門田基志の欧州XCマラソン遠征記2018<2>レースより難儀な食事の注文 攻略なるか?チェコのローカルレストラン

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 マウンテンバイク(MTB)・クロスカントリー(XC)の門田基志選手(チームジャイアント)と、まな弟子の西山靖晃選手(焼鳥山鳥レーシング)が繰り広げる欧州遠征デコボコ珍道中。「MTB Cross-country marathon」(XCM)世界選手権への出場権を獲得するレースの合間を縫って、ユニークな滞在生活をリポートします。言葉が通じないチェコでは、アスリートに必須の食事を注文することさえも一苦労。そんな苦労も楽しんでしまう、たくましい2人の遠征記です。

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チェコの国旗を模したゴール会場にある建物の壁の前で Photo: Motoshi KADOTA

◇         ◇

唯一覚えたチェコ語「ビーボ」

 やはり出国直前のレースの疲労を引きずったまま、ヨーロッパでのいきなりの試走は、思ったよりもダメージが大きかった。重たい体を引きずり、食料を探しに街のスーパーに買い出しに行くことに。スーパーは個人商店のような、日本でいう田舎の八百屋という感じだ。

街の商店でビールが安いこのサイズで日本円150円程度! Photo: Yasuaki NISIHYAMA

 一軒はアジア系、もう一軒はガチのローカルな店舗だった。両方で買い物してみたがアジア系の方は買った物を袋に入れてくれて色々とオススメをチェコ語で何とか伝えようとしてくれる。チェコスタイルの店舗は陳列しているパンにカビが…。それを見てしまうと全ての物が大丈夫かと不安になる日本人は多いだろう。僕らもそんな代表的日本人である。

 ここで驚くのはビールの安さ! 日本の瓶ビール大瓶の倍以上はあろうかというサイズが日本円で150円程度なのは驚愕だった。一番人気のビールを買おうと思ってカタコト英語単語で一番人気のビールは?って質問してみたが通じず…。店員さんが「ビーボ?」とビールの方を指差して来た。「チェコではビーボっていうんだ!」ということで、我々が今回最初に覚えたチェコ語はビーボとなった。

米の食事はやはり落ち着く!が、チェコに来てアジア料理は少し損した気がする… Photo: Yasuaki NISIHYAMA

 そして毎回苦労する夜ご飯。街中のなんとなくアジアンな看板の店に入ってみた。その名も「ハノイ」! メニューが写真&番号で書かれているので注文しやすい。店員さんに注文しようとすると…数字の読みが分からず指差しするも、カウンター奥の壁にある写真の数が多くてどれを指しているのか分からない。最後にはメモ帳借りて筆談(笑)で数字を書き、なんとか思い通りのものを注文できた。

 そして覚えたてのチェコ語「ビーボ」を使ってみたら見事にビールを注文できた。思えばすんなり注文できたのはビールだけかもしれない。

コースは試走で入念にチェック

チェコに来ても地元愛!四国一周ヘルメット着用、というよりはレースが高速化しそうなのでエアロヘルメットを試す Photo: Motoshi KADOTA

 一夜明けて、再び試走へと出発。昨日はジャイアントの「ANTHEM ADVANCD PRO 29ER」での試走だったが、今日は舗装路も多く、林道なので「XTC ADVANCD 29ER」をチョイス。路面がドライできれいなのでタイヤは「SCHWALBE THUNDER BURT」で試走に出かけた。

 昨日中断したエリアまで舗装路で一気に進み、残り30kmを昼までに走りきる作戦でスタート!といっても西山のGPSとコース上の看板を頼りに他力本願でルートは任せっきり。走り方等のアドバイスは僕の担当…と、勝手に役割分担をしている。

ゴールエリア手前、最後の最後にくる激坂 Photo: Yasuaki NISIHYAMA

 しかしGPSデータは完璧ではない! 森の中や高速のセクションでは何度もズレるし、タイトなコーナーは直線で示されていたりと看板とGPSのダブルチェックで進まないと迷う。そして何度も同じところを行き来した挙句、小さな小屋からいい匂いがしてきた。よく見ると山奥の小屋で1人、バーベキューを楽しむおじさんが巨大なソーセージを焼いている。

この看板が目印!広大なコース全域にある。写真のように木に直接打ち付けているもの、家の塀などあらゆる所にある Photo: Yasuaki NISHIYAMA

 そんな生活の風景を横目に試走を進める。ルート上のほとんどのエリアでドイツ、チェコも関係なく「MALEVIL CUP」の看板が木に打ち付けられたり壁に貼られていた。迷いそうなところでは辺りを見渡せば看板を見つけられて安心だ。看板を見つけても、その先がどこに繋がっているのか分からないので基本はGPSで確認してからになるのだが、それでも看板がある安心感は計り知れない。

