ジロ・デ・イタリア2018 第18ステージ【動画付き】山岳3連戦初日、首位イェーツが最後失速で28秒を失う 逃げ集団からシャフマンが優勝

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ジロ・デ・イタリアは5月24日、第18ステージがアッビアテグラッソからプラトネヴォーソへの196kmで行われ、序盤から大きく逃げた12人での1級山頂ゴールの戦いを、マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)が制してグランツール初優勝を飾った。総合争いではマリアローザのサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が最後ライバル勢から遅れ、2位のトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)との差が28秒へと縮まった。

マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)が逃げ集団での戦いを制してグランツール初勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

12人の逃げが大きく先行

 ジロはいよいよ終盤の“ヤマ場”を迎えた。第18〜20ステージは、厳しい山岳ステージが連続。個人総合優勝をかけて、最後の熱戦が繰り広げられる。その初日となるこの日は、序盤から終盤にかけてはほぼ平坦だが、最後はゴールに向けて1級山岳の上り(距離13.9km、獲得標高959m、平均勾配6.9%、最大勾配10%)が待ち受ける。

 レースは序盤から12人の逃げ集団が形成された。シャフマンのほか、その同僚のミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)、またダヴィデ・バレリーニ、マッティーア・カッタネオ(ともにイタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)、ルーベン・プラサ(スペイン、イスラエル サイクリングアカデミー)、マルコ・マルカート(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)らが含まれた。

メイン集団はミッチェルトン・スコットが固めてコントロール Photo: Yuzuru SUNADA

 協調してタイム差を広げる逃げに対し、リーダーチームのミッチェルトン・スコットは、先行メンバー内で総合最上位のシャフマンでも首位から38分遅れとあって、この動きを完全に容認。他のチームも追走は行わず、レースが残り100kmになった時点でタイム差は13分と大きく開いた。ステージ優勝は早くも先行グループの12人に絞られた状態となった。

 途中2度の中間スプリントは、ともにバレリーニが先頭で通過した。

アスティの市街地を通過するプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

最後まで力を残したシャフマンが優勝

 先頭12人の協調体制が崩れたのは、最後の上り口に入りかかった、残り20km地点。まずはボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレック・セガフレード)がアタックして単独で抜け出した。

 身長185cmの巨体は上りでの勝負が厳しいとみてか、先行して勝機をうかがう。他の11人はこの動きには反応せず、淡々とペースを刻む。逃げ続けたファンポッペルだが、勾配が徐々に厳しくなる残り12kmで後続の11人に吸収され、そのまま脱落していった。

シャフマンらの逃げ集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 残り10km付近では、先頭をバレリーニが固定でペースを作った。ここからマルカートのアタックにより、集団は半分の6人となって、残り9kmを通過。さらにプラサがアタックし、シャフマン、カッタネオ、クリストフ・フィングステン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が反応して、先頭グループは4人に絞られる。

 残り5km付近、先頭で主にペースを作るのはシャフマンだ。カッタネオがこれに付き、リビングステン、プラサが離れては追いつきを繰り返す状態。シャフマンが何度かペースアップを図り、カッタネオはぴったりと追うが、自分から前にはほとんど出ない。地元イタリアのチーム、選手とあって、カッタネオはこのステージでぜひとも優勝を獲りたいところだ。

 残り2kmでついにカッタネオがアタックを仕掛けた。しかしシャフマンはしっかりと反応する。いったんペースダウンの後に、再びカッタネオがアタックするが、シャフマンは離れない。2人が競り合うなか、残り1kmでプラサも再度先頭へと合流した。

 3人での最終局面、しかし明らかに余力が残っていたのはシャフマンだった。後ろを見ながら先頭でペースを保つと、残り300mから腰を上げてスピードアップ。残り200mで完全に独走となり、今大会序盤で新人賞ジャージにも袖を通したシャフマンが、そのまま山頂ゴールを先頭でフィニッシュした。チームとしては前日第17ステージのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)に続く2連勝、今大会最多となる5勝目となった。

うれしいグランツール初勝利を飾ったシャフマン Photo: Yuzuru SUNADA

イェーツが終盤まさかの後退

 いっぽうメイン集団は、終始ミッチェルトン・スコットがペースを保ちながら、先頭から15分遅れて、いよいよ最後のプラトネヴォーソの上りへと突入した。

 上りが進むにつれ、集団先頭にはロットNL・ユンボ、モビスター チーム、グルパマ・エフデジらがペースを上げ始める。またチーム スカイは、ワウト・プールス(オランダ)が単独で抜け出して、集団から先行する。

