サイクリスト

御神火ライド2018

ツール・ド・フランス2018直前 全チームプレビュー<6>シャヴァネルは18回連続出場! ツールに参戦するプロコンチネンタル4チームの戦力をチェック

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
  • 一覧

 7月7日に開幕するツール・ド・フランスの出場全チームプレビューの第6弾は、プロコンチネンタルチームの4チームを特集。各チームの狙いがわかりやすく見えるように、得意シーン4項目とチーム力3項目について★5段階で評価した。

今回プレビューするコフィディス・ソルシオンクレディ、ディレクトエネルジー(左)、ワンティ・グループゴベール(右)、フォルトゥネオ・サムシック(中央) Photo: Yuzuru SUNADA

ブアニ欠場、ラポルテをエースに

コフィディス ソルシオンクレディ出場メンバー

クリストフ・ラポルテ(フランス)
ディミトリ・クライス(ベルギー)
ニコラ・エデ(フランス)
ヘスス・エラダ(スペイン)
ダニエル・ナバーロ(スペイン)
アンソニー・ペレス(フランス)
ジュリアン・シモン(フランス)
アンソニー・テュルジス(フランス)

■得意シーン

集団スプリント :★★★★☆
山頂フィニッシュ:★★★★☆
ロングエスケープ:★★★★☆
石畳・未舗装路 :★★★☆☆

 コフィディスといえば、ナセル・ブアニ(フランス)をエースに据えてツールに挑むスタイルが定番だった。ところが近年ツールを含めたビッグレースでなかなか勝てていない上に、レース内外のトラブルも多く、さらには高給取りなため批判も多くなっていた。

 そのような状況で、今シーズンはブアニではなく、ラポルテを主軸とするチーム編成へ移行しつつあった。当然、ブアニが快く思うはずもなく、監督との口論が取り沙汰され、先日のレースではラポルテのアシストを命じられたブアニはチームの指示を無視してステージ勝利をかっさらってしまった。そして、とうとう不動の地位と思われていたツールの出場メンバーから外れる事態となったのだ。

コフィディスのエースに指名されたクリストフ・ラポルテ Photo: Yuzuru SUNADA

 一方のラポルテはチームの主軸に据えるだけの実力を持ち合わせており、今シーズンはチーム最多となる6勝をあげる活躍をしており、個人TTや独走逃げ切り勝利も飾っている。スプリントだけでなく、勝ちパターンの多い選手だ。ツールでも平坦ステージのスプリントだけでなく、独走力を生かした逃げ切り勝利も狙ってくるだろう。

 エラダとナバーロは、総合上位も狙える力を持っているが、ツールではステージ優勝を狙った走りをするものと思われる。特にナバーロはクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第7ステージで、フィニッシュ寸前まで逃げ続けてステージ2位に入るなど好調ぶりをアピールしている。

 クライスは、スプリンター・パンチャー向きのステージレース「ダンケルク4日間レース」で総合優勝を飾った。アップダウンを経て最後は平坦というようなコースは、クライス向きといえよう。

 ペレスは逃げによく乗る選手だが、パンチャー的な脚質を持っていて、小集団による上りスプリントで強さを発揮するタイプだ。

 エデは2013年ブエルタ・ア・エスパーニャで山岳賞を獲得したこともある逃げのスペシャリストだ。特にダウンヒルを非常に得意としており、今年のツールのようにダウンヒルの多いコースレイアウトはエデの逃げ切り勝利も大いに期待できそうだ。

■チーム力

平坦アシスト  :★★★☆☆
山岳アシスト  :★☆☆☆☆
タイムトライアル:★★☆☆☆

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第7ステージでは、あわや逃げ切りのステージ2位に入ったダニエル・ナバーロ Photo: Yuzuru SUNADA

