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ツール・ド・フランス2018直前 全チームプレビュー<4>カヴェンディッシュ復活なるか? ミッチェルトン、トレック、ディメンションデータの戦力をチェック

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 7月7日に開幕するツール・ド・フランスの出場全チームプレビューの第4弾はミッチェルトン・スコット、トレック・セガフレード、ディメンションデータを特集。各チームの狙いがわかりやすく見えるように、得意シーン4項目とチーム力3項目について★5段階で評価した。

今回プレビューするミッチェルトン・スコット(中央)、トレック・セガフレード(左)、ディメンションデータ(右) Photo: Yuzuru SUNADA

アダムはサイモンに続いて飛躍できるか

ミッチェルトン・スコット出場メンバー

アダム・イェーツ(イギリス)
ダリル・インピー(南アフリカ)
ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)
マイケル・ヘップバーン(オーストラリア)
マシュー・ヘイマン(オーストラリア)
ジャック・バウアー(ニュージーランド)
ダミアン・ホーゾン(オーストラリア)
ミケル・ニエベ(スペイン)

■得意シーン

集団スプリント :★★★★☆
山頂フィニッシュ:★★★★★
ロングエスケープ:★★★☆☆
石畳・未舗装路 :★★★★★

 スプリンターのカレブ・ユアン(オーストラリア)が出場予定だったのが、今季2勝と不調のためか、あるいはアダム・イェーツの総合狙いに集中するためか、それともチームとの契約が今季限りで移籍が噂されているためなのか、ツールの出場メンバーに選出されなかった。代わりにツアー・ダウンアンダー総合優勝、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ1勝&ポイント賞のインピーでスプリント勝利を狙う。

 総合エースはアダムが務める。双子の兄弟のサイモンが、ジロ・デ・イタリアでステージ3勝をあげる活躍を見せており、アダムも期するものがあるはずだ。ドーフィネでは第7ステージで勝利し、総合2位と好調だった。

今季2勝のアダム・イェーツ。写真はクリテリウム・デュ・ドーフィネ第7ステージ勝利後のもの Photo: Yuzuru SUNADA

 2016年パリ〜ルーベ優勝のヘイマンを筆頭に、ダーブリッジ、バウアーと石畳を得意とする選手がそろっており、エースの護衛は問題なさそうだ。

■チーム力

平坦アシスト  :★★★★★
山岳アシスト  :★★★☆☆
タイムトライアル:★★★★☆

 アダムの総合を狙うチーム編成になっているため、インピーのためにトレインを組むよりはアダムの危険回避のためにトレインを組むことが多くなると思われる。ヘイマン、ダーブリッジ、バウアー、ヘップバーンと鉄壁のルーラー陣がアダムの護衛に回る。そのなかでもヘップバーンはスピードに優れた選手で、インピーのリードアウトを務めることも可能な実力を持っている。

クリテリウム・デュ・ドーフィネ第1ステージに勝利したダリル・インピー Photo: Yuzuru SUNADA

 山岳アシストには、ジロからの連戦となるニエベと、近年登坂力向上中のホーゾンが適任だ。しかし、2枚ではさすがに戦力が薄い。手厚いサポートのあったサイモンに対して、アダムは自力で切り開く力が要求されるだろう。

 南アフリカTTチャンピオンのインピー、元オーストラリアTTチャンピオンのダーブリッジを筆頭に、バウアー、ヘップバーンとTTに強いメンバーがそろっており、チームTTでは好成績が期待できる。

■総評

 元々ユアンが出場する予定だったためか、上れるメンバーをあまり用意できなかったと思われるメンバー構成となっている。

 とはいえアダムは2年前のツールで総合4位に入りマイヨブランを獲得した際は、ほとんど山岳アシストのサポートがないなかで結果を出した。今年はニエベがいる分、むしろ2年前より手厚い布陣といえるのかもしれない。サイモンがジロで素晴らしい活躍を見せただけに、サイモンに続けとばかりにアダムも結果を残したい大会となるだろう。

 インピーはピュアスプリンターと対抗することはなかなか厳しいが、クライマーも驚くほどの登坂力を持ち合わせているため、山岳ステージでの集団スプリントでステージ優勝を狙いたいところだ。

