雨の中激闘のシリーズ第10戦木村圭佑が那須ロードレースでJプロツアー初勝利 橋本英也をマッチスプリントで下す

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 国内最高峰のロードレースシリーズ、Jプロツアーの第10戦「第2回JBCF那須ロードレース」が6月10日、栃木県の那須町役場前をスタート・フィニッシュ地点にした公道特設周回コースで開催され、残り1kmで集団から飛び出した木村圭佑(シマノレーシング)が、ともに飛び出した橋本英也(チーム ブリヂストンサイクリング)とのマッチスプリントを制してJプロツアー初優勝を飾った。

木村圭佑がうれしいJプロツアー初勝利 Photo: Nobumichi KOMORI

逃げ切りを警戒してアタック合戦に

 Jプロツアー那須2連戦の2日目は、舞台を栃木県那須町に移しての開催となった。那須町役場前を起点にした1周7.2kmの周回コースは、前半が2015年に開催された全日本選手権ロードレースのコースを一部使用する下り基調、その後1.5kmの平坦区間を経て、小さい丘を越えてフィニッシュに続く2kmの緩い上り基調というレイアウト。難易度はそれほど高くなく集団スプリントになる可能性も十分あるコースだが、初開催となった昨年のレースでは序盤にできた14人の逃げに5人が追いつき、最後は16人が逃げ切り。後方のメイン集団にいた多くの選手がタイムアウトでレース終了という展開になった。そして、昨年の展開が今年のレースに大きく影響することになる。

JR黒田原駅からコースへと続く道は歩行者天国化され、飲食などのブースがならんだ Photo: Nobumichi KOMORI
前日と打って変わって生憎の雨模様となってしまったが、多くの観戦客が会場に訪れた Photo: Nobumichi KOMORI
那須町役場前を選手たちがスタート Photo: Nobumichi KOMORI
下り区間終えた選手たちが橋を渡って平坦区間へと向かう Photo: Nobumichi KOMORI

 那須町役場前をスタートしたレースは、ニュートラルとなった下り区間を過ぎてリアルスタートが切られると、激しいアタックの応酬になった。その中から阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、入部正太朗(シマノレーシング)、下島将輝(那須ブラーゼン)、蠣崎優仁(エカーズ)の4人が抜け出して10秒弱のリードを奪うも、程なくして集団が吸収。その後も数人の選手が飛び出しては集団が吸収する展開が続いた。

7人の選手がリードを奪うも、すぐに集団に吸収される Photo: Nobumichi KOMORI

 その後も激しいアタック合戦が続くが、昨年の逃げ切りのレース展開を強く意識する選手とチームが多いこともあり、決定的な逃げを決めさせないムードが集団内に漂う。土井雪広(マトリックスパワータグ)、雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)、小山貴大(シマノレーシング)、柴田雅之(那須ブラーゼン)、岩瀬照(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム)、大久保陣(チーム ブリヂストンサイクリング)、渡邉歩(エカーズ)の7人が抜け出すが、すぐさま集団に吸収される。その後も入部が単独で、続いて中田拓也(シマノレーシング)と岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が2人でアタックを仕掛けて抜け出したが、程なくして集団に吸収された。

平坦区間を進む集団内では激しいアタックの応酬が続く Photo: Nobumichi KOMORI
上りでも各チームによるアタックが繰り返される展開が続く Photo: Nobumichi KOMORI
アタックの応酬が続く展開に集団も少しずつ疲弊していく Photo: Nobumichi KOMORI

入部と石橋が最終回まで逃げ

 レースも折り返しとなる8周目になっても、数人の選手がアタックを仕掛けて飛び出しては集団が吸収する展開のままレースは進む。途中、強力な逃げグループが形成。アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)、安原大貴(マトリックスパワータグ)、鈴木譲と飯野智行(ともに宇都宮ブリッツェン)、佐藤信哉(VC福岡)、近谷涼(チーム ブリヂストンサイクリング)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、松田祥位(エカーズ)、入部の9人が、集団から20秒程度のリードを奪って逃げが決まるかと思われたが、これも集団に吸収された。

横山航太(シマノレーシング)がアタックを仕掛けて集団から抜け出す Photo: Nobumichi KOMORI

 激しいアタックの応酬で各チームに疲労の色が見え始めた9周目終盤、横山航太(シマノレーシング)のアタックを契機に入部、小畑郁(なるしまフレンドレーシング)、石橋学(チーム ブリヂストンサイクリング)、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)の5人が先行。程なくして小畑と前田がドロップするが、横山、入部、石橋の3人が逃げ続ける展開となった。3人の逃げは協調体制をとってメイン集団とのタイム差を拡大。レースも残り4周となる12周目にはタイム差は50秒にまで拡大した。

横山航太、入部正太朗(ともにシマノレーシング)、石橋学(チーム ブリヂストンサイクリング)3人の逃げ集団が形成される Photo: Nobumichi KOMORI
メイン集団はエカーズと宇都宮ブリッツェンがコントロールを開始 Photo: Nobumichi KOMORI

