クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2018 第7ステージイェーツが最後の山頂ゴールを制す トーマスがリードを守り切り総合優勝

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 フランスで開催されたクリテリウム・ドゥ・ドーフィネは6月10日、最終の第7ステージが行われ、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が1級山岳の山頂フィニッシュを制して優勝した。個人総合はゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)が首位を守りきり、個人総合優勝に輝いた。新城幸也(バーレーン・メリダ)は総合106位で完走した。

鮮やかなアタックで先頭に立ったアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が最終日の山頂フィニッシュを制して優勝 Photo: YSP

最終日は1級山岳が4つ

 フランス南東部、アルプスを望むドーフィネ地方を舞台にした“ミニ・ツール”もいよいよ最終日。4連続山頂フィニッシュの最後を飾るのは、名峰モンブランだ。コースはほぼ上りと下りで、136kmという比較的短い距離の中に、1級山岳が4つ設けられる。

 最後のサン=ジェルヴェ・モン=ブランへの上りは、2.7kmで平均勾配11.2%を上る1級山岳と、少し平坦と下りを挟み、7kmで平均勾配7.7%を上る1級山岳とが連続する。最初の1級山岳は短いながらも約13%の勾配が2km続き、ゴールへの山岳は残り1kmから急激に斜度が険しくなる。調子を崩せば一気にタイムを失う、最後まで油断できない難コースだ。

 レースはスタート直後からアタック合戦が続き、最初の1級山岳コルメ・ド・ロズラン峠への上りで6人の強力な逃げが決まった。

カタルドが総合山岳賞を守り切った Photo: YSP

 逃げるのはダニエル・ナバロ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)、アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNL・ユンボ)、ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)、エドワルド・ラヴァージ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)というメンバー。各チームのエースナンバーかエース級といった布陣で、これを山岳賞ジャージのダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ プロチーム)、前日も逃げたワレン・バルギル(フランス、フォルテュネオ・サムシック)が追うが、この追走2人はメイン集団に吸収された。

 山岳ポイントは最初の1級山岳をゴデュ、続く3級山岳をアラフィリップ、2つめの1級山岳をトルホークが先頭通過した。山岳ポイントが分散したことで、この日は逃げに乗り損ねたカタルドだが、総合山岳賞の獲得を決めた。

トーマスがパンク、ユンゲルスが落車

 メイン集団はチーム スカイがタイム差を最大で3分程度にコントロールした。トラブルが発生したのは2つ目の1級山岳、コル・デ・セジーからの下り区間。総合首位のマイヨジョーヌを着るトーマスが、パンクでストップしたのだ。アシストのジャンニ・モスコン(イタリア、チーム スカイ)から車輪を受け取って再スタートを切ったものの、メイン集団からは40秒ほど遅れてしまった。

人数を減らしながらゴールを目指すメイン集団 Photo: YSP

 いっぽうメイン集団では、総合3位のロマン・バルデ(フランス)を擁するアージェードゥーゼール ラモンディアールがペースを保ち、トーマスの復帰をあえて待たない姿勢を見せた。スカイのアシスト陣が一斉に後方へと下がり、トーマスをけん引してメイン集団へと引き戻す。10km余りの追走の末、ようやくトーマスはメイン集団へと復帰したが、最後の勝負どころを前に、チーム力を余計に使うトラブルとなった。

 トーマスが復帰したメイン集団は一旦落ち着きを取り戻したが、今度はボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)が、ラウンドアバウト出口で段差に乗り上げ落車するアクシデントに見舞われた。ツール・ド・フランスに向けて調子を上げつつあったユンゲルスだが、最終日に落とし穴。しばらく立ち上がれなかったが、再び自転車へと跨がり、マイペースでゴールを目指した。

エース同士のバトルに

 逃げの6人は最後のモンブラン、2連続の1級山岳の上りへと到達した。最初の1級山岳の急勾配に入ると、ゴデュがペースを上げて単独先頭に立ち、これを少し離れてロラン、ナバロ、トルホークが追う展開となった。21歳、フランス期待の新星ゴデュが、1級山岳頂上を単独先頭で通過し、短い下りへと突入した。

