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栗村修の“輪”生相談<128>10代男性「自転車プロチームのスタッフに憧れています」

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現在、高校の自転車競技部で自転車競技をしている高校生です。

 自分は、性格上「選手」よりも「裏方」が好きで、プロチームのスタッフに憧れがあります。

 トップチームなどを見ると、近年の技術進歩により、多方面で専門家(スタッフ)を必要としているようで、スタッフの需要に様々な種類ができてきているように感じます。

 そこで、「そんなスタッフもいるの!?」というような、まだ日本では馴染みがないスタッフなどがあったら教えていただきたいです!

 よろしくお願いします!

(10代男性)

 おっしゃる通りで、今のチームは分業化がものすごく進んでいます。僕は今まで監督やスタッフとして、ミヤタ、シマノ、宇都宮ブリッツェンに関わってきましたが、人手不足のときは、監督・メカ・マッサー・カメラマン・広報・ドライバーなどを兼ねていました…。選手のバイクの洗車をしたことも1度や2度じゃありません。要するに現場を一人で切り盛りしていたわけです。

 しかし今のチーム、とくにワールドチームなどの大きなチームは分業化が進み、監督は監督業に、マッサーはマッサージに集中できるようになっています。聞いた話ですが、昔はツール・ド・フランスなどでも1チーム2人ほどだったマッサーも、今は選手一人ひとりにつけるチームもあるようです。

 あとは、選手のフォームやポジションをチェックする専門のトレーナーとか、パワーメーターのデータを解析するサイエンティストとか、とにかく分業が進んでいます。

 ただ、「馴染みがないスタッフ」というご質問ですから、既存の仕事を分業で細かくしたものより、新しいタイプのお仕事を紹介したほうがよさそうですね。その意味では、近年アツいのが広報です。

現在のプロロードレースでは、各チームごとに広報担当者がレースに帯同して情報発信を行うのが一般的になっている Photo: Yuzuru SUNADA

 チームが動画を作っていたり、SNSで詳細なテキストライブをやっていたりするのを見たことがありませんか? ああいう仕事は広報の一環だと思います。

 自転車の世界って、まだまだ広報関連のフォーマットが確立されていない印象があります。サッカーや野球などの代表的なスポーツは、リーグ自体が全体的なマーケティングの方向性をチーム側へ提供したりするんですが、自転車界は自給自足なのが現状です。

 当たり前ですが、広報の仕事は大切です。チームはスポンサーやファンを満足させないといけませんが、そのためには質の高い広報活動が重要になってきます。いい選手だけ集めても、それをしっかりと伝えていかなければ価値は生み出されません。

硬軟おり交ぜての情報発信で自転車の魅力を伝えてきている栗村さん。カメラを向けるとすぐにこの表情! Photo: Ikki YONEYAMA

 自転車チームの広報になるためには、チームの価値観をしっかり発信できる力が必要です。なんとなく「うちのチームは凄い!」じゃなくて、きちんとした根拠をもって発信できること。あともちろん、ITのスキルやリテラシー、社会の需要をつかむ力も必要でしょう。

 お伝えしたように、ひとりで3役も4役もこなさなければならなかった時代に監督だった僕ですが、一貫して情報発信には力を入れてきました。情報の価値は身をもって理解しています。

 情報化社会である現代は、膨大な情報をいかにまとめて効果的に発信できるかがカギになってきます。情報を扱うということはリスクとも向き合わなければなりませんが、それでも十分にやりがいがある仕事だと思いますよ!

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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