ジロ・デ・イタリア2018 第21ステージ【動画付き】ベネットが最終ローマのスプリントで勝利 フルームが自身初のジロ総合優勝

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ジロ・デ・イタリアは5月27日、最終となる第21ステージがローマで行われ、集団ゴールスプリントをサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が制して今大会3勝目を挙げた。総合時間はニュートラルの措置が取られ、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)がジロ初制覇、また昨年のツール・ド・フランスからのグランツール3連続制覇を達成した。

ジロ2018の個人総合上位3人。(左から)総合2位のトム・デュムラン、総合優勝のクリストファー・フルーム、総合3位のミゲルアンヘル・ロペス Photo: Yuzuru SUNADA

レースは序盤でニュートラルに

 イスラエルからスタートし、3週間にわたる戦いが続いた2018年のジロも、いよいよ最終日を迎えた。前日まで熱戦が繰り広げられたイタリア北部から、選手は一気に空路でローマへ移動。第21ステージはローマ市内で11.5kmの周回コースを10周する、115kmのレースが行われた。

 有名なコロッセオの真横を通過したり、旧市街地の美しい町並みを走るコースは、3週間の華やかな戦いのフィナーレにふさわしい重厚さ。しかし少なからぬ石畳区間や急カーブ、道路の狭さやアップダウンなど、選手側からは安全性に対する不満の声が上がっていた。

あまりにも有名な世界遺産・コロッセオの真横をコースが走る Photo: Yuzuru SUNADA

 この日はティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)がDNS(未出走)でレースを去った。前日は不調で総合3位から16位へ一気に転落。失意のまま最終日には出走せず、今大会を後にすることを決めた。

 レースはパレードを経て本スタートが切られても、しばらく時速30km少々という、サイクリングペースが続いた。フルームはマリアローザカラーのロードバイクにまたがり、またチームメートにも、袖にピンクカラーがあしらわれたスペシャルジャージが用意された。一方でフルームが真剣な様子で無線で会話したり、他チームの選手や主催者側と話す姿も見られた。

マリアローザに合わせたピンクのロードバイクにまたがるクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 4周目と6周目には中間スプリントが設定されており、4周目に入ったところでようやく集団からはアタックする選手が現れ、スピードが上がっていった。

 それとほぼ時を同じくして、3周目の時点で、総合タイムに関してはニュートラルの措置が取られることが発表された。この日はどれだけ遅れてもタイム差は付けられず、順位とそれにともなうポイントのみが争われる。この時点で総合優勝を確定させたフルームら総合上位勢は、無理をせずメイン集団から離れて、サイクリングペースでゴールを目指すことになった。

逃げも残り1周を前に吸収

 いっぽう集団前方から抜け出したのは、マス・ヴーツ・スミト(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム)の2人。ここに後から十数人の追走が合流して、逃げ集団が形成された。1回目の中間スプリントはダヴィデ・バレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)が先頭で通過した。

 この日のレースを争うメイン集団は、後退したチーム スカイ勢に代わって、スプリントリーダーのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)擁するクイックステップフロアーズが先頭を固めてペースを作る。逃げ集団との差は最大でも50秒弱にとどめられ、後半に向けて徐々に縮められていった。

 逃げ集団は、人数が多く協調が取れないのか、アタック合戦から徐々に人数を減らしていった。6周目の中間スプリントはエウゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)が先頭通過したが、その直後からクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ミッチェルトン・スコット)と、ビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)の2人が先行する形になった。

 残り3周で先行する2人以外の逃げは全てメイン集団に吸収。クイックステップフロアーズが率いるメイン集団は、数秒差で残る2人を泳がせていたが、残り1周を前についにこれも飲み込み、レースは振り出しに戻った。

最終ステージを駆け抜けていくフルームら集団 Photo: Yuzuru SUNADA

マルティンら最後の攻撃も実らず

 残り10kmで、メイン集団からはトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNL・ユンボ)ら4人の逃げが、集団からわずかに先行した。しかしクイックステップフロアーズはここにフロリアン・セネシャル(フランス)を送り込み、逃げの動きをけん制する。

 クイックステップが逃げに1人乗せたことで、メイン集団はボーラ・ハンスグローエが追走を担う。マルティンの強力なけん引で粘った逃げだが、残り3.5kmで集団に吸収された。

 最終盤を前に、各チームの隊列による位置取り争いの結果、残り1kmで集団先頭を取ったのは、ゼネク・スティバル(チェコ)が率いるクイックステップフロアーズの列車。ヴィヴィアーニの前にスティバルを含めて3枚のアシストをそろえ、盤石の体制だ。そしてベネットはヴィヴィアーニの番手を押さえ、こちらも万全のポジションを確保することに成功した。

 いよいよ最後のスプリントというところで集団前方へ一気に上がってきたのは、バーレーン・メリダの2人。スプリンターのニッコロ・ボニファツィオ(イタリア)を連れたマテイ・モホリッチ(スロベニア)だ。しかしもう一歩のところで先頭には上がりきれず、集団前方にとどまりたいボニファツィオも、クイックステップ勢、さらにはベネットからも弾かれ、なすすべもなく後退してしまった。

 バーレーンの後退とほぼ同時に最終スプリントがスタート。絶好の位置から発射されたヴィヴィアーニが加速するが、その後ろから来たベネットのスピードが優っていた。ベネットが前に出た瞬間にヴィヴィアーニは勝負を諦めて、そのままベネット、ヴィヴィアーニの順で最終のゴールが切られた。

コロッセオをバックに最終のゴールスプリント。ヴィヴィアーニ(右)の真後ろから強力な加速を見せたベネット(左)が今大会3勝目を挙げて有終の美を飾った Photo: Yuzuru SUNADA

フルームがグランツール全制覇を達成

総合優勝のトロフィーをアピールするフルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 ラスト1周のラインを10分以上遅れて通過したフルームらの集団は、最後はベネットから17分あまり遅れてのゴールとなった。レース中でありながら、すでにウイニングランの様相。最後はチームの7人全員が集団の後方へと下がり、チームカーを従えつつ、横一線で肩を組みながらフィニッシュラインを通過した。

 フルームは念願のジロ初制覇。そして現役選手としてはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)に並ぶ、グランツール(世界3大ステージレース)全てでの総合優勝を達成した。

 またフルームは昨年のツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャを制しており、年をまたいでのグランツール3大会連覇を飾った。

ダイジェスト動画(期間限定公開)

第21ステージ結果
1 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
2 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
3 ジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシングチーム)
4 バティスト・プランカールト(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)
5 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
6 サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
7 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)
8 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
9 パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニ・CSF)
10 ファビオ・サバティーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)

個人総合(マリアローザ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 89時間2分39秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +46秒
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +4分57秒
4 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +5分44秒
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +8分3秒
6 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +11分50秒
7 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +13分1秒
8 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +13分17秒
9 サム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ) +14分18秒
10 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +15分16秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 341 pts
2 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 282 pts
3 ダヴィデ・バレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 147 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 125 pts
2 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 108 pts
3 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 91 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 89時間7分36秒
2 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +47秒
3 サム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ) +9分21秒

チーム総合
1 チーム スカイ 267時間48分47秒
2 アスタナ プロチーム +24分58秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +43分32秒

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