 ラポルテのリードアウトには、シモン、テュルジスが適任だろう。クライス、ペレスも独走力が高いため、スプリントトレインの一角を担うことも可能だろう。

 積極的に総合を争うチームではないが、上りに強いメンバーは多い。山岳ステージでは積極的に逃げに選手を送り込む戦略をとるものと思われる。

 唯一ラポルテが今年のベルギーツアー第3ステージ、10.6kmの個人TTでステージ優勝を飾っている。しかし、中・長距離のタイムトライアルでは、実績に乏しいメンバーばかりであるため、チームTTの成績はあまり期待できそうにない。

■総評

 コフィディスとしては久しくツールでのステージ勝利から遠ざかっているため、ラポルテ、ナバーロ、エラダと勝ちを狙える選手を多く起用してきた。

 激戦の集団スプリントを制することはブアニといえども一筋縄ではいかないことだ。ラポルテとしては丘陵コースや逃げに勝機を見出したいところだろう。

 そしてほぼ全員が逃げに強い選手ばかりなので、積極果敢に逃げを試みる姿が見られるはずだ。

マルタンの総合とスプリントに強み

ワンティ・グループゴベール出場メンバー

トマス・デハント(ベルギー)
ティモシー・デュポン(ベルギー)
ギヨーム・マルタン(フランス)
マルコ・ミナールト(オランダ)
ヨアン・オフレド(フランス)
アンドレア・パスカロン(イタリア)
ディオン・スミス(ニュージーランド)
ギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー)

■得意シーン

集団スプリント :★★★★☆
山頂フィニッシュ:★★★★☆
ロングエスケープ:★★★★☆
石畳・未舗装路 :★★★☆☆

 パスカロン、デュポン、スミスとスプリント力の高い選手が揃っている。パスカロンはスプリンター・パンチャー向きのステージレース「ツール・ド・ルクセンブルク」で総合優勝を飾っているため、ツールでもエーススプリンターを担うものと思われる。ただし、平坦ステージの集団スプリントよりは、アップダウンを含むような丘陵ステージでの集団スプリントや、上りスプリントなどを得意とする脚質の持ち主だ。

 総合エースはマルタンが務める。自身のステップアップのため、あえてクライマーの少ないチームで経験を積む道を選んでいる。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで総合12位となり、終盤の山岳ステージではでフィニッシュしており、またフランス選手権では5位とサバイバルレースを生き残るタフさが備わってきており、着実にパワーアップしている。今大会のマイヨブラン候補の一人だといえよう。

着実にステップアップしているギヨーム・マルタンは、今年のツールのマイヨブラン候補だ Photo: Yuzuru SUNADA

 昨年大会には、チームとしてツール初出場だったこともあり、毎日逃げに選手を送り込むという意気込みを持って参戦した。実際に第2ステージでは、オフレドが大会最初の逃げ集団に加わり、最後まで粘って敢闘賞を獲得。第4ステージではヴァンケイルスブルクが一人逃げを敢行し、同じく敢闘賞を獲得した。

■チーム力

平坦アシスト  :★★★★☆
山岳アシスト  :★☆☆☆☆
タイムトライアル:★☆☆☆☆

長年フランスのチームに所属したフランス人ながら、昨年のツールが自身初出場だったヨアン・オフレド Photo: Yuzuru SUNADA

 パスカロンのリードアウトにはデュポン、スミスが適任だが、調子に応じて最後にスプリントする選手、あるいは複数人同時にスプリントに臨む可能性もある。オフレド、ヴァンケイルスブルクはルーラーとしてスプリントトレインの一角を担うこともできる。

