「sfiDARE CRIT JAPAN」代表・ 児玉利文さんレポートライダーも観戦者も熱狂・NY開催のピストクリテリウム「RED HOOK CRIT」日本人参戦記

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 4月28日、ニューヨーク・ブルックリンで開催されたピストバイクによるクリテリウムレース「RED HOOK CRIT BROOKLYN No11」に日本から5人編成のチーム「sfiDARE CRIT JAPAN」(スフィダーレ・クリト・ジャパン、以下スフィダーレ)が出場しました。現役競輪選手として活躍しながら、岐阜県でスポーツ自転車店「104サイクル」も営む児玉利文さん(43歳)と、賛同した選手の奮闘記を本人のレポートでお届けします。(レポート・sfiDARE CRIT JAPAN 児玉利文)

REDHOOK CRITの盛り上がるスタート付近。この雰囲気を味わいに来るだけでも満足できるかも! Photo: sfiDARE CRIT JAPAN

◇         ◇

1㎞周回コースに9コーナー

 前回の告知記事の通り、2018年4月28日に開催の “RedHookCrit#11” へ参加するため、私たちはニューヨークはブルックリンへ向かいました。チームはバラバラで出発し、妻の児玉和代とカメラクルーの宮島さんが一緒に向かいます。デルタ航空で中部国際空港からデトロイトで乗り換え、ニューヨークはトランジットを含めると、約18時間。それなりのフライト時間になるため、私は疲れないよう飛行機に乗ったらすぐジャージに着替えます。すごく楽なので海外遠征行く方にはお勧めですが、他のお客様に驚かれるかもしれません。またデルタ航空は自転車だと、大きさ、重さに関係なくすべて150ドルのオーバーチャージがかかるので注意が必要です。片道150ドルなので、痛い出費です。

スポンサーなどのパーティーとレースはセット⁉️これも日本では見られない Photo: sfiDARE CRIT JAPAN

 到着後、チームで合流して、スポンサーであるAFFINITYサイクルでバイクセッティングしたり、プロスペクト公園でトレーニングしたりして、レース当日を迎えました。レース当日の天気は曇りで、少し肌寒い気候となりました。今年は新しいレイアウトのコースとなり、9個のコーナーとストレートを結んだ、約1kmの周回となります。

 タイトなコーナーは最終手前の1つくらいで、あとは高速コーナーが多いレイアウト。路面は良い場所と悪い場所で差が激しく、タイトなコーナーに至っては少し下り気味で途中から路面が悪くなるなかなかトリッキーなコンディション。個人的にはなんだかなぁと思ってましたが、周りは誰も気にしていない様子。それがこの大会の良いところなのでしょうか。試走中はチームメイトと各コーナーの癖などをチェックしながら練習走行を重ねました。

 参加選手は地元アメリカ勢が多いですが、ヨーロッパなどからの参加者も増えており、この大会が世界的に有名になっているのを感じました。私たち以外にも日本人選手や、韓国などのアジア圏の選手もいました。

 使用するバイクは断然アルミバイクが多く、カーボンバイクは少数派です。中にはNJSの競輪バイクの選手もいてマニアック。日本では聞いたことのないようなブランドも多く、見ているだけで楽しかったです。ホイールは50mm前後のカーボンディープリムが最も多く、男子の優勝者は前後80mmでした。タイトコーナーの立ち上がりで踏んだ時の軽さをとるか、エアロをとるのか悩ましいところです。

 タイヤのチョイスまでは細かく確認できませんでしたが、グリップ重視のタイヤがよいと思います。トラックバイクはペダルが回り続けるため、コーナーで自転車を寝かせず、リーンイン(自転車よりも体が内側になるフォーム)で曲がるため「グリップ命」となります。私はコンチネンタルのコンペティションを空気圧6.5barで使用しました。

ノーブレーキのトラックバイクの集団走行は、テクニックが必要。  Photo: sfiDARE CRIT JAPAN

 またチームピットが「クルーズターミナル」という体育館のようなところを割り当てられていて、そこに自転車や荷物を置いていけるので安心してレースに臨めます。もちろんセキュリティ付きです。

 レースのトップバッターは私で、ヒート(予選)1で出走します。出走までは大会側がウォーミングアップ用にTACXのローラーが50台くらい用意しています。プログラムに沿って時間通りにアップしてると、なかなかレースが全く始まらない…。予定は平気で遅れるようで、アナウンスは幾度も流しているという話かもしれません、海外に出てみようというライダーは語学を学ばないと色々不便かもしれないです。

 レース形式は男子300人を60人ずつ5レースに分けて、上位20人が夜のファイナルレースに進み、勝ちあがれなかったライダーは敗者復活戦へ回ります。敗者復活戦は5位までがファイナル進出となり、女子は全員で予選を行い、上位35人がファイナル進出、他が敗者復活戦に回ります。

 そもそもRedHookCrit主催者であるデビッド・トリンブルはモータースポーツの出身で、レースの随所にそれらしい色が出ています。スタートも横一列ではなく、過去の成績や実績によりグリッドが決まっており、そこからスタートとなります。スタート前にカメラマンがコースに入って各ライダーを至近距離で撮ったりできる時間も設けてあるところなどは、モータースポーツのような雰囲気でした。

