クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2018 第5ステージ前日2位のマーティンがラスト3km独走で雪辱 トーマスが総合首位に浮上

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
  • 一覧

 フランスで開催中のUCIワールドツアー、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネは6月8日、山頂フィニッシュ4連戦の2日目となる第5ステージのレースが行われ、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ)が残り3kmでのアタックから独走となり優勝した。個人総合では区間2位となったゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)にマイヨジョーヌが移動している。

残り3kmでアタックを決めたダニエル・マーティンが独走でステージ優勝 Photo: YSP

カタルドが山岳賞ジャージをキープ

 8日間で行われるドーフィネは残り3日、第5ステージはグルノーブルからヴァルモレルに至る130kmで行われた。スタート直後から続けざまに2級山岳を越え、中盤以降は平坦基調が続くが、最後はフィニッシュ地点のヴァルモレルへと上る超級山岳が待ち受ける。最後の山岳は距離12.7kmで平均勾配は7%で、全体に一定に近い勾配が延々と続く。全体が比較的短くラストの超級山岳でのシンプルな一発勝負とあって、現時点での上りの実力差が現れやすいコースといえる。

山岳賞ジャージを着るカタルド(先頭)が序盤の山岳でポイント獲得 Photo: YSP

 レースは序盤から山岳賞ジャージを着用するダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ プロチーム)を含む、9人の逃げが形成された。カタルドは序盤の2級山岳2つをともに先頭で通過。山岳賞ジャージのキープを決めると、この日の仕事は終了とばかりに先頭集団からは後退した。

残った逃げ集団は、トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、アレクシー・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)、エドワルド・ラヴァージ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)、ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)らを含む8人。

 メイン集団は序盤、マイヨジョーヌのジャンニ・モスコン(イタリア)擁するチーム スカイがコントロールしていたが、中盤からは逃げに選手を乗せていないボーラ・ハンスグローエがけん引し、タイム差は2分弱に抑えられて残り距離を減らしていった。

アルプスの山あいを進むメイン集団 Photo: YSP

粘るエデを吸収、エース同士の戦いへ

 残り20kmになると先頭とメイン集団の差は、およそ1分にまで縮まった。徐々に上り基調となり、メイン集団では脱落する選手も増えてくる。集団先頭ではボーラのけん引にバーレーン・メリダが加わる場面も見られたが、集団内での位置取りではやや組織力を欠き、エースのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)は早くも孤立気味となった。

 中盤以降はボーラのけん引をすぐ後ろで静観していたスカイ軍団。しかし残り15kmを前に、再びひとかたまりで集団先頭に立ち、総合上位につけるエースたちを絶好の位置で上りへと導いた。

マイヨジョーヌを着て集団内を走るモスコン。すぐ後ろにはチームの真のエース、トーマスが控える Photo: YSP

 逃げ集団では上りに入りタイム差が20秒を切ったところで、エデ、デプルス、ラヴァージの3人が抜け出した。吸収間近と思われた逃げだがペースを取り戻し、再びメイン集団との差は20秒以上となった。上り途中からメイン集団先頭は、アダム・イェーツ(イギリス)を引っ張るミッチェルトン・スコットがペースを作り始めた。

 残り8km、先頭ではエデがアタックし単独先頭に立った。20秒弱後ろのメイン集団に目立った動きはないものの、100人以上で上り始めた大集団は、今や30人ほどに人数を減らしていた。地元フランス期待のワレン・バルギル(フォルテュネオ・サムシック)も力なく脱落していった。粘るエデは顔をゆがめながら力を振り絞るが、残り4.5kmでついにメイン集団へと吸収された。

マーティンが鋭いカウンターアタック

 ゴールまで4kmを切ると、まずマルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム)が抜け出し、本格的な戦いが始まった。これを追う形でイェーツがカウンターアタックを仕掛けると、トーマスがこれに追随。さらにロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、マーティン、ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)といった各チームのエースが続く。

 一方集団後方では、マイヨジョーヌを着るモスコンや、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)、前日優勝のジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)、またニバリといった選手が、前方でのペースアップに対応できず、じりじりと後退を始めていた。

マイヨジョーヌはチームメイトに譲ったものの、依然新人賞をキープするモスコン Photo: YSP

 集団前方では、イェーツのアタックが収まったところで、マーティンがカウンターで鋭いアタックを仕掛けた。けん制気味になったエース勢を尻目に、一気に後続と差を付けると残り3km、単独でゴールを目指す。追走は一旦まとまって、タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム スカイ)がトーマスを引き連れ、ペースを作り直した。

 前日は最終盤に鋭いアタックを見せながら、ライバルを引き離せず、2位に終わったマーティン。この日は独走に持ち込むことに成功した。残り1kmになっても、そのスピードは衰えない。一方の追走では、残り1kmを前にゲオゲガンハートが仕事を終え、トーマスが自らペースを上げて先頭のマーティンを追い始めた。ここには唯一バルデが反応したものの付いていけず、トーマスが単独2番手でマーティンを追いかける。

 しかしマーティンのスピードは最後まで衰えることはなかった。残り100mで勝利を確信すると、何度も喜びのガッツポーズ。前日2位の雪辱となる、うれしい今季初勝利を飾った。

チームを移籍した今シーズン、待望の初勝利となったマーティン Photo: YSP

トーマスがライバル勢に差を付ける

 トーマスはマーティンから4秒差でゴール。ステージ勝利は譲ったものの、モスコンが遅れたため、ついに総合首位のマイヨジョーヌに袖を通した。最後はライバル勢に差を付け、力をアピールしての首位奪取となった。

強さを見せて総合首位のマイヨジョーヌに袖を通したゲラント・トーマス Photo: YSP

 翌第6ステージは、第5ステージよりさらに短い110kmで行われる。前半から超級山岳を2連続で越え、続けざまの2級山岳、さらに一旦下って最後は1級山頂フィニッシュという、ひたすら上りと下りだけのコースだ。レース展開によっては総合上位陣の大幅シャッフルや、有力選手の順位転落も十分あり得る。また上りを得意としない選手たちにとっては、短い制限時間の中で、生き残りを懸けた戦いになる。全ての選手にとって、スタートからゴールまで気の抜けない一日となりそうだ。

第5ステージ結果
1 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ) 3時間21分19秒
2 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +4秒
3 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +15秒
4 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +16秒
5 ダニエル・ナバロ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)
6 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
7 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム) +24秒
8 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)
9 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) +26秒
10 アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNL・ユンボ)
80 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +11分48秒

個人総合時間賞
1 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) 17時間16分53秒
2 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム) +1分9秒
3 ジャンニ・モスコン(イタリア、チーム スカイ)
4 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) +1分10秒
5 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ) +1分15秒
6 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +1分18秒
7 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +1分53秒
8 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +2分3秒
9 マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム) +2分10秒
10 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +2分23秒
102 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +41分56秒

ポイント賞
1 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) 45 pts
2 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 45 pts
3 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 37 pts

山岳賞
1 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ プロチーム) 23 pts
2 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ) 18 pts
3 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) 15 pts

新人賞
1 ジャンニ・モスコン(イタリア、チーム スカイ) 17時間18分2秒
2 マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム) +1分1秒
3 ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) +1分15秒

チーム総合
1 チーム スカイ 50時間39分47秒
2 アージェードゥーゼール ラモンディアール +8分56秒
3 コフィディス ソリュシオンクレディ +11分48秒

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

UCIワールドツアー クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2018

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載