ツアー・オブ・ジャパン2018 第7ステージ序盤から逃げ切ったボーレが優勝 総合はガルシアが守り、最終ステージへ

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 日本最大のステージレース、ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)の第7ステージとなる伊豆ステージが5月26日、静岡県伊豆市で開催され、序盤から逃げに乗ったグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が、逃げ切った3人のゴール勝負を制し優勝を飾った。個人総合リーダージャージを着用していたマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)はタイム差を守り切り、最終日へ臨む。山岳賞ジャージは鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)がポイントで逆転し、手中に収めた。

逃げ切った3人のスプリントを制したグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) Photo: Shusaku MATSUO

鈴木譲が山岳賞で逆転

 残すは2ステージとなり、大詰めを迎えた伊豆ステージ。修善寺駅をスタートし、日本サイクルスポーツセンター(CSC)周辺の周回コースを10ラップする計120.8kmの距離で争われた。スタート直後から緩い上りが続き、周回路に入ってからは厳しいアップダウンが連続するタフなステージで、獲得標高は3000mを超える過酷なもの。翌日の最終日となる東京ステージは上りが全くない平坦コースのため、タイム差をつけることが難しく、個人総合成績を争う上で実質的に最後のチャンスとなる。また、山岳ポイントの登場も最後となり、山岳賞争いにも注目された。

スタートに並んだ4賞ジャージ Photo: Shusaku MATSUO
修善寺駅前からパレードがスタート Photo: Shusaku MATSUO

 午前9時に修善寺駅前からスタートした集団内では激しいアタック合戦が続いた。数人が上りで抜け出してはメイン集団に吸収される展開となり、なかなか逃げが決まらない。山岳賞ジャージを着る、山岳ポイント暫定トップの小石祐馬(チームUKYO)や、3番手につける鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)らが積極的に動いた。

「GO!」と叫び、速度を上げ、逃げ集団形成の中心となったグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) Photo: Shusaku MATSUO

 大きな動きが出たのはCSCへ入ってからだった。小石、鈴木のほか、新人賞ジャージを着るクリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)や、ワン・メイイン(中国、バーレーン・メリダ)ら11人が抜け出し、さらにポイント賞ジャージを着るボーレが追いつき総勢14人の大きなグループが形成された。一方のメイン集団では総合リーダーのガルシアを擁するキナンサイクリングチームが牽引。総合成績を守るため、逃げ集団との差が開きすぎないようコントロールした。

「応援する人を応援する」テーマにした明治のブースでは観戦者に「VAAM」などが配られるキャンペーンを実施 Photo: Shusaku MATSUO
東京五輪の会場を予定している伊豆ベロドローム前を高速で通過する集団 Photo: Shusaku MATSUO

 大所帯となった逃げ集団内では、ボーレを中心にさらに抜け出そうとする動きをみせる。結果的にボーレ、メイイン、鈴木、ハーパー、フェリックスアレハンドロ・バロン(コロンビア、チーム イルミネート)の5人が新たな逃げグループを作ることに成功。取り残された選手はメイン集団へと戻り、ようやくレースに落ち着きをみせた。しかし、鈴木を逃がし、山岳ポイントを取らせたくない小石が追走を開始。この動きに入部正太朗(シマノレーシング)が同調し、2人で先頭の5人を目指すものの、小石のスピードは上がらずメイン集団へと吸収。入部のみ単独で先頭に追いつくことに成功した。先頭6人とメイン集団のタイムギャップは3分まで広がった。

6人の逃げ集団が最大3分ほどの差をつけて進行 Photo: Shusaku MATSUO
山岳ポイントを逆転し、山岳賞を決定づけた鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO

 ブリッジに脚を使い、健闘した入部だったが、レースが折り返しを迎えると先頭5人から脱落した。鈴木は1回目の山岳ポイントをトップ通過し、自身の得点に5点を加算。2回目の山岳ポイントまでに小石を含むメイン集団が追いつくことはなかったため、こちらも先頭通過し山岳賞を決定的にした。確定後、鈴木は逃げグループから後退し、完走を目指した。また、メイインが脱落したため、先頭は3人でフィニッシュを目指した。

