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栗村修の“輪”生相談<129>30代女性「ブルベで1000kmにチャレンジするために長距離巡航スピードを上げたいです」

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 ロードバイクに乗り始めてもうすぐ4年になります。去年から「ブルベ」に挑戦するようになり、400kmまで完走しました。今年は600kmに挑戦し、できれば1000kmにチャレンジしたいと思っています。

 現在の私の走力ですと、平地でAv.25〜28km/h程度で、厳しい山岳コースでなければグロスAv.19〜22km/h程度なので、400kmまでの制限時間内の完走は今のところ問題なさそうです。

 しかし長時間こいでいると、ダンシングや休憩中のストレッチを混ぜても どうしても腰回りの筋肉が張ってきて痛くなってきます。

 完走ペースで強度を落としてのんびり走れば楽かといえば、意外とそうでもなくて、こいでいる時間が長いほど、疲労が蓄積するような感じがします。

 しかも速度が落ちると、今度はサドルに触れる部分が痛くなってきたりするので、できるだけ楽に走り続けられる巡航速度を上げて、休憩時間をしっかり取る余裕を作り、 休憩中になるべく疲労回復する作戦を考えています。

 そこで、会社員が週末にトレーニングするレベルで、中強度の長距離巡航スピードを上げる練習のコツなどありましたら、アドバイスいただけないでしょうか。

 また、連日走る場合、ツール・ド・フランスの選手のようにマッサージを受けることはできませんが、効率よく筋肉の疲労を回復させるオススメの方法などありましたら、教えていただけると嬉しいです。

(30代女性)

 人気が高まりつつあると聞くブルべですが、女性ファンも増えているんですね。

 ブルべと聞いて思い出すのは、僕がチームミヤタの監督をしていたときに選手としてチームに所属していた三船雅彦さんです。昨年は1400kmの「ロンドン〜エディンバラ〜ロンドン」を完走するなど、いまだに現役の鉄人です。

 一方の僕は、選手時代も300kmなどの長い練習はあまりせず、もちろんブルべに出たこともありませんので、お答えするのに適任かわかりませんが、ちょっと考えてみましょう。

自転車競技が国技とも言われるベルギーでプロ選手として活躍した三船雅彦さん。現在もブルベを走るほか、ストラバで年間積算走行距離の日本人トップを争っている(写真は2001年のツール・デ・フランドル) Photo: Yuzuru SUNADA

 腰回りやサドルに触れる部分が痛くなるとのことですが、そもそも時速25〜28km/hを維持しながら400kmを走りぬくというのは、たぶん今の僕ではできない、相当のパフォーマンスです。この距離を走って不具合が何もない、というのはちょっと難しいと思うんですよ。現役の選手でもあちこちが痛くなったりすると思います。

 なので、正直言ってアドバイスは簡単ではありません。ハンドルを上げて近くし、サドルを下げるのが、腰まわりの負担を減らす王道ですが、常に正解とは限りません。ハンドルが近くなると、サドルにどかっと座ってしまい、かえってお尻が痛くなることもあります。

 一方、上級者向けにはなりますが、まずは正しいフォームでのフリーウェイトによるスクワットやデッドリフトを習得し、スポーツの基本となる「アーチをつくる(腰を入れる)」フォームをマスターすることをオススメします(自転車うんぬん以前にまずはアスリートになる)。

 正しい指導を受けながら体幹部のウェイトトレーニングを行うことで、体そのものの使い方が変わるので、むしろハンドルは遠くした方が楽になるかもしれません。そうすれば、結果的にお尻の痛みも緩和する可能性があります。

 アップライトなポジションにすることやマッサージなどはあくまで対処療法なので、根本的な解決にはなりませんよね。

 質の高いウェイトトレーニングやストレッチ(体を正しく使えるようになるため)などを取り入れて高性能な体づくり(ベースづくり)をすることで、様々な効果をもたらすと思います。

※栗村さんもおすすめ、普段着でも美しいシルヴァン・シャヴァネルのクラウチングフォーム

 また、お尻の痛みについては、サドル選びが重要です。見た目ではお尻へのダメージが大きそうでも、いざ乗ってみるとお尻に優しいサドルが少なからずありますから、「女性用」とか「ロングライド向け」とかいった看板にこだわらずに根気よく選んだほうがいいでしょう。

 中強度の長距離巡航スピードを上げるには、もちろん距離を乗り込むのが効果的ですが、見落とされがちなのがインターバル能力です。実際の道には、ちょっとした上りや向かい風、信号がありますから、ちょくちょくインターバル能力が要求されます。短時間・高強度に強くなれば、速度を無駄に落とさずに走り切れるシチュエーションは意外に多いです。あとはもちろん、心拍計やパワーメーターを指標にして、過負荷状態に陥らないようにチェックすること。

 筋疲労の回復には、意外とスタート前のストレッチが効きます。選手たちもよく言うのですが、体の歪みを直し柔軟性が増した状態で走り出すと疲れにくくなります。極端な例ですが、ずっとデスクワークをしていた状態からいきなりバイクに乗って走ると、同じ距離・強度でも特に局所的な痛みがでやすくなります。実は、走りはじめる前が重要なんです。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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