★★★
ロングエスケープ:★★★★★
石畳・未舗装路 :★★★★★

 フルームの総合狙いに完全に特化したチームであるため、スプリントは一切狙わない。

 そのフルームは、ジロ・デ・イタリア以来レースには出場せずに回復に努めながら、昨年ツールとブエルタ・ア・エスパーニャを連勝したときのノウハウを生かして調整を進めている。かねてからの懸案事項であったサルブタモール問題も解決したことで心身ともに万全の状態でツール・ド・フランス4連覇&グランツール4連勝を狙う。

ジロ・デ・イタリア第19ステージで歴史的な80km独走勝利を飾ったクリストファー・フルーム Photo : Yuzuru SUNADA

 石畳区間や未舗装路区間を走破する春のワンデークラシックで優勝経験を持つトーマスとクウィアトコウスキー、パリ〜ルーベ一桁順位の経験を持つモスコンとロウが、石畳区間をフルームを強力にアシストする。

■チーム力

平坦アシスト  :★★★★★
山岳アシスト  :★★★★★
タイムトライアル:★★★★★

 集団コントロールはロウ、カストロビエホ、モスコン、クウィアトコウスキーが担う。特にカストロビエホ、モスコン、クウィアトコウスキーは登坂力も非常に高く、難関山岳の上り区間でもアシストし続けられるような実力を持っているため、山岳ステージでの支配力は全チーム中ナンバーワンといっても過言ではない。

ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝を飾ったエガン・ベルナル。ワールドツアー1年目ながら高い適応力を見せている Photo : Yuzuru SUNADA

 山岳アシストには、グランツール初出場のベルナル、ジロから連戦のプールス、そしてトーマスとクウィアトコウスキーが務める。ライバルチームのアシストが次々に脱落するようなハイペースを刻みながらも、最終局面で複数人のアシストを残せるような総合力の高いメンバー構成だ。

 特にベルナルは、ツアー・オブ・カリフォルニアで圧倒的な強さを見せて総合優勝しており、アシストが最優先ながらもマイヨブランの有力候補との呼び声が高い。

 また現イギリスTTチャンピオンのトーマス、イタリアTTチャンピオンのモスコン、スペインTTチャンピオンのカストロビエホ、コロンビアTTチャンピオンのベルナルと、出場メンバーの半数が現役のナショナルTT王者だ。さらにクウィアトコウスキーは昨年のポーランドTT王者で、プールスは今年のパリ〜ニース個人TTでステージ優勝を飾っており、それらいずれの選手をも超えるTT力を持つフルームがいる。凄まじくTT力の高いチーム編成だ。

■総評

 チーム力の3項目すべてで満点と評価したチームは、スカイが唯一である。それくらい他を圧倒する超巨大戦力でツールに臨む。

 フルームがジロ第19ステージで見せた80km独走勝利を目の当たりにしたライバル選手たちは、フルームへの警戒をより一層強めることとなるだろう。ジロでは第18ステージを終えた時点で総合首位とのタイム差は3分22秒だったため、歴史的な大逃げを見逃してくれた部分はあるだろう。同じ手は二度は通用しない、つまりフルームはなるべく前半ステージでタイムを失わないことが大事になるだろう。

 第3ステージは超巨大戦力が最も効果を発揮するチームTTであるため、むしろ前半ステージからタイムを稼ぐことが予想されるが、第2週目の休息日明けからの山岳ステージ3連戦は要注意だろう。そして、第3週に待ち構えるショート山岳ステージでは連日のハードワークを経て疲労のたまったアシスト選手を狙い撃つチャンスかもしれない。

 というように懸念材料が無いわけではないが、それらを補って余りあるほどの巨大戦力だということは、もう一度強調しておきたいと思う。

デュムランは総合狙わず?マシューズのポイント賞争いに注目

チームサンウェブ出場メンバー

トム・デュムラン(オランダ)
ソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク)
ニキアス・アルント(ドイツ)
ローレンス・テンダム(オランダ)
シモン・ゲシュケ(ドイツ)
チャド・ハガ(アメリカ)
マイケル・マシューズ(オーストラリア)
エドワード・トゥーンス(ベルギー)

■得意シーン

集団スプリント :★★★★☆
山頂フィニッシュ:★★★★☆
ロングエスケープ:★★★★☆
石畳・未舗装路 :★★★★☆

 昨年大会のマイヨヴェールであるマシューズがエーススプリンターだ。しかし、ピュアスプリンターとの真っ向勝負はやや分が悪く、登坂力を生かした上りスプリントや山岳ステージでのスプリントを得意としている。

ジロからの連戦となるトム・デュムラン。現TT世界王者はツールをどう戦うのか注目が集まる Photo: Yuzuru SUNADA

 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)がオランダ選手権で落車負傷した影響で、ツールは欠場となってしまった。ジロからの連戦となるデュムランが総合エースを担う。

 しかし、チームの首脳陣はデュムランに対して「総合成績より経験を重視する」という主旨の発言をしており、グランツール連戦のための調整法など、ノウハウを蓄積することが目的となるようだ。とはいえ、デュムランがいきなり連戦に順応して総合争いを繰り広げる可能性もある。デュムランは総合を狙える存在かどうかは蓋を開けてみないとわからないだろう。