狙うはモレマの表彰台とデゲンコルプの復活

トレック・セガフレード出場メンバー

バウケ・モレマ(オランダ)
ジュリアン・ベルナール(フランス)
ジョン・デゲンコルプ(ドイツ)
クーン・デコルト(オランダ)
ミヒャエル・ゴグル(オーストリア)
スガブ・グルマイ(エチオピア)
トームス・スクインシュ(ラトビア)
ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)

■得意シーン

集団スプリント :★★★★☆
山頂フィニッシュ:★★★★☆
ロングエスケープ:★★★★☆
石畳・未舗装路 :★★★★☆

 エーススプリンターはデゲンコルプが務める。2年半前にトレーニング中の事故により、指を切断寸前なほど損傷する大けがを負って以来、かつてのパフォーマンスを取り戻せていない。少なくとも事故以来、ワールドツアーでの勝利はない。

 一時期はアシストに専念する姿も見られたが、6度目の出場となるツールにはエースとして戻ってくる。ブエルタ、ジロではステージ勝利をあげているため、未勝利のツールで勝って、3大グランツールステージ勝利の記録樹立を目指す。

 総合エースはモレマが担う。自己最高順位は2015年の総合7位だ。昨年はジロ・ツールと連戦したが、今年はツールに絞って調整を進めてきた。昨年はアルベルト・コンタドール(スペイン)のアシストとして出場し、第15ステージでは逃げ切り勝利を飾った。今年は単独総合エースとして自己ベストを更新し、表彰台を狙う。

2017年ツール・ド・フランス第15ステージで逃げ切り勝利を飾ったバウケ・モレマ Photo: Yuzuru SUNADA

 今シーズンここまでチームトップの3勝をあげているスクインシュもエース格として、逃げ切り勝利を狙うだろう。

 2015年パリ〜ルーベ覇者のデゲンコルプ、今年の春のクラシックで一桁順位を連発したストゥイヴェンと2人の石畳スペシャリストは石畳ステージでのステージ優勝も狙えるだろう。

■チーム力

平坦アシスト  :★★★★☆
山岳アシスト  :★★★☆☆
タイムトライアル:★★★☆☆

 デゲンコルプのリードアウトはストゥイヴェンが務める。そしてチームキャプテンでもあるデコルト、オールラウンダーとして集団けん引力も高いスクインシュらでスプリントトレインを組むだろう。

石畳を得意とするジョン・デゲンコルプ。写真は2018年パリ〜ルーベにて Photo: Yuzuru SUNADA

 山岳アシストはベルナール、ゴグル、グルマイが務める。フランス陣のベルナールにとって初めてのツールとなり気合十分。移籍1年目のグルマイもドーフィネ総合17位と徐々に登坂力の高さを見せ始めている選手だ。とはいえ、決定的な仕事をできるほどのメンバーではないかもしれない。

 ラトビアTTチャンピオンのスクインシュ、エチオピアTTチャンピオンのグルマイと2枚のTTチャンピオンジャージを抱えるものの、2人はワールドツアーの個人TTではそれほど目立った実績を持っているわけではない。モレマ、ベルナール、デゲンコルプ、デコルト、ゴグル、ストゥイヴェンが出場したツール・ド・スイスのチームTTではステージ13位だったため、本大会でもやや苦戦すると思われる。

■総評

 総合、スプリント、逃げと、それぞれ得意な選手をそろえてバランスの良い布陣となっている。一方で突き抜けた要素が見当たらないため、中途半端な結果になる恐れもある。

 2年前のツールでは、モレマは第18ステージ終了時点まで総合2位だったが、翌第19ステージから一気に不調に陥って、最終的に総合11位で完走した。その点を踏まえて今シーズンの成績を見返すと、あまりパッとしない成績だとしても、ツール3週目に備えてコンディションを上げないようにしているという見方もできるだろう。

