女子V・與那嶺恵理は危なげなく実力の差【詳報】「環境を変え、行動に移した」窪木一茂がペース崩さず圧倒、全日本TT選手権

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 6月17日、計39.3kmで行われた全日本個人タイムトライアル(TT)ロードレース選手権男子エリートは、トラック競技にも長けたスピードマン、窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)の初優勝で幕を閉じた。エリート女子は普段の実力を発揮した與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)は確実に勝利を収め、U23(23歳未満)男子は山本大喜(キナンサイクリングチーム)がカテゴリー最後の年に有終の美を飾った。各選手のコメントを中心に、レースの模様を振り返る。

エリート男子を制し、ナショナルチャンピオンジャージに袖を通した窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) Photo: Noriko SASAKI

最速ラップは「イージーだった」

 「自ら環境を変え、行動に移した結果が現れた」と力強く話したのは新王者の窪木。13.1kmのコースを3周で争われたレースの1周完了時、ライバルが好タイムを刻むなか、唯一の16分台をたたき出し会場を沸かせた。飛ばし過ぎて失速するのではないか、という周囲の心配を余所に2、3周目もペースを崩れることはなかった。16分台は試走時から出せており、無理をしたタイムではなかっという。

1周のタイムを唯一16分台でまとめた窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) Photo: Noriko SASAKI

 窪木は2015年の同大会、1位と9秒差で4位となった。50分間で平均出力は325Wだったという。しかし、今回は10%以上出力を向上させ、体調、機材全て万全な体制で挑んだ。コンディションを上げることができた理由を窪木はこう語る。「前チームのNIPPOを離れ、すぐに個人的にフィジカルトレーナーと理学療法士をつけました。ナショナルチームに入っていない自分の面倒を見てくれる人はいません。NIPPOを離れるとUCIポイント保持者でなければJISS(国立スポーツ科学センター)に入ることもできません。ライフスタイルからトレーニングを見直した結果。それを行動へと移した結果です」と分析する。

集中してウォーミングアップを行う窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) Photo: Shusaku MATSUO

 今後の目標は翌週に控えた全日本ロードレース選手権とし、さらにその先は東京五輪のトラック競技でメダルを取ることだと話した窪木。ナショナルチームに入り、科学的なトレーニングを重ねて、さらにフィジカルを強化していきたいと意気込んだ。

 男子エリートで2位に入ったのは窪木のチームメートで、大学の後輩でもある近谷涼だ。トラック競技の4kmパーシュート日本記録保持者として群を抜いたスピードを持ち、今回初めてTTロードレースへと挑んだ。「実力を出せれば10位以内にはは入れると思った」と振り返った近谷だが、結果は窪木の出走までトップタイムを堅守した。

トラック4kmパーシュート日本記録保持者の近谷涼(チーム ブリヂストンサイクリング)は初挑戦の全日本個人TTで力を発揮 Photo: Noriko SASAKI

 トラック競技との平行について、「互いに結び付くものはあります」とどちらかを強化するうえで欠かせない要素だと近谷は解説した。パワーメーター未装着のうえ、無線や伴走車もなしで挑んだレースだったが、体がペースを刻むことに慣れていたという。一定ペースの走りを目指した近谷は、ほぼ変わらないラップタイムで3周を刻み、好タイムを出した。「まだ経験がないので、来年は表彰台の一番高い場所を目指して準備したい」と意気込む近谷。「富山出身で地元が近く、声援が後押しになりました」と振り返った。

悔しさを滲ませる3位の小石祐馬(チームUKYO) Photo: Noriko SASAKI

 コース上、近谷と争う形で走行した小石祐馬(チームUKYO)だったが、チーム ブリヂストンサイクリングの2人には届かなかった。「コース上に上りがあり、自分でもチャンスがあるかと思いました。実力も出し切りましたが、上位2人のタイムは超えられませんでした」と悔しさを滲ませた。

 一方、優勝候補の筆頭とされていた昨年2位の佐野淳哉(マトリックスパワータグ)は、1周目を3位のタイムで好走したが、2周目にメカニカルトラブルでバイク交換をした影響で失速。6位という結果に沈んだ。TTバイクには58Tのフロントのチェーンリングが取り付けられており、レース前「パワーで押し切り、速度を維持したいです。ただ、アウター×ローのギアも使うため、チェーン落ちが心配です」と話していた佐野。悪い予想が的中し、大きくタイムを失う結果となった。

フロントのチェーンリングは58Tをチョイスした佐野淳哉(マトリックスパワータグ) Photo: Shusaku MATSUO
佐野淳哉(マトリックスパワータグ)は機材トラブルで失速し、6位に沈んだ Photo: Noriko SASAKI
左から2位の近谷涼(チーム ブリヂストンサイクリング)、優勝した窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)、3位の小石祐馬(チームUKYO) Photo: Shusaku MATSUO

男子エリート結果
1 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) 50分23秒92
2 近谷涼(チーム ブリヂストンサイクリング) +1分2秒68
3 小石祐馬(チームUKYO) +1分30秒09

国内無敵の4連覇で世界選へ

 女子エリートカテゴリーは今年も與那嶺の一人舞台だった。「1周目は抑えめに入りましたが、ファイナルラップのラスト数kmは本気で踏んでコンディションを確かめました」と余裕をみせつつ、2周の間に2位へ1分49秒差をつけて完勝した。今年はTTバイクへの乗り込みも少なかったが、今後は世界選手権へ向けてしっかり準備を進めていくという。「展開のないTTが終わりましたが、次週は相手がいるロードレース。同じ欧州で走る萩原選手も出場するため、とても楽しみです。悔いが残らない楽しいレースにしたいですね」と先を見据えていた。

危なげなく4連覇を果たした與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) Photo: Noriko SASAKI
U23最後の年にナショナルチャンピオンジャージを獲得した山本大喜(キナンサイクリングチーム) Photo: Noriko SASAKI

 U23男子は山本が初の同タイトルを順当に獲得。カテゴリー1年目に2位入賞を果たしたが、その後2年間は成績が振るわず、ようやくナショナルジャージに袖を通した。「実力を出せば勝てると思っていました」と振り返る山本は、常に一定ペースでの走行を心掛けたという。TTに勝利した山本だが、すでに気持ちはロードレースへと向いており「ロードをメインに考えているので、翌日曜日のレースでも結果を出したい」と目標を掲げた。

女子エリート表彰。左から2位の唐見美世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)、優勝した與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)、3位の伊藤杏菜(ライブガーデンビチステンレ) Photo: Shusaku MATSUO
男子U23表彰。左から2位の石原悠希【順天堂大学)、優勝した山本大喜(キナンサイクリングチーム)、3位の中川拳(早稲田大学) Photo: Shusaku MATSUO

女子エリート結果
1 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)37分18秒17
2 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)+1分49秒49
3 伊藤杏菜(Live GARDEN Bicistelle) +3分23秒13

男子U23結果
1 山本大喜(キナンサイクリングチーム) 34分14秒23
2 石原悠希【順天堂大学) +13秒12
3 中川拳(早稲田大学) +34秒19

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