ツール・ド・スイス2018 第9ステージ地元スイスのキュングが最速タイムで勝利 ツール前哨戦はポートが総合優勝

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ツール・ド・スイスは6月17日、最終日となる第9ステージがベッリンツォーナでの34.1kmの個人タイムトライアルで争われ、スイスのタイムトライアル王者であるシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシングチーム)が唯一39分台のタイムを叩き出し、ステージ優勝を飾った。総合首位のリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)はステージ14位にまとめて、総合優勝を決めた。

最終個人総合上位の3人。(左から)2位のフルサング、総合優勝のポート、3位のキンタナ Photo: YSP

時速51km超でキュングが最速タイム

 スイス南部の街・ベッリンツォーナを起点に、谷あいに流れるティチーノ川の両岸をぐるりと回るコースレイアウトになっている。川にかかる橋をわたるときなど多少のアップダウンはあるものの、全体的にはど平坦といえる34.1kmのタイムトライアルであり、力量の差が如実に現れやすいシンプルなステージだった。

 総合成績が下位の選手から順番にスタートしていき、最初に好タイムをマークしたのはマチェイ・ボドナール(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)だった。昨年のツール・ド・フランス第20ステージの個人タイムトライアルでステージ優勝した実力者が、区間平均時速50.79kmの40分10秒で走り抜いた。

ポイント賞ジャージを獲得したペテル・サガン。チームバスを訪れた小さな世界チャンピオンと Photo: YSP

 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)は、19.7km地点に設定された第2中間計測ポイントで最速タイムを記録したものの、最終タイムはボドナールに11秒及ばなかった。

 ニキアス・アルント(ドイツ、チームサンウェブ)は9km地点の第1中間計測ポイントで最速の11分12秒をマーク。第2計測でもボドナールのタイムを2秒上回ったものの、最終区間で伸び悩み18秒遅れの暫定3位となった。

 そして、第6ステージで勝利したソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チームサンウェブ)が第2計測でトップタイムを更新すると、ついにボドナールのタイムを7秒上回る40分03秒でフィニッシュ。暫定1位に浮上した。

 さらにマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)は第2計測でクラークアンデルセンのタイムを1秒更新したものの、フィニッシュタイムはボドナールと同タイムの40分10秒となり、暫定3位となった。

 今度はティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)が第2計測でマシューズを20秒も上回るタイムを記録したものの、最終区間で失速してしまい、クラークアンデルセンのタイムを更新できず暫定2位に。

地元スイスのタイムトライアルチャンピオンジャージを着るキュングが最速タイムを記録 Photo: YSP

 いよいよ今ステージ大本命のキュングがスタート。第2計測でヴァンガーデレンに1秒及ばなかったものの暫定2位のタイムで通過すると、最終区間ではさらにタイムを伸ばす走りを見せ、クラークアンデルセンのタイムを18秒も更新する区間平均時速51.37kmの39分44秒の驚異的な最速タイムを叩き出した。

フルサング好走、ポートは総合優勝を決める

 ステージ後半は総合上位勢が登場。

TT好走で最終日にジャンプアップしたフルサング Photo: YSP

 総合6位のヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナプロチーム)は第1計測は16秒遅れで通過、第2計測では4番手となる20秒遅れで通過する好走を見せ、最終的にトップから38秒遅れの暫定8位となった。昨シーズンまではそれほどタイムトライアルで良い結果を出していなかった選手だが、今シーズンはコンスタントにトップ10前後でフィニッシュする走りを見せており、タイムトライアル能力の向上が見られている。

総合3位には届かなかったマスだが、総合新人賞を獲得 Photo: YSP

 続く総合5位のサム・オーメン(オランダ、チームサンウェブ)はトップから1分43秒遅れ、総合4位のエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)は1分31秒遅れでフィニッシュし、総合成績でフルサングに逆転された。

 総合3位のウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チームサンウェブ)はタイムトライアルに定評のある選手で好タイムが期待されたが、第1計測で23秒遅れ、第2計測で48秒遅れと低調なパフォーマンスだった。フィニッシュタイムは1分33秒遅れとなり、フルサングだけでなくマスにも総合成績で逆転されてしまった。

キンタナは順位を落としたものの総合表彰台は確保 Photo: YSP

 総合2位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスターチーム)はタイムトライアルをやや苦手にしており、第1計測で37秒遅れ、第2計測で1分12秒遅れとなり、最後は1分59秒遅れでフィニッシュした。そして、フルサングはキンタナも逆転し、一気に総合2位に浮上した。

 最終走者のポートは、第1計測で23秒遅れとケルデルマンと同程度のタイムをマークしたが、第2計測は35秒遅れにとどめ、最後は1分4秒遅れでフィニッシュ。危なげなく走り抜き、総合優勝を確定させた。

マイヨジョーヌを着て出走するポート。手堅い走りで首位の座をキープした Photo: YSP

 この瞬間、キュングのステージ優勝も決定。スイス人選手による個人タイムトライアルでの勝利は、2016年第1ステージのファビアン・カンチェラーラ以来の出来事。キュング自身は「カンチェラーラ二世」と期待されていたが、いよいよ本領発揮といえる大きな勝利を手にした。

大会前半でマイヨジョーヌを着たキュングが最終日も優勝。地元の期待に応えた Photo: YSP

 BMCレーシングにとっては、4月に逝去したチームオーナーのアンディ・リース氏の母国・スイスのレースでステージ2勝を飾り、初日から最終日までリーダージャージを保有して総合優勝を果たすなど素晴らしい成績を収めた。

 レース後のインタビューでポートは「この勝利をアンディ(リース)に捧げたい。ツール・ド・フランスに向けて重要なレースであり、名高いレースで勝てたことも嬉しく思う。まだ調子はトップではないので、7月のツールが待ち遠しいね。(今後のスケジュールを聞かれて)2週間前に息子が生まれたけど、まだ一晩しか一緒にいられていないんだ。だから、少しの間だけ家に帰って家族との時間を楽しんでから、トレーニングキャンプでツールに備える予定だ。」と語っていた。

総合優勝のトロフィーを手にするポート Photo: YSP

 NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニの初山翔、伊藤雅和の両日本人選手はそれぞれステージ132位、136位でフィニッシュ。初のツール・ド・スイスを無事に完走した。

第9ステージ結果
1 シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシングチーム) 39分44秒
2 ソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チーム サンウェブ) +19秒
3 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +23秒
4 マチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +26秒
5 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)
6 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム スカイ) +37秒
7 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
8 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +38秒
9 ニキアス・アルント(ドイツ、チーム サンウェブ) +44秒
10 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター チーム) +46秒
132 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +7分17秒
136 伊藤雅和(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +9分18秒

個人総合時間賞
1 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 29時間28分5秒
2 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +1分2秒
3 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分12秒
4 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1分20秒
5 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +1分21秒
6 シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) +1分47秒
7 サム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ) +1分52秒
8 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +1分59秒
9 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ) +2分27秒
10 アルテュール・ヴィショ(フランス、グルパマ・エフデジ) +2分41秒
133 伊藤雅和(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +1時間51分7秒
135 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +1時間55分15秒

ポイント賞
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 26 pts
2 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) 26 pts
3 ソーレン・クラークアンデルセン(デンマーク、チーム サンウェブ) 21 pts

山岳賞
1 マーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート) 36 pts
2 ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) 32 pts
3 ロマン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー) 24 pts

新人賞
1 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) 29時間29分25秒
2 サム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ) +32秒
3 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム スカイ) +2分27秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 87時間51分34秒
2 モビスター チーム +4分45秒
3 アージェードゥーゼール ラモンディアール +4分54秒

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