 デゲンコルプもピュアスプリンターを相手に戦うには分が悪いため、石畳のステージやワンデークラシックを彷彿とさせる起伏の多いステージでの勝利を狙いたいところだ。

相次ぐ落車のカヴェンディッシュ復活なるか

ディメンションデータ出場メンバー

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)
トムイェルト・スラフトル(オランダ)
マーク・レンショー(オーストラリア)
レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ)
セルジュ・パウェルス(ベルギー)
ジュリアン・ヴェルモト(ベルギー)
ジェイロバート・トムソン(南アフリカ)

■得意シーン

集団スプリント :★★★★☆
山頂フィニッシュ:★★☆☆☆
ロングエスケープ:★★★★☆
石畳・未舗装路 :★★★★☆

 歴代2位となるツール通算30勝を誇るカヴェンディッシュがエーススプリンターだ。昨年大会では、第5ステージで落車リタイア。肩甲骨を骨折してしまった。今シーズンは初戦のドバイツアー第3ステージで勝利したまでは良かったものの、アブダビツアー第1ステージのパレード走行中に落車して、脳しんとうの症状が出ていたため大事をとってリタイア。ティレーノ~アドリアティコでレース復帰したが、第1ステージのチームTT中に落車して、肋骨を骨折。かろうじて完走したもののタイムアウトのため失格となった。さらに復帰したミラノ〜サンレモでは、中央分離帯に激突して落車リタイア。このようにここ1年はけがを伴う落車を頻発している。

 プラスの要素としては、直前に出場したイタリアのステージレース(アドリアティカ・イオニカ・レース)の最終ステージでスプリントに絡んでステージ2位になったことだろう。エディ・メルクスの持つツール通算34勝の記録更新の期待もかかるが、まずは無事にツールを走り終えて欲しいと願うばかりである。

ドバイツアー第3ステージで勝利したマーク・カヴェンディッシュ Photo: Yuzuru SUNADA

 今回のチームには、クライマーの専門家はいない。スラフトルとパウェルスが上りパンチャー的な脚質を持っているため、短い上りを経ての山頂フィニッシュのコースであればステージ上位を狙えるが、長い上りを含む難関ステージでは逃げに乗らない限りはステージ上位に食い込むことは難しいだろう。

 石畳はボアッソンハーゲン、ヴェルモト、トムソンが得意としており、特にボアッソンハーゲンは石畳区間の登場する第9ステージでの優勝候補の一人だといえよう。

■チーム力

平坦アシスト  :★★★★★
山岳アシスト  :★☆☆☆☆
タイムトライアル:★★★☆☆

2017年ツール・ド・フランス第19ステージで勝利したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン Photo : Yuzuru SUNADA

 カヴェンディッシュを支えるトレインは非常に強力なメンバーがそろっている。リードアウトは、長年コンビを組んで無数の勝利をあげてきたレンショーが務め、ヤンセファンレンズバーグ、トムソン、ボアッソンハーゲンも最終発射台を務めることもできるスピードを持った選手だ。そして、今季加入したヴェルモトは序盤から終盤まで集団を引き続けることが無尽蔵のスタミナを持った強力なルーラーだ。

 総合を狙うための山岳アシストは不要なチームであり、山岳ステージでのカヴェンディッシュの護衛はスプリンタートレイン軍団がお供しながらフィニッシュまで付き添うことだろう。

 チームTTでは、ボアッソンハーゲンがノルウェーTTチャンピオンであるが、ステージ上位に食い込めるほどの戦力はそろっていない。

■総評

 カヴェンディッシュがどれだけ調子を戻しているかどうかが、ツールでのチームの成績に大きく関わるだろう。落車が相次いでからは、集団スプリントに加わっても激しいコンタクトを避けるような走りが目立っている。再び落車してけがを避けるために、意図してそうしているならいいのだが。ツールに全てをかけて調整を進めているためだと期待したいところだ。

 ボアッソンハーゲンもこのチームのセカンドエースといえる存在で、カヴェンディッシュが苦手な上りスプリントや、石畳ステージ、大会終盤での逃げ切り勝利など狙って動くことだろう。

 スラフトル、パウェルスは中級山岳ステージでの逃げに期待したい。ヴェルモトも平坦ステージ以外では自分のための走りができると思われるため、持ち前の独走力を生かした逃げ切りを狙った動きも楽しみだ。

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