アルプスの名峰・モンブランに向かう最終ステージ Photo: YSP

 先頭と1分弱の差になったメイン集団は、上り直前、急勾配の下り区間で、集団が複数に分かれてしまった。上位陣ではダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ)、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム)が、若干遅れた後方グループで追走する展開となった。

 メイン集団ではバルデとそのアシスト、ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)が交互にアタックを仕掛け、集団の人数を絞っていった。一度はバルデ、トーマス、イェーツ、タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム スカイ)の4人まで絞られたが、山頂を越えてからの下りと平坦区間でマーティンらが追い付き、再び10人強の集団となった。

逃げ続けたナバロを打ち砕いたイェーツ

 いよいよ山頂フィニッシュへ、最後の上りとなる。先頭ではゴデュに、後方からナバロとロランが合流。すかさずナバロがカウンターアタックを仕掛け、単独先頭に立った。

 メイン集団ではマーティンがアタック。バルデがすかさず反応し、トーマスらも追い付くものの、ここでトーマスの最終アシスト、ゲオゲガンハートが脱落した。メイン集団はトーマス、イェーツ、バルデ、ブッフマン、マーティンという、5人の総合上位エース同士の戦いとなった。

ステージ優勝、総合2位でドーフィネを終えたイェーツ。「今日はアタックを最後まで待つことにしたんだ。ツールが楽しみだよ」 Photo: YSP

 積極的なアタックを見せるのはブッフマン。少し抜け出しては他の選手も追い付く展開が繰り返される。総合上位勢のアタックとけん制が続くなか、先頭のナバロは20秒ほどのリードを持って残り1kmを通過。逃げ切り勝利が濃厚となってきた。

 メイン集団では残り1kmからバルデがアタックした。イェーツは反応するものの、トーマスがここにきて若干苦しい様子を見せ始めた。残り300m手前から再びバルデが仕掛けると、イェーツのみが付き、トーマス、ブッフマンはじりじりと後退してしまう。

区間5位でゴールしたトーマス Photo: YSP

 そして今度は残り250mからイェーツがアタック。猛スピードでバルデを突き放して単独でゴールを目指すと、残り50mで急勾配にあえいでいたナバロをも一気にかわし、先頭でゴールラインを切った。呆然のナバロが2位、バルデが3位と続いた。トーマスは19秒差と遅れたものの、前日までに築いたリードを守り切り、ドーフィネ総合初制覇を決めた。

 新城はイェーツから32分36秒差の112位、最終完走グループでゴールした。19人がリタイアしたサバイバルな一日を最後まで走りきって、8日間のレースを終えた。

総合優勝したゲラント・トーマス。「ツールに向けて自信になった」 Photo: YSP

第7ステージ結果
1 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 3時間51分34秒
2 ダニエル・ナバロ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) +4秒
3 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +9秒
4 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +14秒
5 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +19秒
6 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ) +24秒
7 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム)
8 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) +28秒
9 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +35秒
10 ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +41秒
111 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +32分36秒

個人総合時間賞
1 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) 24時間43分12秒
2 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +1分0秒
3 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +1分47秒
4 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ) +2分35秒
5 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム) +2分44秒
6 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +3分5秒
7 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +4分5秒
8 ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +4分22秒
9 ダニエル・ナバロ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) +4分31秒
10 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +4分45秒
106 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +1時間45分38秒

ポイント賞
1 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) 45 pts
2 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ) 42 pts
3 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) 40 pts

山岳賞
1 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ プロチーム) 53 pts
2 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) 37 pts
3 ダニエル・ナバロ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ) 28 pts

新人賞
1 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) 24時間47分17秒
2 アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +1分16秒
3 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) +1分49秒

チーム総合
1 チーム スカイ 73時間17分36秒
2 UAEチーム・エミレーツ +7分18秒
3 アージェードゥーゼール ラモンディアール +10分50秒

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