 さていよいよスタート。カウントダウンが始まるものの、残り10秒からは何故かランダムスタートで、完全に出遅れてしまいました。30番手くらいでファーストコーナーにツッこみ前方集団をうかがっていたところ、タイトターンで内側をついてきたライダーが。「そんなスピード&角度で曲がれるわけないじゃん!」と思っていたところ、案の定、彼は落車。うまく避けられたと思ったものの、クラッシュパッドが迫ってきて衝突。落車して顔面を強打しましたが、サポートしてもらったヘルメットのおかげで即復帰しました。しかしサドルが曲がっていてどうにもならないので、走りながら叩いて直す始末でした。

固定ギヤでのコーナリングは実にスリリング‼️ それも魅力かな  Photo: sfiDARE CRIT JAPAN

傷だらけも奮闘

 先頭はスぺシャライズドのファクトリーライダーなどが引きまくり、既にペースが上がっているので、ファイナル進出の20位は諦めて敗者復活戦に回ることにしました。DNFです。

 ヒート2では、私たちのチームsfiDARE CRIT JAPANからカナダ人のJasmin Ten Have(ジャスミン)と井関太一が出走。ジャスミンは経験者なので安心して見ていましたが、まさかのクラッシュ。スキンスーツをボロボロにするほど激しいクラッシュでしたが、立ち上がって走り切りました。井関は、かなりトレーニングを積んできたようで、自信をもって出走しましたが、レベルの高さに驚いていました。ヒート4には河野貴行が出走、彼も経験者ですが、近年のレベルアップについていけず、レースをさせてもらえませんでした。大会の人気が上がるとともに、ライダーのレベルアップを著しく感じました。

 そして女子クラスが始まりました。予選は優勝争いをするようなメンバーと一緒で、スタートからハイペースで進みます。チーム紅一点の児玉和代も中段あたりで余裕をもってレースを進めましたが、残念ながらファイナル進出はなりませんでした。

 気を取り直して、男子敗者復活戦の1レース目に出走します。先述したスタートの“トラップ”にも惑わされず好スタート、10番手以内でレースを進めます。幅の狭いコース、コーナーの連続で、誰もが前に行こうとプッシュするため、あちこちで接触やペダルヒットなどが起きているが、おかまいなし。高いスキルを持ったライダーたちとリスペクトし合い、その上で高速域のバトルをするのは、お金を使って参加した価値が有り余るほどでした。

 調子よくラストラップまでレースを運び、最終コーナーまでに3番手で飛び込もうと企んでいましたが、考えているのは全員同じでした。最終コーナーを9番手で抜けフルスプリントしましたが7位。ポジション取りを誤った、完全なミスでした。わかっていてできなかったのは悔しいです。

 敗者復活2レース目はジャスミン、井関が出走。井関はスタートが良く、好ポジションを常にキープしてファイナル進出を期待させましたが、巻き込まれて落車。かなり良い走りができていただけにレース後は悔しそうでした。ジャスミンは予選でのケガが酷く、思うように走れない感じでした。敗者復活戦4レースでは河野が前方集団に食らいつくと意気込んでいましたが、スピード差を埋めるのは難しくレースを終えました。

妻・和代さんが決勝進出

 児玉和代も女子の敗者復活戦に回りました。スタートをうまくまとめ、スルスルと前方へ。他のライダーとうまくローテーションして常に5番手以内でレースを進めます。そして最終コーナー立ち上がりからのスプリントで見事2位!ファイナルへ進出です。RedHookCritのファイナルレース進出は、日本人としては初めてではないでしょうか。

夜のメインレースに進出した児玉和代 Photo: sfiDARE CRIT JAPAN

 そして、まだ少し明るい午後7時半に女子決勝レーススタートです。本スタート前にフォーメーションラップをしてライダーを紹介するところなんか最高にかっこよく、このレースが若者に人気で認知度をあげていることが理解できます。

 Photo: sfiDARE CRIT JAPAN

 和代はスタートして順調に中段あたりを走行していましたが、力量差が大きく、徐々に先頭との差が開いていき、必死に他のライダーとローテーションしていました。1周が短いので、すぐにラップされて下ろされてしまうので、選手は必死です。最終的には、健闘むなしく DNFとなりましたが、 RedHookCritの歴史に爪痕を残したと思います。

トラック中距離選手をスカウト?

観戦者の盛り上がりは日本では見られない Photo: sfiDARE CRIT JAPAN

 私は応援に回っていたのですが、1周1kmだと、すぐに選手が回ってきて、観客としてもとても面白かったです。他の観戦者もビール片手にお祭り騒ぎで、こんな盛り上がっている自転車競技があるのか、と驚きました。

 日本からの参加となると時間もお金もかかりますが、十分に価値のあるレースだと思います。恐らく日本では絶対に体験できないレースです。あまり若いうちに体験してしまうと、ハマってしまわないか心配になるほど、それぐらい強烈な一発だと思います。

 今はトラック中距離選手でテクニックのある選手にチームへ加入してもらい、日本最強チームで飛び込んでいこうかと妄想しています。また来年、ここでレポートできるよう活動していきたいと思います。今回、お世話になりました沢山の方々に感謝します。どうもありがとうございました。

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