ツール・ド・熊野2018 第1ステージフェンス倒壊によりレースがキャンセルに 総合成績は動かずクイーンステージへ
和歌山、三重両県にまたがる熊野地域を舞台に開催されている「ツール・ド・熊野」(UCIアジアツアー2.2)の第1ステージが6月1日、和歌山県新宮市の赤木川清流コースで行われたが、39km地点のトンネル内での落車によって中央に設置されたフェンスが倒壊し、修復不可能の判断が下されてレースがキャンセルとなった。そのため、同ステージから設定される山岳賞以外の個人総合成績の変動はなく、翌日の第2ステージを迎えることになった。
ハイスピードの難コース
第1ステージは1周16.3kmの周回コースを6周回した後、最終周のゴール前を変則レイアウトでフィニッシュする15.4kmを加えた113.2kmで争われる。コースは細かなアップダウンはあるものの平坦基調のレイアウトで、毎年ハイスピードバトルが繰り広げられる。対面通行のトンネルや折り返し付近の集落内、KOM(山岳賞)の上り坂など道幅の狭い区間も多く、集団前方をキープできない選手が周回を重ねていくごとにふるい落とされていく難コースとしても知られている。


新庁舎が竣工された新宮市役所前をスタートした選手たちは、約18kmの長いパレード走行の後にスタート・フィニッシュ地点の熊野川温泉さつきに到着。少しのインターバルを置いてリアルスタートが切られると、いきなり激しいアタック合戦となった。

しかし、前日のプロローグで阿部嵩之がイエロージャージを獲得した宇都宮ブリッツェンは、ゴールスプリント勝負に持ち込みたい構えのため逃げる選手を選別。危険な逃げに対してはすかさずチェックに入って集団をつなげる動きを見せたため、決定的な逃げは決まらずアタックの応酬が続く展開となった。
レース3分の1でアクシデント
2周目に入ると、集団から佐野淳哉(マトリックスパワータグ)がアタックを仕掛けて単独で先行。一時は20秒程度のリードを奪ったが、ほどなくして集団が吸収して3周目に入る。すると今度は、新城雄大(キナンサイクリングチーム)とマーカス・カリー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)が集団から先行。2人が逃げを決めるかと思われた段階でアクシデントが発生した。


対面通行のトンネル区間の往路側にメイン集団が進入すると、集団後方で落車が発生した。その影響で中央に設置されていたフェンスが倒壊。復路側に散乱して通行が不可能になってしまったため、レースはニュートラルとなって、一時中断を余儀なくされることになった。
その後、フェンスの撤去にかなりの時間を要することになってしまったレースは、このまま、もしくは条件付きで再開するのか、それとも中止とするのかで主催者、コミッセール、チーム監督で議論がかわされた。結果、この日のレースは中止が決定。2周半をニュートラル走行して終了となった。今回の落車があった対面通行のトンネルは、以前からその危険性が選手たちからも指摘されていた区間。同じような事態が起きないように、今後どのように対処していくのか大きな課題が残される結果となった。



横並びの大集団で熊野山岳へ
総合成績はプロローグ終了時点のものが継続となり、個人総合時間賞、ポイント賞、新人賞に変更はなし。ただ、このステージから設定されていた山岳賞は、2周目にあった最初の山岳ポイントの成績を反映することになり、トップで通過した畑中勇介(チームUKYO)がジャージを着用することになった。


例年であれば、この第1ステージで選手の数が絞られ、場合によってはタイム差がついた状態で第2ステージの熊野山岳を迎えるが、プロローグの結果が持ち越された今年は、ほぼ全選手が10秒ほどのタイム差の中にひしめき合う大混戦の状態。また、レース序盤での落車からの中止ということで、選手たちの脚も完全にフレッシュに近い状態で翌日のクイーンステージを迎えることになる。この中止が第2ステージ、そして総合成績にどのような影響を及ぼすのかに注目が集まるところだ。


2日の第2ステージ熊野山岳は、大会の目玉でもある「丸山千枚田」を2回上り、最大の山岳ポイント札立峠を越える本格山岳コース。午前10時に三重県熊野市の熊野倶楽部をパレードスタートし、10時半に矢田橋交差点でリアルスタートが切られる。