ツール・ド・熊野2018 第2ステージ入部正太朗が熊野山岳を制覇、最後3人での争いを制す 総合首位で最終日へ

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 和歌山、三重両県にまたがる熊野地域を舞台に開催されている「ツール・ド・熊野」(UCIアジアツアー2.2)の第2ステージが6月2日、三重県の熊野山岳コースで行われ、入部正太朗(シマノレーシングチーム)がステージ優勝。個人総合時間賞でも首位に立ち、リーダージャージに袖を通した。

入部正太朗(シマノレーシングチーム)が、3人の先頭集団でのゴール争いを制して熊野クイーンステージを制覇 Photo: Nobumichi KOMORI

勝負を分ける山岳ステージ

 三重県熊野市、紀和町、御浜町の三市町にまたがるコースレイアウトの第2ステージは、熊野倶楽部をスタート・フィニッシュ地点に、10kmのパレード走行を経て109.3kmで争われた。風光明媚な「丸山千枚田」を2回、最大の山岳ポイントとなる札立峠を1回越える山岳ステージとして知られており、今大会のクイーンステージとなることは間違いない。

スタート前の4賞ジャージ Photo: Tour de KUMANO
海岸沿いをパレードする集団 Photo: Tour de KUMANO

 また、今年は前日の第1ステージがキャンセルになった影響でほぼ全選手がトップと12秒差以内のタイム差にひしめき合い、脚もフレッシュな状態。個人総合時間賞を狙うチームを中心に激しい攻防が繰り広げられることが予想された。

レース序盤、キナンサイクリングチームがコントロールする集団 Photo: Tour de KUMANO

 リアルスタートが切られると、その予想通りに個人総合時間賞を狙うチームUKYOやキナンサイクリングチームを中心としたアタック合戦が勃発。しばらくは出入りの激しい展開が続いたが、10kmを過ぎる頃になると、9人の逃げが形成された。

序盤に決まった9人の逃げ集団 Photo: Tour de KUMANO

 逃げは畑中勇介(チームUKYO)、マーク・デマール(オランダ、チームUKYO)、鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)、ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)、ダミアン・モニエ(フランス、愛三工業レーシングチーム)、フェン・チュンカイ(台湾、チャイニーズタイペイナショナルチーム)、中島康晴(キナンサイクリングチーム)、カーデン・グローヴス(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)、そして入部というメンバー。有力チームの選手がまんべんなく入った逃げ集団が、メイン集団とのタイム差を1分20秒程度にまで拡大した状態で、1回目の千枚田を迎えることになった。

キナンサイクリングチームの攻撃で分断されたメイン集団が1回目の千枚田を上っていく Photo: Nobumichi KOMORI

攻撃やまない山岳地帯

 千枚田に入ると、メイン集団ではキナンサイクリングチームの3人、マルコス・ガルシア、サルバドール・グアルディオラ(ともにスペイン)、トマ・ルバ(フランス)がペースアップを開始。ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)や窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)らがすかさず反応して追走集団を形成するも、後続の集団はいくつかに分断される状況に。その後、下り区間から平坦区間にかけて数人の選手が追走に合流して、最大の山場である札立峠に入った。

逃げを追う追走集団を引く雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) Photo: Tour de KUMANO
札立峠への上りで逃げる9人の後ろに追走集団が迫る Photo: Tour de KUMANO

 札立峠に入るとキナンサイクリングチーム3選手の攻撃はさらに激しいものに。ルバが積極的に先頭を引いてペースを作ると次々に選手が脱落。最終的にガルシア、グアルディオラ、ディボール、ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)の4人に追走が絞られ、先行していた逃げ集団に合流した。そのまま札立峠の山岳ポイントを通過するタイミングでプラデスが単独アタックを仕掛け、先行した状態で下り区間に入った。

マーク・デマール(チームUKYO)が札立峠のKOMに向けてペースアップ Photo: Tour de KUMANO
札立峠からの下りで1人先行したベンジャミ・プラデス(チームUKYO) Photo: Tour de KUMANO

 下り終えてもなお逃げ続けるプラデスに対し、10人の追走が程なくして合流すると、今度はそのカウンターで中島がアタック。モニエがすかさず反応して中島に合流すると、遅れて後続も合流したが再び中島がアタックを仕掛けて単独で先行する展開となった。

札立峠を下りきった後、アタックを繰り返す中島康晴(キナンサイクリングチーム) Photo: Tour de KUMANO

 中島が単独で先行する状態でこの日最後の上りとなる2回目の千枚田に入ると、後続の追走集団からはデマールが抜け出し、そのまま中島をパスして単独で先頭に立って千枚田の下りをクリア。フィニッシュへと続く最後のアップダウン区間へと入った。後続の追走集団は個人総合時間賞を狙うプラデスとガルシアが互いを牽制し合ってなかなか追走のペースが上がらない状態。すると隙を突いてディボールがアタックを仕掛けてデマールにブリッジを成功させると、続いて入部もブリッジ。先頭は3人となった。