 一方のメイン集団は、逃げに選手を送り込んでいない宇都宮ブリッツェン、エカーズ、弱虫ペダルサイクリングチームなどが選手を出し合ってコントロールを開始。ペースを上げて3人の逃げとのタイム差を縮めにかかり、少しずつタイム差を縮めていく状態となった。その頃になると、逃げ集団では横山が遅れ、逃げは入部と石橋の2人になったが、メイン集団から20秒程度のリードを保ってレースは最終周に入った。

メイン集団をコントロールする宇都宮ブリッツェンは、本来スプリントの勝負要員の小野寺玲もけん引に加わる Photo: Nobumichi KOMORI
入部正太朗と石橋学の2人になった逃げ集団が最終周回に入る Photo: Nobumichi KOMORI
ルビーレッドジャージの岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が自らメイン集団の先頭を引いて逃げの吸収を狙う Photo: Nobumichi KOMORI

 最終周に入っても入部と石橋の2人は逃げ続けたが、残り2kmという段階で集団が吸収。残り距離を考えても集団ゴールスプリントが濃厚な状況かと思われた。しかし、残り1kmで木村が渾身のアタック。この動きに反応できたのは橋本のみで、2人が集団から若干先行する状態に。残り500mを切ってもその状況は変わらず、勝負は木村と橋本のマッチスプリントとなった。互いに牽制し合いながら残り150mを切るところでスプリントを開始。スプリントでは競輪選手でもありトラック競技でもトップクラスの実力を誇る橋本に分があるかと思われたが、木村がフィニッシュに向けて若干右曲がりのコースのイン側を死守。最後は互いにハンドル投げ合ってラインを越えたが、僅差で木村が勝利を飾った。

コースを熟知する木村圭佑(左)がインをきっちりと締めて橋本英也(右)との僅差の勝負を制した Photo: Nobumichi KOMORI

木村「ロードレースの経験の差が出た」

 優勝した木村は、これがうれしいJプロツアー初勝利。木村は以下のように冷静にレースを振り返りながら、喜びの表情を見せた。

木村圭佑のJプロツアー初優勝をチームメート全員で祝福。木村は好調を維持して全日本選手権に臨む Photo: Nobumichi KOMORI

 「今日のレースは激しい展開でずっとアタック合戦という展開でしたが、その中でシマノレーシングもしっかりとメンバーを送り込んで対応できていましたし、最後も入部さんと横山が逃げていました。集団ではマトリックスは枚数が少なくてけん引を嫌って、ブリッツェンが逃げを捕まえる動きをしていましたが、前半のアタック合戦で消耗している感じはありました。さらに入部さんの逃げが強かったこともあって、ブリッツェンは脚を使い切ってしまった。最終的に逃げは吸収されて、残り1kmで左側から僕がアタックして一気に飛び出したら集団から離れたのですが、後ろから橋本選手が追いついてきて」

左から2位の橋本英也、優勝した木村圭佑、3位の窪木一茂 Photo: JBCF

 「橋本選手は競輪選手でスプリント力もあるので勝てるかなと思ったのですが、後ろの集団を見るとチームメートがトレインを組んで、スプリントというよりアシストの動きをしてくれていたので、冷静に残り距離を計算して150mというところで仕掛けて勝つことができました。自分でも驚きですが、昨年もこのレースを走ってフィニッシュのレイアウトも分かっていたので、しっかりインで粘れたこと、ロードレースの経験の差が結果に出たのかなと思います」

 全日本選手権ロードレースでは一昨年、昨年と2年連続で表彰台に上がっている木村。2週間後に控える大一番に向けても「全日本選手権は自分にとって特別なレース。今日のレースで自分の調子が良いことも分かりましたし、チームの調子が良いという感触も得られました。これで油断せず、しっかり仕上げていきたいと思います。今年こそは優勝したいという思いはありますしチームも強いので、ブリッツェンのような日本人だけで強いチームとやり合っていいレースをしたいと思います」と抱負を語った。

接戦のスプリント勝負を演じた木村圭佑(左)と橋本英也が互いの健闘をたたえ合う Photo: Nobumichi KOMORI
ルビーレッドジャージの窪木一茂(右)とピュアホワイトジャージの小山貴大 Photo: JBCF

 この日の結果で、ツアーリーダーの証のルビーレッドジャージは窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)に、23歳未満のランキングトップの選手が着用するピュアホワイトジャージは小山貴大(シマノレーシング)にそれぞれ移っている。

Jプロツアー第10戦「那須ロードレース」結果
1 木村圭佑(シマノレーシング)2時間32分08秒
2 橋本英也(チーム ブリヂストンサイクリング)+0秒
3 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)
4 吉田悠人(那須ブラーゼン)
5 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
6 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)+1秒

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JPT2018・レース Jプロツアー2018

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