ジロ・デ・イタリア2018 第20ステージ【動画付き】ニエベが逃げ切りでバースデーウィン フルームは猛攻に耐え総合優勝が決定的に

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ジロ・デ・イタリアは5月26日、第20ステージがスーザからチェルヴィニアへの214kmで争われ、ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)が独走逃げ切り勝利を飾り、チームに大会5勝目をもたらした。クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)は、総合2位のトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)の猛攻をしのぎきって、総合首位を堅守。昨年のツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャに続くグランツール3連勝が決定的となった。

32km独走してステージ優勝を飾ったミケル・ニエベ。この日が34歳の誕生日だった Photo : Yuzuru SUNADA

27人の逃げ集団が形成

 フィニッシュ地点のチェルヴィニアはアルプスの名峰・マッターホルンのイタリア側のふもとの街だ。ステージ後半に1級山岳が3つ立て続けに登場。1つ目は146km地点のツェコーレ峠で登坂距離16.0km・平均勾配7.7%・最大勾配15%、2つ目は186km地点のサン・パンタレオン峠で登坂距離16.5km・平均勾配7.2%・最大勾配12%、最後はフィニッシュ地点のチェルヴィニアで登坂距離18.2km・平均勾配5.3%・最大勾配12%だ。

 前日に大逆転でマリアローザを獲得したフルームに対して、40秒のビハインドを背負うデュムランがどう仕掛けるか注目が集まっていた。

 レースはスタート直後から激しいアタック合戦が続き、最初の25kmはほんのり下り基調とはいえ時速54.6kmのペースで進行した。

 逃げの打ち合いの末、27人の選手が抜け出した。

ポイント賞ジャージのヴィヴィアーニを含む逃げ集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)、ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF)、フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ミケル・ニエベ、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNL・ユンボ)、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)など、逃げの巧者から山岳賞・ポイント賞狙いの選手までバラエティ豊かなメンバーとなった。

 総合狙いのチームではチーム スカイ、チーム サンウェブ、アスタナ プロチーム、モビスターチームは逃げに選手を送らず、グルパマ・エフデジはマチュー・ラダニュ(フランス、グルパマ・エフデジ)を送り込んでいた。

集団内でダウンヒルをこなすクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 また、逃げ集団のなかで最も総合成績がいいのは、57分18秒遅れのウッズだった。

 リーダーチームのスカイは逃げを容認したものの、マリアビアンカを争うアスタナとモビスターは集団をコントロール。5分程度のタイム差に抑えられたままレースが進行した。

 道中、2つの中間スプリントはヴィヴィアーニが先頭通過を果たし、ポイント賞のリードをさらに拡大させた。

2つ目の山岳でニエベが独走開始

 最初の1級山岳ツェコーレ峠に入ると、逃げ集団が活性化。ペースについていけない選手が次々に脱落し、ニエベ、ヘーシンク、チッコーネ、グロスチャートナー、ウッズ、ブランビッラ、モホリッチら9人に絞られた。

 山頂を越えて下り区間に入ると、モホリッチが抜け出す。30秒ほどリードを築いて、2つ目の1級山岳サン・パンタレオン峠に到達した。しかし、そのリードも長くは持たず、残った逃げ集団に吸収されてしまう。

 すると、ニエベがカウンターアタックを仕掛けた。グロスチャートナー、ブランビッラが追従したものの、残り32km地点で再びニエベが加速すると2人を振り切って独走に持ち込んだ。

 一方、メイン集団はサン・パンタレオン峠のふもとに6分30秒遅れで到達。アスタナがコントロールを継続していたが、ここで総合3位のティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)が突然遅れだした。

この日2つ目の峠で失速してしまったピノ Photo: Yuzuru SUNADA

 すぐさまアシストが5人ほど駆け寄ってピノをサポートするものの、大きく咳き込む姿が見られるなど調子を崩してしまった様子だった。この上りだけで10分以上遅れてしまい、総合争いから完全に脱落してしまった。

解き放たれたニエベがジロ3勝目

 先頭のニエベは、後続の選手たちに1分30秒のリードを築いてダウンヒルに入った。グロスチャートナー、チッコーネ、ブンビッラ、ヘーシンクが追うものの、ニエベとの差は縮まらなかった。

フィニッシュに向けて独走するミケル・ニエベ Photo: Yuzuru SUNADA

 最後のチェルヴィニアの上りも快調に走り続けたニエベがそのまま山頂へ到達。34歳の誕生日を自ら祝う、逃げ切り勝利を飾った。ジロでのステージ優勝は2011、2016年以来3回目。いずれも難易度の高い山岳ステージでの勝利だ。

