ツアー・オブ・ジャパン2018 第8ステージ集団スプリントで幕を閉じた東京ステージ キナンは区間2勝と個人、チームで総合優勝

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 8日間、全764kmで開催されたツアー・オブ・ジャパン(TOJ)の最終日、東京ステージはマルティン・ラース(エストニア、チーム イルミネート)の勝利で幕を閉じた。最も名誉ある個人総合時間賞は、キナンサイクリングチームのマルコス・ガルシア(スペイン)がチーム総出で死守し、初の個人総合優勝を飾った。総合3位にはチームメートのトマ・ルバ(フランス)も食い込み、チーム総合でもキナンサイクリングチームが勝利。山岳賞は鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が輝いた。

チーム総合優勝に輝いたキナンサイクリングチーム Photo: Shusaku MATSUO

草場啓吾の動きで逃げを形成

封鎖された日比谷通りのスタート地点に並ぶ4賞ジャージ Photo: Shusaku MATSUO

 最終日となった東京ステージは、上りがほぼ登場しない平坦コース。日比谷公園をスタートし、封鎖された都心を過ぎ、大井ふ頭の周回コースを14周する全112.7kmで争われた。実質的な個人総合成績は前日の伊豆ステージでほぼ決着がつき、大きなトラブルがなければガルシアが堅守すると予想された今ステージ。例年通り、スプリンターによる高速スプリントの区間賞争いが行われるだろうと予想された。

引退を前に日本での自身最後の公式レースに挑むダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Shusaku MATSUO
パレードには自転車活用推進議員連盟のメンバーやモデルの福田萌子さんらが参加 Photo: Shusaku MATSUO

 都心の開催とあり多くの観客が訪れたスタート地点ではスタート前、日比谷通りを封鎖し、自転車活用推進議員連盟のメンバーやモデルの福田萌子さんらが参加したパレードランを開催。自転車の有効利用を訴えながら1kmを選手たちと共に走行した後、隊列から離れ、そのままレースはリアルスタートが切られた。日本ナショナルチームが積極的なみせる動きを皮切りに、レースは激しいアタック合戦が展開。数人の逃げができるも、すぐに集団がキャッチする流れが続いた。

大井ふ頭周回コースに入ってから抜け出した3人 Photo: Shusaku MATSUO
スプリントへ向けてチームイルミネートや愛三、チームUKYOがコントロールに加わる Photo: Shusaku MATSUO

 ようやく落ち着きをみせたのは大井ふ頭の周回コースに入ってから。草場啓吾(日本ナショナルチーム)の単独アタックを集団が見送り、さらに中田拓也(シマノレーシング)とチェン・キンロー(香港、HKSIプロサイクリングチーム)の2人が追いつき、3人の逃げが決まった。メイン集団は総合リーダーを擁するキナンサイクリングチームがコントロール。容認した3人の逃げ集団とのタイム差を3分以内に抑えながら進行した。

 順調にローテーションをして逃げ続ける3人は、途中に設けられた中間ポイントも争わずに通過。メイン集団内の選手がポイント獲得の可能性が消滅したため、ポイントジャージを着るグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ)のポイント賞が決定した。

“ロゴ無しジャージ”のラースが区間勝利

残り3周で単独アタックを仕掛けたチェン・キンロー(香港、HKSIプロサイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO

 レースが折り返しに近づくと、メイン集団のコントロールにチーム イルミネートやチームUKYO、愛三工業レーシング勢が加わり、ゴールスプリントへ向けて逃げている3人とのタイムギャップを縮めた。残り3周に入ると、チェンがアタックして抜け出し独走を開始。過去、タイムトライアルでアジア選手権を制した実力を発揮し、3人で逃げていた際のラップとほぼ同等のタイムでフィニッシュを目指した。

歓声が上がるメインストレートを通過する集団 Photo: Shusaku MATSUO
最終回、スプリントへ向けてスピードを上げる集団 Photo: Shusaku MATSUO

 一方の集団では、ゴールスプリントへ向けてさらに加速。イスラエル サイクリングアカデミーも先頭の隊列に加わりスピードアップしたメイン集団は、ファイナルラップでチェンを吸収した。すかさず佐野淳哉(マトリックスパワータグ)が飛び出しを図るも、チームUKYO、ベネロング・スイスウェルネス、シマノレーシング勢がスプリントへの態勢を崩さず、逃げを許さない。

総合首位を守ったマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)がチームメートと喜びを分かち合う Photo: Shusaku MATSUO
区間優勝したチームイルミネートのメンバー Photo: Kairi ISHIKAWA

 集団が1つのままメインストレートへ姿を現すと、先頭では選手が横に広がる横一線の混戦の模様。その中からスポンサーロゴのない黒いジャージ、チームイルミネートのラースが抜け出し、そのままフィニッシュして優勝を飾った。レースの後半、集団コントロールに加わったチームメートに報いる勝利となった。

 2位には過去のTOJで勝利を挙げているアンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)、3位にはアイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)が食い込み、日本人最高位の4位には黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)が入り健闘した。

TOJ各賞ジャージの4人。左から山岳賞の鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)、ポイント賞のグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ)、総合優勝を果たしたマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)、新人賞のクリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)  ©TOJ2018
「チームで区間2賞と総合優勝、チーム優勝の結果は嬉しい」と振り返ったマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO
スプリントを制したマルティン・ラース(エストニア、チーム イルミネート) Photo: Shusaku MATSUO
チーム関係者やファンを囲んで好成績を祝うキナンサイクリングチーム Photo: Kairi ISHIKAWA

 グリーンジャージを着るガルシアはメイン集団内で無難にフィニッシュを果たし、貢献したチームメートらと喜びを分かち合った。ガルシアはツアー6日目の富士山ステージを制して得たタイム差を堅守し、自身初のTOJ個人総合優勝を果たした。ガルシアは「今日はチーム一丸となって動き、総合成績を守ることができた。ツアーを通してチームメートのルバ、そして私のステージ優勝がありとてもいい結果だと思う」と振り返った。

 総合2位には同じく富士山ステージで活躍したハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ)が入り、唯一のUCIワールドチームとして意地をみせた。日本人の総合最高位は9位の中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)だった。

第8ステージ結果
1 マルティン・ラース(エストニア、チーム イルミネート) 2時間23分12秒
2 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +0秒
3 アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)
4 黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)
5 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
6 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
7 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
8 中川拳(日本ナショナルチーム)
9 オリバー・ウッド(イギリス、JLT・コンドール)
10 デーヴィッド・パー(スロベニア、バーレーン・メリダ)

個人総合時間
1 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 19時間57分25秒
2 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) +35秒
3 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +53秒
4 クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +1分27秒
5 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +1分40秒
6 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +1分55秒
7 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +2分1秒
8 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +2分8秒
9 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +2分47秒
10 キャメロン・パイパー(アメリカ、チーム イルミネート) +3分14秒

ポイント賞
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 110 pts
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 83 pts
3 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) 50 pts

山岳賞
1 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 24 pts
2 小石祐馬(チームUKYO) 16 pts
3 フェリックスアレハンドロ・バロン(コロンビア、チーム イルミネート) 16 pts

新人賞
1 クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) 19時間58分52秒
2 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +28秒
3 ホセマヌエル・ディアス(スペイン、イスラエル サイクリングアカデミー) +1分48秒

チーム総合
1 キナンサイクリングチーム 59時間58分13秒
2 ベネロング・スイスウェルネス +45秒
3 チーム イルミネート +4分9秒

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