 クラークアンデルセン、アルント、トゥーンスは石畳を得意としており、デュムランも石畳のコースを含むステージレース「ビンクバンクツアー」で総合優勝を飾っている。

■チーム力

平坦アシスト  :★★★★☆
山岳アシスト  :★★☆☆☆
タイムトライアル:★★★★★

2017年ツール・ド・フランスではマイヨヴェールを獲得したマイケル・マシューズ Photo: Yuzuru SUNADA

 マシューズのリードアウトには、アルント、トゥーンスと2人のスプリンターを配置。ハガ、クラークアンデルセンと平坦に強いルーラーもおり、トレインの力は強いだろう。

 山岳アシストは、テンダムとゲシュケのみだ。2人の無尽蔵なスタミナと献身的な働きがあったからこそ、デュムランは2017年ジロで総合優勝を果たすことができた。しかし、今大会ではより強力な山岳アシストを揃えるチームに対抗できるクライマーが不在であり、山岳ステージでのデュムランのサポートに不安を抱えている。

 現TT世界チャンピオンのデュムランを筆頭に、クラークアンデルセン、アルント、マシューズ、ハガとTTを得意とする選手がずらりと揃っている。昨年の世界選手権チームTTで優勝した実力を発揮すれば、ステージ上位は固い。

■総評

 デュムランは実際に走ってみないと総合優勝候補なのかどうか判断が難しいところだ。仮に調子が良かったとしても、山岳アシストの戦力不足が否めないため、厳しい戦いを強いられることとなるだろう。

 対してマシューズはツールを目標に仕上げているだろう。マイヨヴェール争いにおいて、平坦ステージではピュアスプリンターにはなかなか勝ち目がないが、スプリンターが逃げることさえ難しい難関山岳ステージで逃げて中間スプリントを稼ぐ力がマシューズ最大の強みである。そして、調子を崩して大会を去るスプリンターも多いなか、マシューズは3年連続完走を果たし、2年連続ステージ勝利を飾っている安定感も長所である。

クリストフ、マーティンの両エースに期待

UAEチーム・エミレーツ出場メンバー

アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)
ダニエル・マーティン(アイルランド)
ダルウィン・アタプマ(コロンビア)
ロベルト・フェラーリ(イタリア)
クリスティアン・デュラセク(クロアチア)
マルコ・マルカート(イタリア)
ローリー・サザーランド(オーストラリア)
オリヴィエロ・トロイア(イタリア)

■得意シーン

集団スプリント :★★★★★
山頂フィニッシュ:★★★★★
ロングエスケープ:★★★★☆
石畳・未舗装路 :★★★☆☆

 エーススプリンターのクリストフ、総合エースのマーティンを主軸に置いたチーム編成となっている。

 欧州ロードチャンピオンであるクリストフは今シーズン4勝を飾っている。エシュボルン・フランクフルトでは大会4連覇を果たした。ピュアスプリントも上りスプリントどちらも強さを発揮できるタイプだ。

エシュボルン・フランクフルトで4連覇を果たしたアレクサンドル・クリストフ Photo : Yuzuru SUNADA

 マーティンはシーズン序盤は良いところがあまり無かったが、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネの山岳ステージでは非常に素晴らしいパフォーマンスを見せて、ステージ1勝を飾って総合4位となった。昨年大会は落車に巻き込まれるアクシデントがありながら、総合6位だった。山頂フィニッシュの残り3〜4km地点からアタックを仕掛けるミドルレンジ攻撃が得意技。そして激坂フィニッシュやクライマー同士のスプリントにも強い。

 デュラセク、アタプマ、マルカートなど逃げを得意とする選手も多い。特にアタプマは2016年ブエルタ・ア・エスパーニャ第4ステージで逃げ切ってステージ2位となり総合首位に浮上。4日間マイヨロホを守ってみせた。

 2015年のロンド・ファン・フラーンデレンを制したクリストフは石畳にも高い適性を見せる。マルカート、トロイアも石畳レースへ強みを見せており、クリストフのアシストが可能だ。

■チーム力

平坦アシスト  :★★★★☆
山岳アシスト  :★★☆☆☆
タイムトライアル:★★☆☆☆

 クリストフは発射台に導かれてスプリントするより、ライバルスプリンターの付き位置からのスプリントを好む。最終スプリントに向けての位置取りのためのスプリントトレインは、サザーランド、マルカート、トロイア、フェラーリで形成するだろう。ところが、今シーズンの走りを見ていると、最終スプリントに向けてクリストフ自身が脚を使ってポジションを確保する場面が散見され、移籍1年目ということもあってかスプリントトレインとの連携がまだ完成されていないように見えることが不安要素だ。

クリテリウム・デュ・ドーフィネ第5ステージで勝利したダニエル・マーティン Photo: Yuzuru SUNADA

 山岳アシストはアタプマが務める。そして、マーティン以外にクライマーといえる脚質の持ち主はアタプマだけである。とはいえ、マーティンが昨年在籍したクイックステップフロアーズでも似たような状況だったので、問題はあるが慣れているものと思われる。

 タイムトライアルはサザーランドが得意とするものの、他はやや苦手とするメンバーが多い。クリテリウム・デュ・ドーフィネのチームTTは20位、ツール・ド・スイスのチームTTは10位と苦戦していたため、総合を狙うマーティンにとっては苦しいレース展開が予想される。

■総評

 クリストフ、マーティンの両エースの実力は抜きん出ているが、2人を支えるアシスト陣がやや物足りない印象を受けるメンバー構成だ。

 幸いなことに、クリストフ、マーティンのどちらもある程度は独力で勝利を掴むことのできる選手であるため、勝負どころまでサポートすることを重視した布陣という見方もできる。

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