メイン集団から単独抜け出した、新人賞ジャージのロペス Photo: Yuzuru SUNADA

 残り4kmで、上位勢からまず総合9位のリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)がアタックした。カラパスと新人賞を争う総合7位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)がこれを追走。ロペスはカラパスに追いつくと、これを追い抜いて単独で前を急ぐ。

 集団では総合10位のジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ)がアタック。しばらく数人でやや先行するが、ミッチェルトン・スコット最後のアシスト、ミケル・ニエベ(スペイン)が集団先頭で追走し、これを捕まえた。

デュムランのアタックにイェーツ、ポッツォヴィーヴォが反応 Photo: Yuzuru SUNADA

 その瞬間、今度は総合2位のデュムランがカウンターでアタックを仕掛けた。すかさずイェーツと、総合3位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)が追随する。クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)も少し遅れて追いつくと、そのままの勢いで今度はフルームがカウンターアタック。ポッツォヴィーヴォ、デュムランはこれに付くが、なんとイェーツが反応できない。

 いよいよメイン集団も残り1kmを通過した。フルームら3人には、先行していたプールスが合流。プールスがエースのフルームのために全力で前を引っ張る。一方のイェーツは、フルームらを追うグループからも脱落。後ろから追いついてきたチームメートのニエベのサポートを受け、必死で前を追いかける。

総合争いは混沌のままチーマ・コッピへ

総合首位のイェーツからタイムを奪うことに成功した、ポッツォヴィーヴォ、デュムラン、フルームの3人 Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団での争いは最終的に、ロペスが単独抜け出してゴールし、総合6位へとアップした。続いてポッツォヴィーヴォ、デュムラン、フルームの3人。そしてイェーツはニエベに連れられ、デュムランら3人からは28秒遅れてゴールした。イェーツはマリアローザを守ったものの、総合2位のデュムランとのタイム差はこの日一気に半減し、28秒となった。

 今大会山岳では圧倒的な強さを誇ってきたイェーツが、ここに来て初めて不調の様子を見せたことで、総合争いの行方は混沌としてきた。イェーツの不調がこの日限定のものでなければ、この先2日間で一気に順位を落とす可能性もあり、ライバル勢の攻勢も激しくなることが予想される。

首位は守ったものの、不安の残る走りとなったイェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

 翌第19ステージは、今大会のチーマ・コッピ(最高標高地点)が登場する。スタート直後から上り基調で2級山岳を越え、中盤登場するチーマ・コッピのフィネストレ峠は、標高2178mを距離18.5km・平均勾配9.2%・最大勾配14%で上るだけでなく、8.5kmの未舗装区間を含む超難関だ。直後にセストリエーレを3級山岳で越え、最後は再び1級山頂ゴールとなるバルドネッキアへの上りが待ち受ける。最大勾配は14%に達するほか、ゴール直前にも12%勾配が現れる。

 中盤、終盤の上りのインパクトはもちろんのこと、コース前半から上りが登場することもあり、各チームの攻撃や、選手の調子次第では、総合上位勢の選手が大きくタイムを落とす可能性がある。レースは前半から見逃せない攻防となるだろう。

ダイジェスト動画(期間限定公開)

第18ステージ結果
1 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 4時間55分42秒
2 ルーベン・プラサ(スペイン、イスラエル サイクリングアカデミー) +10秒
3 マッティーア・カッタネオ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +16秒
4 クリストフ・フィングステン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +1分10秒
5 マルコ・マルカート(イタリア、UAEチーム・エミレーツ) +1分26秒
6 ミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ) +1分36秒
7 ビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1分52秒
8 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNL・ユンボ) +3分22秒
9 アレクス・トゥリン(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +3分29秒
10 ダヴィデ・バレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +5分9秒

個人総合(マリアローザ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 75時間6分24秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +28秒
3 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +2分43秒
4 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +3分22秒
5 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +4分24秒
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +4分54秒
7 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +5分9秒
8 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +5分54秒
9 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +5分59秒
10 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +7分5秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 290 pts
2 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 232 pts
3 ダヴィデ・バレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 119 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 91 pts
2 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 52 pts
3 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 47 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 75時間11分18秒
2 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +1分5秒
3 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) +2分51秒

チーム総合
1 チーム スカイ 225時間43分32秒
2 アスタナ プロチーム +8分17秒
3 ミッチェルトン・スコット +19分15秒

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