 マルタンの総合をアシストできるクライマーは他にはいない。ミナールト、デハントは山岳ステージでの逃げに乗って存在感を示したいところだ。

 ワンティのメンバーはコフィディス以上にTTの実績に乏しいメンバーばかりであるため、チームTT・個人TTともに厳しい戦いを強いられるだろう。

■総評

 強力なスプリンターと平坦アシスト陣に加えて、単騎ながらも総合力の増したマルタンを主軸に置いた布陣となっている。

 昨年大会では前半ステージでは逃げで存在感を示していたが、山岳ステージが多くなる後半では疲れもあったためか、あまり目立った動きを見せることができなかった。

 今年は逃げに乗るだけでなく、逃げ切り勝利を狙った動きを期待したいところだ。

次代のスター候補・カルメジャーヌへの期待大

ディレクトエネルジー出場メンバー

リリアン・カルメジャーヌ(フランス)
シルヴァン・シャヴァネル(フランス)
レイン・タラマエ(ベラルーシ)
ジェローム・クザン(フランス)
ロマン・シカール(フランス)
ダミアン・ゴディン(フランス)
ファビアン・グルリエ(フランス)
トマ・ブダ(フランス)

■得意シーン

集団スプリント :★★★☆☆
山頂フィニッシュ:★★☆☆☆
ロングエスケープ:★★★★★
石畳・未舗装路 :★★★☆☆

 エーススプリンターはブダが務める。ワールドチームも多く参戦した2月のブエルタ・ア・アンダルシア第1ステージの集団スプリントを制している。しかし、ワールドツアーレベルではなかなかトップ10圏内に食い込むことも難しい様子で、トップスプリンターの集うツールでは苦戦が予想される。

 総合を狙う選手は不在で、残りのメンバーはほぼ全員逃げのスペシャリストといってもいいアタッカー集団となっている。

 なかでも昨年のツール第8ステージで逃げ切り勝利を飾ったカルメジャーヌはこのチームのエースと呼べる存在だ。今シーズンはフランスの1クラスのワンデーレースで2勝をあげている。登坂力も兼ね備えているので、得意の独走逃げ切りの展開に持ち込んで2年連続のステージ優勝を狙う。

引退したトマ・ヴォクレールの後継者としてだけでなく、それ以上の期待のかかるリリアン・カルメジャーヌ Photo: Yuzuru SUNADA

 そして、今年は偉大な大記録が誕生する。シャヴァネルはツールへの出場がなんと18年連続18回目となり、歴代単独1位の出場回数となる。18年連続してツールに出場できるようなチームに所属し続けたこと、18年連続夏場に自転車に乗れないような故障やけがをしていないこと、18年連続チームにとって重要なツールの出場メンバーに選出されるだけの結果を残し続けたこと。どれをとっても素晴らしく、偉大な記録として未来永劫語り継がれることとなるだろう。

 他には今年のパリ〜ニース第5ステージで逃げ切り勝利を飾ったクザンも控えている。ゴディンは春のクラシックシーズンに好成績を残しており、石畳ステージでの活躍が期待される。

■チーム力

平坦アシスト  :★★☆☆☆
山岳アシスト  :★★★☆☆
タイムトライアル:★★☆☆☆

39歳のシルヴァン・シャヴァネルは今大会出場者のなかで3番目に年齢が高い。ツール18回出場の大記録をつくる Photo: Yuzuru SUNADA

 ブダがスプリントを狙う際は、ライバルチームのトレインに混じって単騎で挑むことになるだろう。

 カルメジャーヌ、シャヴァネル、クザンを筆頭に、タラマエ、シカール、グルリエも山岳ステージでの逃げに強い選手たちだ。複数人逃げに選手を送り込んで、カルメジャーヌの逃げ切りをアシストするような動きが考えられる。

 ゴディンがツール・ド・ルクセンブルクの2.3kmのプロローグでステージ優勝を飾り、シャヴァネルが過去6度のフランスTTチャンピオンになった経験を持つものの、チームTTの成績はあまり期待できないだろう。それに総合を全く狙わないので、タイムを失っても問題はない。