キナンがチームで総合を死守

 メイン集団は、山本大喜、トマ・ルバ(フランス)、サルバドール・グアルディオラ(スペイン)らキナンサイクリングチームのメンバーがスピードを上げ、徐々に先頭との差を詰めた。最終周回へと入ると、その差は1分45秒。先頭3人は変わらず、後方の集団では人数を減らしながらジャンが鳴るコントロールラインを通過していった。コース中盤を過ぎ、逃げ切りが濃厚となった先頭の3人だったが、アタックが起こることなく淡々と進行。勝負はゴールスプリントへと持ち越された。

総合リーダーを死守するため、コントロールを続けたキナンサイクリングチーム Photo: Shusaku MATSUO

 フィニッシュ直前の坂に差し掛かると、ボーレを先頭に、ハーパーとバロンの2人が後方から虎視眈々とスプリントに備えた。しかし、スプリント力が勝るボーレが腰を上げると、2人は追随できない。勝利を確信したボーレはゴール手前50mから両手を上げ、喜びを表しながらフィニッシュして優勝を飾った。2位はハーパーで、粘ったバロンが3位に入った。一方のメイン集団ではガルシアが遅れることなくフィニッシュを果たし、個人総合首位を守った。この結果、今大会の個人総合時間賞をほぼ確実なものにした。また、一時は総合首位に立ったチームメートのルバも、この日献身的なアシストをみせながらメイン集団後方でゴール。現時点で総合3位の好位置につけており、チームとして最高の形で最終日へと臨む。

徐々に先頭3人との差を詰めるメイン集団 Photo: Shusaku MATSUO
最終周回に逃げる3人 Photo: Shusaku MATSUO
個人総合首位を守ったマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO

 優勝したボーレは「このハードなコースではメイン集団もコントロールが難しく、逃げを打ったほうが勝てると踏んで飛び出した。自分にとっては短い上りだと思ったが、リスクを承知で飛び出した。一緒に逃げたメイインの働きのおかげも大きい」と勝利に繋がった要因を振り返った。総合首位を守ったガルシアは「逃げた先頭と3分の差を守ることに集中した。結果的に逃げ切られたが、プラン通りに進んだ」とチームをあげて今ステージに臨んだことを明かした。小石を逆転し、山岳賞を確実なものにした鈴木は「山岳賞を狙ってました。序盤は小石選手のマークがあったが、ブリッツェンは岡篤志選手がアシストで入るなど有利に進めることができた。逃げ集団内でもポイント獲得を目指して立ち回った」と状況を説明した。

逃げ切り優勝を果たしたグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) Photo: Shusaku MATSUO
山岳ポイントで逆転した鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO

 翌日に開催される東京ステージは、東京・日比谷公園前をスタートし、都心を移動。大井ふ頭内の7kmコースを14周する全112.7kmで争われる。スプリンターに有利な高速レースになることが予想される。日比谷公園で行われるパレードランには小池百合子東京都知事も参加することが発表されている。スタートは午前11時だ。

第7ステージ結果
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 3時間29分53秒
2 クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +0秒
3 フェリックスアレハンドロ・バロン(コロンビア、チーム イルミネート)
4 ベンジャミン・ペリー(カナダ、イスラエル サイクリングアカデミー) +1分18秒
5 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)
6 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
7 ディラン・サンダーランド(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)
8 キャメロン・パイパー(アメリカ、チーム イルミネート)
9 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)
10 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)

個人総合時間
1 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 17時間34分13秒
2 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) +35秒
3 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +53秒
4 クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +1分27秒
5 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +1分40秒
6 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +1分55秒
7 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +2分1秒
8 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +2分8秒
9 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +2分47秒
10 キャメロン・パイパー(アメリカ、チーム イルミネート) +3分14秒

ポイント賞
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 107 pts
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 71 pts
3 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) 50 pts

山岳賞
1 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) 24 pts
2 小石祐馬(チームUKYO) 16 pts
3 フェリックスアレハンドロ・バロン(コロンビア、チーム イルミネート) 16 pts

新人賞
1 クリス・ハーパー(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) 17時間35分40秒
2 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +28秒
3 ホセマヌエル・ディアス(スペイン、イスラエル サイクリングアカデミー) +1分48秒

チーム総合
1 キナンサイクリングチーム 52時間48分37秒
2 ベネロング・スイスウェルネス +45秒
3 チーム イルミネート +4分9秒

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