2回目の千枚田の上りで単独先行するマーク・デマール(チームUKYO) Photo: Tour de KUMANO
レース終盤に抜け出した入部正太朗(シマノレーシグ)を含む3人 Photo: Tour de KUMANO

ステージ優勝の入部が総合&ポイント賞

 残り距離も少なくなる中、レースは先頭のデマール、ディボール、入部の3人が逃げ切るか、追走のプラデス、鈴木譲、ガルシア、グアルディオラ、トリビオ、マーカス・カリー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)の6人が追いつくかのせめぎ合いになったが、追走集団内ではなおも牽制の動きが多く、タイム差はなかなか縮まらない。結局、勝負は先頭の3人の争いに絞られることになった。残り300mを切って3人がゴールスプリントの体制に入ると最初にディボールがドロップし、デマールと入部のマッチスプリントに。このスプリントに競り勝った入部がクイーンステージを制し、昨年の第1ステージに続いて熊野2勝目となる優勝を飾った。

表彰式、第2ステージ上位3人 Photo: Tour de KUMANO
個人総合首位に立った入部正太朗(シマノレーシング) Photo: Tour de KUMANO
ポイント賞も獲得した入部正太朗(シマノレーシング) Photo: Tour de KUMANO

 この日優勝した入部は個人総合時間賞でも首位に立ち、イエロージャージを獲得。その他の総合成績は、ポイント賞がこの日の勝利で25ポイントを獲得した入部が、山岳賞はこの日3つ設定された山岳ポイントをすべて先頭で通過したデマールが、新人賞は22位でフィニッシュして個人総合も同順位となった野本空(愛三工業レーシング)がそれぞれ獲得した。

U23賞の野本空(愛三工業レーシングチーム) Photo: Tour de KUMANO
山岳賞のマーク・デマール Photo: Tour de KUMANO

第1ステージの賞金を地元に寄付

 また、この日の表彰式の前に、今回出場しているチームの選手と監督を代表して宇都宮ブリッツェンの清水裕輔監督が登壇。全選手と監督の総意として、前日にキャンセルとなった第1ステージで支払われる予定だった賞金を、今なお爪痕が残る2011年の台風12号による水害の復興のために寄付することが発表された。主催者を代表して角口賀敏・ツール・ド・熊野実行委員長は「皆さんの気持ちをありがたくいただきます」と感謝の言葉を述べた。

出場チームを代表して、宇都宮ブリッツェンの清水裕輔監督が、キャンセルされた第1ステージの賞金を寄付することを発表 Photo: Nobumichi KOMORI
寄付に感謝の言葉を述べる角口賀敏・ツール・ド・熊野実行委員長(右) Photo: Nobumichi KOMORI

 最終ステージとなる第3ステージは3日、和歌山県太地町で行われる。700mのニュートラルの後に1周10.5kmのコースを10周回する104.3kmで争われる。今年からコースの一部が変更されている点、個人総合時間賞の上位3選手のタイム差が25秒以内という点などを考慮すると、まだまだ大きくレースが動くことも考えられる。ステージ優勝狙いのチームの動きと合わせて、明日のレースからも目が離せない。

第2ステージ結果
1 入部正太朗(シマノレーシングチーム) 2時間45分52秒
2 マーク・デマール(オランダ、チームUKYO) +1秒
3 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +15秒
4 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +33秒
5 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム)
6 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +35秒
7 マーカス・カリー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)
8 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +44秒
9 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)
10 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) +1分3秒

個人総合時間
1 入部正太朗(シマノレーシングチーム) 2時間46分35秒
2 マーク・デマール(オランダ、チームUKYO) +7秒
3 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +25秒
4 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +44秒
5 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム) +45秒
6 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
7 マーカス・カリー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +48秒
8 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +57秒
9 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)
10 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) +1分17秒

ポイント賞
1 入部正太朗(シマノレーシングチーム) 25 pts
2 マーク・デマール(オランダ、チームUKYO) 20 pts
3 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 16 pts

山岳賞
1 マーク・デマール(オランダ、チームUKYO) 24 pts
2 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 12 pts
3 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) 8 pts

新人賞
1 野本空(愛三工業レーシングチーム) 2時間52分6秒
2 カーデン・グローヴス(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +2分0秒
3 タナカン・チャイヤソンバッ(タイ、タイナショナルチーム) +3分46秒

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 8時間22分10秒
2 キナンサイクリングチーム +37秒
3 宇都宮ブリッツェン +41秒

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