■総評

 今年のツールの開幕地はディレクトエネルジーが本拠地を置くヴァンデ地方である。地元のスポンサーのためにも、大会序盤からアグレッシブな走りを期待できるに違いない。

 だが、今回のツール出場メンバーは、山岳ステージの逃げに特化した布陣となっている。カルメジャーヌの独走力に対するチームの期待の表れともいえよう。

 しかし、もうカルメジャーヌが逃げに強い、独走力があることは他のチームに知れ渡っていることでもある。実際にパリ〜ニースやツール・ド・スイスで逃げを試みた際は、逃げ切りが狙えるほどのタイム差をつけることが許されなかった。

 そうした警戒が強まるなかで、チーム力を持って対抗しようという考えは実に理にかなっている。大会序盤だけでなく、中・終盤の山岳ステージでのディレクトエネルジーの動きにも注目だ。

不調のチームをエースのバルギルは救えるか?

フォルトゥネオ・サムシック出場メンバー

ワレン・バルギル(フランス)
マキシム・ブエ(フランス)
エリー・ジェスベール(フランス)
ロマン・アルディ(フランス)
ケヴィン・ルダノワ(フランス)
アマエル・モワナール(フランス)
ローラン・ピション(フランス)
フロリアン・ヴァション(フランス)

■得意シーン

集団スプリント :★★☆☆☆
山頂フィニッシュ:★★★★☆
ロングエスケープ:★★★★☆
石畳・未舗装路 :★★☆☆☆

 スプリンターは不在で、パンチャー的な脚質を持った選手が多く起用されている。

 そのなかで注目は2015年世界選手権U23ロードレースで優勝したルダノワだ。終盤に石畳坂でアタックを仕掛けると、フィニッシュまでの3kmほど独走して逃げ切った。まだプロになってから勝利はないが、持ち前のパンチ力を生かした走りに期待したい。

 そして今シーズン加入したバルギルが、このチームのエースだろう。しかし、今シーズンはここまで全く良いところが見られていない。とはいえ、ステージ2勝&山岳賞を獲得した昨年のツールの前も、とりわけ目立った成績は残しておらず、今年もツールの山岳ステージを目標に調整を進めているとのことで、予定通りという見方もできる。バルギルの真価が問われるのは、逃げに乗ったときの山岳での走りとなるだろう。

イゾアール峠の山頂フィニッシュを制したワレン・バルギル。このガッツポーズは2017年のツール・ド・フランスを象徴する一枚となった Photo: Yuzuru SUNADA

 ジェスベールは2013年にフランス選手権ジュニアロードレースチャンピオンになった経歴を持ち、昨年大会の第10ステージでは序盤から逃げに乗って敢闘賞を獲得している。今大会でも積極果敢な逃げが期待できそうだ。

■チーム力

平坦アシスト  :★★☆☆☆
山岳アシスト  :★★★☆☆
タイムトライアル:★☆☆☆☆

アメリカ・リッチモンドで開催された世界選手権U23ロードレースで優勝したケヴィン・ルダノワ Photo: Yuzuru SUNADA

 ルダノワを含めパンチャー的な脚質を持っている選手は、ジェスベール、アルディ、ピション、ヴァションだ。積極的に逃げに乗って、ステージ優勝や敢闘賞を狙った走りを期待できるだろう。

 クライマー的な脚質を持った選手は、モワナール、ブエだ。山岳ステージで大人数の逃げが決まるようなときには、バルギルと共に逃げ集団に乗り込んでエースのサポートをこなす作戦も考えられる。

 タイムトライアル面ではあまり期待できる要素がないが、バルギルは総合よりもステージ優勝狙いにシフトしているため、タイムを失っても問題はない。

■総評

 今シーズン、フォルトゥネオ・サムシック全体の勝利数はたった1勝である。フランスの2クラスのステージレースでブエがステージ優勝を飾っただけで、全体として低調なパフォーマンスとなっている。

 悪い流れを断ち切るためにも、バルギルにかかる期待は大きいだろう。難関山岳ステージの登場する第2、第3週の活躍に期待したい。

関連記事

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2018 ツール2018・プレビュー

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー
CyclistポケットTシャツ

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載