全日本選手権ロードレース女子【詳報】與那嶺恵理、他を圧倒して3連覇 勢いそのままにジロ・ローザへ

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 全日本選手権・女子エリートカテゴリーは、今年も與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)の勢いを止める選手は現れなかった。昨年と同様、2位に大差をつけて独走。自身4度目、3年連続で勝利し、再びナショナルチャンピオンジャージを自らのものにした。初開催のU23(23歳未満)女子は混戦の末、ラスト500mから中井彩子(鹿屋体育大学)が先行し、優勝を飾った。

女子エリートの表彰台。日本チャンピオンジャージに袖を通した與那嶺恵理(中央)と、2位の金子広美(左)、3位の牧瀬翼 Photo: Noriko SASAKI

與那嶺のアタックで3人に絞られる

 島根県益田市を舞台に開催された今大会。1周14.2kmのコースを女子エリートは9周の計128km、U23女子は7周する計99kmで争われた。1周で獲得標高320mになるアップダウンを繰り返すコースは、単騎出場の選手が多い女子カテゴリーにおいて、サバイバルレースになるだろうと予想された。

大集団で走る序盤 Photo: Noriko SASAKI

 正午に女子エリートがスタートを切ると、直後から始まる上りをほぼ全員でクリア。有力どころの與那嶺、萩原麻由子(アレ チポッリーニ)、金子広美(イナーメ信濃山形)らが前方を固め、ペースで淡々とレースを進めた。2周目に入っても動きは変わらず、目立った展開は生まれない。

 レースが動いたのは4周目に入った直後だった。上り口から與那嶺がアタックを仕掛け、集団からリードを奪う。反応し、追従できたのは金子と牧瀬翼(Maaslandster international)の2人のみだった。後続では唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)や樫木祥子(team iluminate)、萩原麻由子(アレ チポッリーニ)らが懸命に追うも、その差は開く一方だった。残り3周回に差し掛かると、先頭を走る3人と、10人まで絞り込まれた集団との差は5分にまで広がった。

レース半分前で早くも與那嶺恵理が仕掛けて先頭は3人に Photo: Noriko SASAKI
数では有利な追走集団だが、先頭3人との差は逆に開いてしまう Photo: Shusaku MATSUO

 「暑さで内臓がやられた」と後に話した牧瀬がドロップするなか、先頭を走る與那嶺の表情は変わらず、余裕をうかがわせる。一方の金子は與那嶺に食らいつく状況が続いたが、下り基調に入ったコース後半の上り返しで與那嶺のペースアップに合わすことができずに脱落した。與那嶺はラスト2周から独走を開始し、ファイナルラップへと入る。勢いを落とすことなく1周を終えた與那嶺は、両手を挙げて喜びを表現しながらフィニッシュ。3年連続の全日本のタイトルを獲得した。

先頭3人の中で牧瀬翼が最初に脱落。與那嶺はまだ余裕のある表情 Photo: Ikki YONEYAMA
残り2周を前に金子広美も先頭から脱落 Photo: Noriko SASAKI
圧倒的な力を見せて全日本3連覇を飾った與那嶺恵理 Photo: Noriko SASAKI

 走り終えた與那嶺は安堵の表情で「勝つことが目的でした。また赤と白のナショナルチャンピオンジャージを着れて良かったです。ナショナルチャンピオンジャージはチームにとっても重要ですし、着てるだけで誇りですね。欧州で対等に戦う意味でも非常に大事です」と総括した。與那嶺は7月初旬からイタリアで開催されるジロ・ローザに出場する予定となっており、その後は世界選手権に向けてフォーカスするという。「世界選はTTでトップ10。ロードは最終集団に残ることです」と目標を明かした。

この後は女子最大のステージレース、ジロ・ローザ出場を控える Photo: Noriko SASAKI
2位の金子広美 Photo: Noriko SASAKI

 金子は、大分で開催された2013年大会以来の2位入賞を果たした。「與那嶺さんや唐見さん、萩原さんをマークし、様子を見てました。やはり與那嶺さんが断トツに強く、自分がいつまでついていけるかという流れになりました。大分に次いで2位となりましたが、まだまだなのでこれからも頑張りたいです」と疲労困憊の様子で振り返った。

石州瓦の優勝盾 Photo: Noriko SASAKI

 3位に入った牧瀬は「入賞はしましたが、(與那嶺と)レベルの差を感じたレースとなりました。今日は暑さにやられ、補給も取れないほどになってしまいました」と敗因を語った。シーズン後半は日本で走る予定となっているが、オランダでの活動も視野に入れているという。

女子エリート結果
1 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) 3時間57分15
2 金子広美(イナーメ信濃山形) +3分0秒
3 牧瀬翼(Maaslandster international) +6分45秒
4 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) +10分18秒
5 萩原麻由子(アレ・チポッリーニ)

中井がロングスプリントで勝利

 今年から新設された女子U23はトップ3人が展開を作り、レースを盛り上げた。まず動いたのは、前週に同カテゴリーで全日本TTを制した梶原悠未(筑波大学)と池上あかり(福岡県自転車競技連盟)が2人で飛び出すと、後続に1分以上の差をつけてレースをリードした。一方の後続のメイングループは、人数を減らしながらもスピードをキープ。互いに声を掛け合いながら前方の2人を追い、残り2周でキャッチすることに成功した。

逃げる2人だったが、徐々に後続との差が詰まる Photo: Shusaku MATSUO
4人でファイナルラップに入る女子U23の集団 Photo: Shusaku MATSUO

 ラスト1周の鐘が鳴るスタート/フィニッシュラインを中井、梶原、下山美寿々(早稲田大学)、菅原朱音(八戸学院大学)の4人が通過するも、菅原は最初の上りでドロップ。3人でフィニッシュを目指した。

 ラスト500mに差し掛かり、最終ストレートには3人揃って現れた。追い風が吹くなか、中井が先行してスプリントを開始。梶原がそれに続くかと思われたが失速。下山がやや遅れて反応して中井を追ったが届くことはなく、中井が女子U23初代女王となった。

 優勝した中井は「最後はそこしかないというタイミングで仕掛けました。追い風だったのはわかってたので、早めにスプリントを開始することは決めていました」と満身創痍の表情で語り、鹿屋体育大学のチームメートらから祝福を受けていた。

追い風のスプリントを成功させた中井彩子(鹿屋体育大学) Photo: Shusaku MATSUO

 一方、2位に入った下山は「逃げグループをキャッチした後は、自らアタックを連続して仕掛けました。梶原さんがスプリントに残っていたら勝機はないため、脚を削る作戦です。梶原さんは勝負に関われなかったので成功しましたが、最後まで彼女にダメージを与えているかわからなかったため、中井さんのスプリントに反応できない梶原さんの動きが予想できず、踏み遅れてしまいました」と展開を振り返った。

自ら積極的にアタックし、ライバルの脚を削った下山美寿々(早稲田大学) Photo: Noriko SASAKI
初開催のカテゴリーを制した中井彩子(鹿屋体育大学) Photo: Noriko SASAKI

 序盤から積極的な走りをした梶原だったが、スプリントでは両足が攣り、勝負に加われなかったことを明かした。「逃げていた際のペース配分や、この暑さでの水分補給などもっと計算するべきでした。

女子U23結果
1 中井彩子(鹿屋体育大学) 3時間23分48秒
2 下山美寿々(早稲田大学) +3秒
3 梶原悠未(筑波大学) +30秒

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