コースは何度も街に降りて来て、地域の人達がレースを観戦しやすいように、運営側も運営しやすいように、設定されている Photo: Yasuaki NISIHYAMA
チェコ語しか通じないカフェの前、このエリアはキリスト教由来の像が多くある Photo: Yasuaki NISIHYAMA

 残り30kmの試走は「MALEVIL」というゴルフクラブがゴール。田舎にあって非常に整備され、乗馬にキャンプ、ゴルフ、動物園まである遊べる牧場に、ゴルフ場がくっついた感じだ。

ゴール地点のゴルフクラブのカフェでチョコレートケーキとチーズケーキ!スイーツ男子な2人 Photo: Motoshi KADOTA

 そして景色の良いゴルフクラブのカフェを発見。入らない理由は無い。もうヨーロッパ遠征は欧州カフェ巡りになろうとしている。ここではさすがに言葉も通じてカプチーノとケーキでエネルギー補給!さらにマッサージも探し当てて予約に成功した。言葉の通じないチェコでマッサージの予約は至難の技だが、体のケアはレースには必要なのですごく良かった。

 さあ明日からはいよいよレース期間突入! 金曜に受付をして土曜がレース本番となる。明日の受付開始時間はなぜか午後4時30分から。何でこんなに遅いのか?意味が分からないが、夕食は安定のアジアン料理店に行って1杯だけビーボを楽しみ、1日が終わった。

一度“負けた”レストランにリベンジ

 受付日は朝から軽めのサイクリングで体を動かし、自転車で15分程度の場所にある会場に行ってみると、本当にお昼近くの時間でほとんど何も無い状態だった。

ホテルに帰る坂道にはサクランボの木が!美味しそうだけど、採って食べてはいない…今記事を書いていて後悔している(笑)食べとくんだった! Photo: Yasuaki NISIHYAMA

 大会の方は全く何かが始まる気配もなく、仕方ないのであきらめてホテルに帰る途中のレストラン(ガチのローカル)で昼食を取ることにする。前回、全く言葉が通じなかった、打つ手なしのレストランに再挑戦する僕に西山が「本気で行くんですか?」と問いかけてきた。

 同じ轍は踏まない。勝負をするには準備が8割!前日に携帯で色々調べ、スクショ撮ってるからそれ見せて注文だ!と自信満々で入店。で、前と同じ店員さんに携帯見せて注文してみたら…なんとなく「NO!」というジェスチャー。最後の1枚まで色々「NO!」で撃沈し、準備8割の理屈が崩れそうになる。最後の1枚にようやく笑顔で「あるよ!」的なジェスチャー。勝負に勝った気がした。

携帯を駆使してなんとか注文できた蒸しパンと鶏肉の煮込みみたいなチェコの料理 Photo: Motoshi KADOTA

 出て来たのはチェコの有名な蒸しパンとシチューのような鳥肉の煮込みでレース前には優しい食事で満足した。そもそもレース前日の昼食もこだわりなく地元で食べるスタイルは、ある意味で無茶なのかもしれないが、これも欧州遠征である。

 今日は昼食後に時間もあるので早めに買い出しに行って見たらAM5〜PM5の開店時間でいつも入れなかったパン屋さんに行くことができた。

朝5時から夕方5時までのパン屋さんは甘そうなパンが並ぶ! Photo: Yasuaki NISIHYAMA
最後の最後に見つけた商店が1番品揃えが良く新鮮なものを置いていた。ちなみにアジア系のお店なので欧州では珍しく買ったものを袋に入れてくれる Photo: Motoshi KADOTA

 店内にはチェコっぽいあまり見ないパンが並び、思わず買い過ぎてしまいそうになる心を落ち着かせてレース前の食糧を調達。まだ歩いてない場所を少し歩いてみると、グロッサリーをもう1軒発見。一番品揃えも良く、フルーツも豊富に置いていた。ブルーベリーやリンゴなども買って宿に帰ってゆっくり過ごし、遅い受け付け時間に合わせて会場には車で向かうことにした。

<つづく>

門田 基志門田 基志(かどた・もとし)

1976年、愛媛県今治市生まれ。世界最大の自転車メーカー、ジャイアント所属のMTBプロライダー。選手として国内外のレースに参戦する一方、レース以外のサイクリングツアーも展開。石鎚山ヒルクライム、サイクリングしまなみなど数多くの自転車イベントを提案し、安全教室の講師やアドバイザーも務めるなど、自転車文化の発展に奔走している。

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