 前日にチームリーダーのサイモン・イェーツ(イギリス)が大失速し、総合首位から18位に転落。失意のチームを再び活気づける価値ある勝利となった。また、今大会チーム5勝は、クイックステップフロアーズに並んで最多だ。前日、前々日と苦しむイェーツの側で献身的な走りをしていたニエベが意地を見せた。

 メイン集団はピノの脱落はあったものの、スカイとサンウェブには大きな動きはないまま、パンタレオン峠のダウンヒルへと突入した。ここまでのアスタナに代わってスカイが集団コントロール。そしてチェルヴィニアの上り区間に入ると、モビスターが先頭でペースアップを開始した。

 集団の人数を減らしたところで、総合勢ではデュムランが最初に動いた。

 フルームが即座に反応し、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスターチーム)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)、ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)と続いた。

 すると総合11位のフォルモロが集団から抜け出して、単独で先行した。総合10位のサム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ)が、フォルモロを追って集団から抜け出すと、カラパス、ロペス、ポッツォヴィーヴォも続いた。

攻めるしかないトム・デュムランは波状攻撃を仕掛けるものの、クリストファー・フルームの牙城を崩すことはできなかった Photo: Yuzuru SUNADA

 残ったマリアローザグループからは再びデュムランがアタック。しかし、フルームはこの動きも難なく対処した。デュムランがオーメンたちに追いつくと、間髪入れずに3度目のアタックを仕掛けた。それでもフルームを振り切ることはできない。

デュムランが最後の猛攻

 40秒のビハインドを逆転するためには、攻めるしかないデュムランは4度目のアタックを決行。少しよそ見をしていたフルームは一瞬反応が遅れるが、決してデュムランを逃がすことはなかった。

 立て続けに4連続攻撃を仕掛けても、フルームはビクともしない。オーメンが先頭に立って、マリアローザグループのけん引を開始。デュムランは最後の攻撃の機会をうかがっていた。

 そして、デュムランは5度目のアタックを仕掛けた。だがしかし、フルームは問題なくデュムランに追いついた。そしてデュムランが踏みをやめたところで、今度はフルームがカウンターアタック。デュムランは反応できずに逆に遅れを喫してしまう。

 フルームとデュムランのタイム差は10秒以上広がってしまったが、マリアローザグループを積極的に引く選手がいなかったため、デュムランはペース走行で集団復帰を果たした。

 すると、自らの総合争いを観念したかのようにデュムランがマリアローザグループの先頭を引き始めた。オーメンの総合成績を守るための動きだった。

ゴールするマリアローザの集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 最後はワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ)に導かれるように加速したフルームが、集団2番手でフィニッシュ。力尽きたデュムランはフルームから6秒遅れてフィニッシュし、万事休す。この瞬間、フルームの総合優勝が決定的となった。

 ピノは45分以上遅れてフィニッシュし、総合16位に転落。ロペスが総合3位に浮上し、マリアビアンカを守り抜いた上に表彰台を獲得した。

献身的な働きが目立ったワウト・プールス(右)を称えるクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA
45分以上遅れてフィニッシュしたティボー・ピノ。前日のサイモン・イェーツに続き、総合上位から一気に圏外へ脱落した Photo: Yuzuru SUNADA

 第21ステージは、ジロ・デ・イタリアの最終日。第20ステージのフィニッシュ地点だったチェルヴィニアからローマまで750kmの大移動を経て、ローマ市内の1周11.5kmの周回コースを10周する。

ダイジェスト動画(期間限定公開)

第20ステージ結果
1 ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット) 5時間43分48秒
2 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +2分17秒
3 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +2分42秒
4 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +3分45秒
5 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) +5分23秒
6 ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ) +6分3秒
7 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)
8 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)
9 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)
10 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)

個人総合(マリアローザ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 86時間11分50秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +46秒
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +4分57秒
4 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +5分44秒
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +8分3秒
6 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +11分50秒
7 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +13分1秒
8 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +13分17秒
9 サム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ) +14分18秒
10 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +15分16秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 306 pts
2 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 232 pts
3 ダヴィデ・バレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 127 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 125 pts
2 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 108 pts
3 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 91 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 86時間16分47秒
2 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +47秒
3 サム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ) +9分21秒

チーム総合
1 チーム スカイ 259時間16分20秒
2 アスタナ プロチーム +24分58秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +43分32秒

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